マンション購入を検討し始めたのが8月上旬。8月は勉強期間で実際にマンション探しを開始したのは9月から。契約は10月下旬だったので、検討期間は2か月もなかったです。

内覧したのは中古マンション3件と新築マンション1件の計4件。中古マンションは1件に指値購入申込みを入れましたが、別の人が満額申込みで買えず。次に見た新築マンションを買うことになりました。

購入した新築マンションの金額は約7千万円。かなり高額です。ほぼ限界までローンを引いてようやく買える物件でした。

ところで、お世話になっていた仲介業者さんが言っていたのですが、マンションを探し始めてもなかなか買えずに1年2年経過してしまう人も結構いるそうです。その間に価格は上がり続け、同じ物件でもたった2年で1000万円超上がったケースも珍しくないと。

なぜ購入の決断ができないのか?

人それぞれ色んな事情があるでしょうが、一つの理由として金額が大き過ぎて決断する勇気が出ないというものがあるかと思います。

都内で3LDK買おうとすると最低でも4~5千万円の予算は確保しておきたいところです。最低でそれです。生涯賃金が2億円だとするとその25%に相当します。

住宅が人生最大の買い物と言われるのもわかります。

しかし、私は思うのです。住宅は本当に人生最大の買い物なのかと。

「買い物」とは損益計算書に費用として計上されるものというのが私の定義です。スーパーでの食料品の購入、電車運賃、通信費、レンタカー代、これらはすべて「買い物」です。費用です。

でも、自宅購入は「買い物」ではないです。

5千万円のマンションを買ってもPLに計上される費用はせいぜい200万円程度です。その200万円とはローン手数料、印紙代、保険料などいわゆる諸手数料と呼ばれるものです。物件価格そのものを費用計上する必要はありません。よほど選別を誤らなければマンションは立派な資産です。

5000万円のマンションを諸手数料200万円込みのフルローンで買ったとしたら、会計仕訳はこうなります。

5200万円という多額の借金を背負うわけですが、うち費用に充当されるのは200万円のみ。5000万円は資産としての価値があるマンションです。換金性のある担保資産があるから銀行も低利でお金を貸してくれます。

本当にマンションが5千万円で売れるのか。その資産性の精査はとても重要です。需要の高い立地でなるべく大規模な物件だと資産価値が高いと一般的には言われます。周辺中古相場と大きく乖離してないかのチェックも重要です。

まあ100歩譲って仮にマンションの時価が1000万円下がったところで、4000万円で売れれば残債は1200万円にまで減るわけです。

マンションが費用ではなく資産である以上、実質的な住宅ローンの額は見た目ほどは大きくないと言えます(とはいえ、残債割れが1千万円規模で発生すると売りたい時に売れないリスクがあるので、やはり資産性の見極めは重要)。

住宅購入を一般的な買い物と同じだと認識してしまうと、なかなか購入に踏み切れなくなります。住宅は費用ではなく資産、つまり投資だと思えば数千万円でも「えいや!」で契約書にサインしやすくなります。

100万円を海外旅行に使うのは抵抗がありますが、100万円をS&P500ETFに投じるのは抵抗がありません。前者は費用だけど後者は資産(投資)だからです。家も同じノリでした。

家は金額があまりに大きいので投資という認識があっても躊躇してしまう気持ちはわかります。最近は高値市況なので慎重さが求められます。特に新築マンションは資産性の怪しいものが多い印象です。安全を見るなら中古だと思います。

ですが、欲しいならいつか買わないと時間だけが容赦なく過ぎていきます。ローンを組んで家を買うという行為を会計的に正しく捉えることができれば、ちょっとは購入の勇気が湧いてきます。