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FRBのQE政策からバランスシート縮小までを会計仕訳で考えてみよう

   

米国中央銀行のFRBは2008年、サブプライムローン問題に端を発する金融危機に対処するためにFF金利の誘導目標をゼロ付近まで下げました。さらに、金利操作だけでは緩和効果に不足があるという判断からQE政策も合わせて実施していました。

QEとはQuantitative Easingの略で量的金融緩和を意味します。市中に出回る通貨量を増やすことで、経済を活性化させようというものです。2008年にQE1、2010年からQE2、2012年からQE3と称して3つのフェーズに分けてFRBは資金量を増やしていきました。

特にQE1では1.7兆ドルを超える資金供給を実施しました。購入対象は主に国債とMBS(不動産ローン担保証券)でした。QE1はQE2、QE3の2倍以上の効果があったと言われます。一連のQE政策は2014年10月に終了しました。

追加の資金供給政策は2014年10月に終了したものの、FRBは保有国債やMBS等の償還金を再投資することでバランスシートの規模を維持してきました。追加の資金供給はしないけど、資金量を減らすことはせず現状維持を続けてきました。

その現状維持もついに終わる時がきました。FRBは2017年9月20日のFOMCでバランスシート縮小を正式に公表しました。FRBのバランスシート規模は現在約4.5兆ドルありますが、米国債やMBSの償還金の一部を再投資に回さないことでその規模を少しずつ縮小させていく予定です。

バランスシート規模をどの程度にするか明確な目標はありませんが、2020年を目途に1兆ドル程度のスリムダウンを目指しているようです。

さて、FRBのバランスシートを縮小するということはQE政策と逆のことをするということです。QE政策とは市中にジャブジャブとお金を供給することですが、バランスシート縮小は市中から資金を吸い上げて資金量を減らすことです。

ふ~ん、そうなんだ~。
くらいの感じだと思います。

まあ我々国民(米国民じゃないですが)は、お上のFRBに任せて成行きを見守るしかありません。バランスシート縮小の仕組みなんて理解する必要は別にないと思います。

ですが、せっかくならバランスシート縮小の仕組みを理解できた方が頭がスッキリするかもしれません。同僚に、もしかして上司にドヤ顔で説明できて尊敬の眼差しで見られるかもしれません。それで評価が上がって賞与がアップするかもしれません!

ってなことは先ずないと思いますが、FRBのバランスシート縮小の仕組みを会計仕訳で説明したいと思います。最近、経理部は1年で最も暇な時期でして・・。今日勤務時間中にボーっと考えていたことを、仕事帰りのスタバで記事にしてみた次第です。

 

QE政策(国債買い入れ)の会計仕訳

先ずはQE政策。FRBが市中にお金を流すフローはどうなるでしょうか。FRBは民間銀行から国債を買い入れることで資金供給します(この例では国債とします)。

その時、民間銀行とFRBではどのような仕訳が起こるでしょうか?

こうなります。

民間銀行は国債という資産を売却して、その見合いとして中央銀行準備預金に入金します。まあ、ここは国債を売ったんだから国債が消えて売却代金を得たと普通に考えて下さい。

で、FRB側の処理はどうなるでしょうか?

先ず、当然に国債を受け入れます。借方は国債です。

FRBの会計仕訳の貸方(右側)はどうなるでしょうか?

その貸方「????」にしたところこそFRBの錬金術が会計に表れるところです。会計を考える時は、常に借方(左側)と貸方(右側)の両方を考える必要があります。

左側は資産の内容です。ここでは国債ですね。

右側は資金の調達方法を表しています。企業で言えば社債とか借入金とか資本金などです。

FRBはどういう方法で資金を調達しているでしょうか?

