米国株投資を始めてちょうど丸4年が経ちますが、これまでの投資判断でもっとも利益に繋がったのは2018年後半と2019年始にアップル株(AAPL)に投資したことです。2018年12月に67万円(@152.3ドル)、2019年1月に60万円(@152.3ドル)投資しました。
152ドルで買いましたが、その後株価はグングン上昇。250ドルを超えたあたりで「さすがにこれくらいで高止まりやろ」って思ってたら、なんと先日の2020年初日に300ドルを超えるに至りました。予想PERは20倍。以下は2019年の株価チャートです。
売られ過ぎの高利回り銘柄を狙いがちなのもあって、こんなに大きなキャピタルゲインを得られたのは投資家人生で始めてです。正直言いまして配当よりも嬉しいです。
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プラス94.5%ですよ。1年でほぼ2倍です。含み益の金額は90万円もあります。全くもって自分の目利き力によるものではありません。実力ではないです。予想外の幸運です。アップルからもらった配当2万円が霞んで見えます。
しかし、この爆益に浮かれてる場合ではありません。なぜなら、私は長期でアップル株に投資しているからです。今すぐ売却して利確するならこのキャピタルゲインには大きな意味がありますが、そのつもりはありません。リバランスで一部売却の可能性はありますが。
想定投資期間が長くなればなるほど、このような短期的な株価上昇に浮かれてはいけません。アップルの株価上昇はそのほぼすべてがPER上昇によるものです。2018年末のPERは10.8倍でしたが、2019年末には19.8倍でした。PERは+83%。アップルの2019年の株価上昇率と近似していますね。
投資家心理はこの1年で大きく変化しました。2018年後半は中国を中心にiPhoneの売れ行きが低迷し、ハードウェアを売るアップルの業績は低迷すると悲観的に見られました。しかし、一転して2019年は「いやいや、アップルはソフトウェアで儲ける企業に転換するんだ」というストーリーが広く共有されました。アップルTV+のサービス、アップルカード(現状米国のみ)の運用が始まりました。AirPodsという新たな収益源も生まれました。アップルのEPSはまだまだ成長すると投資家は楽観的になり、アップル株にPER20倍という評価を与えるに至りました。
投資心理が悲観→楽観と大きく変化したことが2019年のアップル爆益の源泉です。そりゃそうです。株価とはEPS(一株当たり利益)×PERですが、時価総額1兆ドルを超えるアップルほどの巨大企業のEPSが1年で2倍になるはずがありません。巨大企業の株価が1年で2倍にもなれば、それはEPSではなくPER上昇に起因することは調べるまでもないことです。
ここで認識しておくべきことは、PER変化が長期での投資リターンに及ぼす影響は小さいということです。大事なのはPERじゃなくてEPSです。投資家期待の変化(PER変化)ではなく、実際の企業利益(EPS)が期待通りに、いや期待を超えて成長するかどうかです。
株式投資の利益とは企業が稼いだ税引き後利益を株主間で分け合ったものです。株主利益が企業利益を超えることは原理的にあり得ません。低いPERで(割安で)投資してゲットできた利益とは、つまるところ他の株主から合法的に奪い取ったものです。すなわち、ゼロサムゲームの投機的利益です。将来利益の先取りとも解釈できます。
だからって2019年にアップル株で得た90万円のキャピタルゲインが無意味とまでは思っていません。今のところ利益は利益です(未実現だが)。しかし、真に重要なのはアップルがウォール街の期待通りにEPSを成長させられるか、配当を増やせるかどうかです。もしそれがダメなら高いPERは剥がれ落ちて、キャピタルゲインは縮小します。
キャピタルゲインにニヤニヤしちゃいますが、浮かれることなく、アップルの決算を毎四半期しっかりウォッチしていきます。PERよりも利益(EPS)を見ます。