Grow Rich Slowly シーゲル流米国株投資で億万長者になる!

米国株投資を通じて資本主義社会を豊かに楽しく生きる

*

無配のグロース株投資はどうしてもギャンブル要素が強くなる

   

バリュー株、グロース株という言葉があります。明確な定義はないようです。

一般的には有配で還元ステージにある企業がバリュー株、無配で成長ステージにある企業がグロース株という意味で使われることが多いと思います。米国企業は、ここの線引きが明確です。株主還元は完全にゼロで投資を最優先にしてワイドモートを築くステージ、節度を持った投資を心がけて株主還元を重視するステージ、この2つを明確に区別している印象があります。

日本企業って一律配当性向30%目指します、みたいなどっちつかずな企業が多い様に思います。

私は長期投資では、無配のグロース株ではなく有配でしっかり株主還元をしているバリュー株を選ぶべきだと考えています。キャピタルゲインよりもインカムゲインを重視すべきとも言えるでしょうか。

これは無配株への投資を否定しているわけでは決してありません。アマゾンやフェイスブックへの投資を否定する気は毛頭ありません。あくまでも30年超に渡ってホールドし続けて株主利益を最大化するのであれば、有配で自社株買いをガンガンする成熟企業を選好すべきだということです。

期間を短期中期と区切ってグロース株投資でキャピタルゲインを積極的に狙う投資戦略も当然ありでしょう。

 

 

グロース株投資の方が短中期で儲かるチャンスがあるのは事実です。ボラティリティが成熟株より圧倒的に高いからです。最近のアンダーアーマーのように一気に下に崩れるリスクもある一方、アマゾンのように最高値を更新し続けることもあり得ます。

なんでグロース株の方が短期的な値動きが大きいのか?

なんで無配企業の株価は上下に大きく変動するチャンス(=リスク)があるのか?

それはグロース株にはバリュー株にはないギャンブル要素があるからだと思っています。

そのグロース株のギャンブル要素とは、いつからどれくらいの配当が始まるか見当が付かないということです。

 

 

株式の価値とは何でしょうか?

単刀直入に言いますが、株式の価値とは配当です。

これは私の個人的意見ではなく、ファイナンス理論的な事実です。

株式の理論価値とは将来の配当総額を現在価値に割り引いたものです。

XOMは82ドル、KOは42ドルと株価がマーケットで成立していますが(2017年3月末現在)、これはXOMやKOが将来払うであろう一株当たり配当(DPS)を現在価値に割り引いた金額です(とマーケットが思っている金額)。

金融商品の価値とは、将来キャッシュを現在価値に割り引いたもの。その金融商品が将来どれだけキャッシュを生み出すかがすべてです。

企業が利益成長すれば株価が上昇するって言いますけど、それは正確ではありません。増益期待が高まって、それで将来の一株配当(DPS)が上昇すると期待されるから株価が上がるんです。期待EPSの上昇が期待DPSの上昇になってこその株価上昇です。

ただ投資先企業が利益をガッポリ儲けただけでは株主は喜べません。もちろん増益決算は嬉しいですけど。極端なことを言えば、その利益を役員がこっそりカジノで遊んでパーにしてしまうかもしれません。そうしたら、その利益は結局株主利益に貢献しませんね、当たり前ですが。

企業が稼いだ利益を株主に返還するまでが大事なんです。配当として受け取って初めて株主利益です。会社清算を前提にしなければ配当こそが株主が実際にキャッシュを受け取る唯一の機会です。株の売却益だって、その源泉は将来の(期待)配当です。

遠足では家に帰るまでが遠足だって先生に言われましたよね。無事家までたどり着いてこその楽しかった遠足の思い出です。最後の最後、家の前で交通事故に遭ってしまったらせっかくの遠足も台無しです。

株式投資でも、企業が利益を稼ぐだけではだめなんです。そのお金が最終的に株主の財布に入るまでは安心できません。たくさん利益を稼いでも、株主にきちんとその利益が返還されなければ何の意味もありません。

 

 

さて、アマゾンやアルファベット、フェイスブックといった無配企業の株式の価値って何でしょうか?

一緒です。

配当です。

株価が将来配当の割引現在価値であるという原則に例外はありません。無配企業の株主価値は将来配当の現在価値です。

無配企業の株式価値が配当で決まるってどういうことでしょうか?

だって無配でしょ? っていう疑問出ますよね。

確かに無配です。でもそれは現在無配なだけで未来永劫無配なわけではありません。もし、永遠に無配の企業なんてものが存在するとしたら、その企業の株式価値はゼロです。

無配企業もいつかは有配企業になって配当を払い始めるという前提で、無配企業の株価は決まっています。

アマゾン(AMZN)は目下最高値を更新し続けています。

アマゾンの時価総額は4,230億ドル(約47兆円)もあります。アップル、マイクロソフトに次ぐ第3位です。

この4,230億ドルという総株主価値、株価886ドルという一株当たり株主価値は何を根拠に算定されているのでしょうか?