借金?
増資?
NOです。

FRBはそんな面倒なことして資金を調達する必要はありません。なぜなら、FRBは無から資金を創り出すことができるからです。中央銀行は紙幣をいくらでも刷れると表現することがあります。実際に刷っているでのはなく、あくまでもデータ上の話です(実際に刷る必要がある時もあるでしょうが)。データ上でFRBはマネーを創出します。ボタンをポチっと押したら、ぼわ~んとお金が生まれる感じです。

FRBは資金を調達する必要はありません。
資金を創り出せるからです。

つまり「????」の部分は、FRBが魔法で創り出したデータ上のお金が入ります。もはや科目名称などどうでもいいと言えますが、「銀行発行券」という科目でBS計上されています。

銀行発行券は一応FRBにとっての負債です。無から資金を生み出して国債を購入するためのデータ上の幻想の負債です。幻想というとちょっと語弊がありますが、今は金本位制ではないのでこの負債に債務性はありません。FRBの信用のみによって成り立っているものです。

これがQE政策(FRBが民間銀行から国債やMBSを買い入れて資金量を増やす政策)の簡単な仕組みです。

FRBは理論上はいくらでも資金を創り出せます。ですが、その創り出した資金を民間経済の中に放り込むのは自由にはできません。相手が必要な話です。民間経済のプレイヤーと取引する必要があります。一般的には、上記のように民間銀行から国債等を買い入れることで資金を供給します。日銀はETF買いという手法も採用していますね。

 

バランスシート縮小の会計仕訳

では、QE政策とは逆に資金量を減少させるバランスシート縮小はどのように会計仕訳で表現されるでしょうか?

ここからは、もう民間銀行は登場しません。FRBが保有している国債に満期が到来したらFRBは、その元本金額を受け取ります。で、その受け取った資金を抹消するのです。

国債満期到来で受け取ったマネーをデータ上から抹消することこそが、FRBのバランスシート縮小の本質だと言えます。

抹消できます。だって元はFRBが無から「えい!」ってデータ上で創り出したのがマネー(=クレジット)なのですから、それをデータ上から抹消することも当然できます。

仕訳を書いてみます。
先ずは国債満期到来時の仕訳です。

民間銀行側の処理は何もないです。

FRBは国債が満期を迎えたので、国債が消失して見合いの償還金を得ます。Cashと表示していますが、現ナマという意味ではなくこちらもデータ上のお金です。私たちの銀行預金みたいなイメージです。

ここまでは理解しやすいと思います。ただ保有していた国債が満期を迎えたので、その代金を受け取っただけということです。

このあと、どうなるでしょうか?

今まではその償還金を再投資していました。一度償還されたけど、その資金で再度国債を購入していました。仕訳としては、「国債 / Cash」となるでしょう。

でも今回は違います。
今回はFRBは償還金を再投資しないと言っています。

では、再投資しない償還金はどうするのでしょうか?

抹消するのです。
この世から消し去るのです。

仕訳はこうなります。

QE政策の仕訳で出てきた「銀行発行券」を消し去ります。QE政策の仕訳では「銀行発行券」は貸方(右側)に出てきましたね。今回は逆に借方(左側)に出てきます。

QE政策の時にFRBの魔法で誕生した「銀行発行券」は、この仕訳で相殺されて消えます。

こうやって、FRBは償還金を再投資することなくデータ上から抹消することで市中の資金量を減らします。決して紙幣を暖炉で燃やしているわけではありません。

このようにして資金量が減って米ドルの価値が相対的に上昇するとマーケットが読んでいるので、最近米国債利回りが上昇するとともにドル高が進行しています。米ドルの量が減るんだから、米ドルの希少価値は上がりますよね。限定品の価値が高いのと同じ理屈です。

 

まとめ

 

私たちはお給料というマネーを求めて日々忙しく働いているわけですが、そのマネーをいとも簡単に創ったり消し去ったりできるのがFRBという存在です。

ロスチャイルド家がなぜFRB設立を強く望んだのか。それは、国家のクレジットシステムを牛耳ることは経済を牛耳ることに等しいと分かっていたからだと思います。それを金本位制が崩れる前から見通していたのではないでしょうか。

FRB恐ろしや。

いや、ロスチャイルド家恐ろしや。

あ、なんか、この記事書いている時にふと昔読んだ一冊の本が脳裏に蘇ってきました。この本とても勉強になりますよ。おすすめです。

金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った (5次元文庫)

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