アマゾンは無配ですよ。株式の価値とは配当なのに、無配のアマゾンが4,230億ドル(約47兆円)という高い評価を受けているのはなぜでしょうか?

それはアマゾンがいつか将来、莫大な配当を払ってくれると投資家に期待されているからです。

アマゾンが配当を始めるのっていつでしょうか?

さあわかりません。ジェフ・ベゾス本人ですらまだわからないでしょう。投資して投資して投資しまくって、世界市場で圧倒的なシェアを獲得して、「もう満足!」となるまで無配で投資を続けることでしょう。投資家もそれを納得して株を買っています。

その最初の配当金ってどれくらいの規模になるのでしょうか?

それってわかりますか?

1975年創業のマイクロソフトが初めて株主還元を実施したのは2004年で、その規模は4年間で750億ドルという大規模なものでした。それ以来マイクロソフトは配当を出し続けています。

アマゾンはいつから、どれくらいの配当を出し始めるのでしょうか?

それがわからないで、、どうやってアマゾン株の理論価値を出すというのでしょうか?

アマゾンの株価の理論価値ってアマゾンの将来配当の現在価値です。繰り返しでしつこくてすみませんが。

でも、その肝心の配当がいつから始まるかもわからないし、どれくらいの規模になるかもわからないですよね。もちろん現在の利益、将来の利益成長が根拠になるのは確かではありますが。

無配企業っていつからどれくらい配当が始まるかわからないんですね。一定の予測はできますが、精度の高い予想ってとても難しですよね。

配当の規模も大事ですが、いつから配当を始めるかも重要な要素です。配当が将来になればなるほど割り引く期間は長くなり、現在価値は小さくなります。

1000億ドルの株主還元をします!って言ってもそれが仮に50年後だったら、その現在価値はたったの34億ドルですから(割引は7%と仮定)。

1年後から配当を出すのか、それとも20年後なのか、それが株式価値に与える影響は甚大です。20年後の方が期待DPSも上昇しているはずだから別に問題ないとも言えますが、将来になればなるほど不確実性が高まるのは言うまでもありません。

 

 

有配の成熟企業はある程度将来配当が読めます。もちろんビジネスにリスクはつきものですから100%予見することは不可能です。でも、無配企業に比べれば格段に予見可能性は高いです。

例えば、現在のマイクロソフトの一株配当(DPS)は1.56ドルです。過去10年の平均成長率(CAGR)は14%ほどです(凄い!)。

であれば、ざっくり予想できますよね。今はDPSが1.56ドルで今後はまあ今までほど急激に成長しないと思うから、配当成長率は過去10年平均の半分の7%と仮定して・・・とか。まあこれも適当な計算ですが、過去の実績がある分、予測する材料はあります。

でも無配企業って、将来配当を予想する材料がほとんどありません。配当を予想する材料は、将来の業績予想でしかないわけですが、成長企業の10年後の利益なんてどれだけ合理的に見積もれるのでしょうか?

だから無配のグロース株の株価は変動が大きいです。もともと投資家も少ない材料の中、手探りで株価を値付けしているのです。アマゾンのPERは180倍もありますが、その数字に何の意味もないでしょう。だってそのPERを算定する基礎になるEPSは、まだまだ配当には紐づかないわけですから。翌期のEPSをもとに今の株価の倍率出したって意味ないですよね。だって何度も言ってすみませんが、今は無配なのですから。

 

 

このように、無配グロース株投資には有配バリュー株投資にはないギャンブル要素があります。

いつから、どれほどの配当が始まるか予見できないというギャンブル要素です。ギャンブルというか、不確実性が高いと言ったほうが正確でしょうか。

だから短期で儲けるなら、無配の成長企業を狙うのは合理的です。株価算定の要素である将来配当の規模と時期が不明瞭な分、各投資家の予想がかなりブレるからです。

一方で、有配成熟企業へ投資する場合、理論株価より割安に買えるチャンスは余りないと割り切るべきです。すでに配当を出しており、その実績も長いのですから、株価の理論価値を算出するのは比較的容易です。容易というと語弊があるのですが、、将来は不確実性に満ちているのでもちろん容易ではないのですが、少なくとも無配企業よりは容易です。

 

 

無配企業への投資は、株価理論値の算出が困難な分、後から振り返れば高値掴みだったと後悔するリスクが高いと言えます。逆に割安で買えるチャンスもあります。

無配企業への投資に私は否定的ではありません。ただ、こういう無配企業の特徴をしっかり理解して投資に臨むことは大切だと思います。

少なくとも、30年レベルでゆっくりお金持ちになりたい人が無配成長株に投資する必要はないと思います。それは、『株式投資の未来』でジェレミー・シーゲル氏が明らかにしてくれた通り、長期では株主還元に積極的な成熟企業が投資対象としてベストだからです。

素晴らしい企業の株をまともな価格で買って持ち続ければいいのです。

 - 投資理論・哲学