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在庫回転日数から分かるアップルの最強っぷり

      2018/03/13

これは過去5年間のアップル(AAPL)のバランスシートの資産の部(左側)です。

流動資産が3割ほどで7割弱が固定資産ですね。

アップルの流動資産のうち、半分以上が米国外で運用する短期投資です。アップルは2000億ドル以上の海外資金を持っていて、昨年のレパトリ減税による恩恵を受けます。

アップルはこの米国外運用資産がなければ流動資産はもっと少ないです。グラフからは分かりませんが棚卸資産が総資産に占める割合はたったの1%です。

総資産に占める棚卸資産の割合がたったの1%ってw。アップルは最近こそサービス収入の割合が上がってきましたが、まだまだデバイスを売って儲けている会社です。iPhoneのグロスマージンは70%を超えると言われます。製造をすべて委託しているとは言え、この棚卸資産の少なさは尋常じゃないです。昨年、生産が追い付かずiPhoneXの納品が遅れましたが、それは過剰な在庫を持たないアップルの会社方針のせいもあるでしょう。

過剰な在庫を持たない、、言うは簡単ですが行うは難しです。バックオーダーを出すと顧客に迷惑が掛かるから、ある程度の在庫を持っている企業が多いです。あとサプライヤーとのパワーバランスからまとめて多めに仕入れを行わざるを得ないこともあります。在庫を持たないってそんな簡単にできることじゃないです。アップルが最小限の在庫しか持たずにビジネスを回せるのは、iPhoneの納品を待たせても顧客は逃げないという自信と製品競争力、そしてサプライヤーに対する交渉力があるからです。

アップルの在庫がどれくらい少ないかは在庫回転日数を見るとより鮮明に分かります。これは何日分の在庫を持っているかを示す指標です。ちなみに私が勤務している某メーカーの平均在庫回転日数は約90日です。仮に生産が完全にストップしても3ヵ月くらいなら事業を継続できるということです。

では、アップルの在庫回転日数はどれくらいだと思いますか?
想像してみて下さい?(当てずっぽうで大丈夫ですw。)

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正解は約13日です(2017年9月期決算のInventoryとCost of SalesからHiro計算による)。これはかなりえげつないです。メーカーで在庫回転日数が13日なんて私の短い会計士経験では見たことありません。たった2週間分の在庫しか持っていないということです。

在庫が少ないってことはそのままROE改善に繋がります。詳しいロジックはここでは説明しませんが、売掛金や棚卸資産(在庫)などの運転資本の減少は経営改善に直結します。

 

「トヨタ看板方式」って聞いたことありますか?
我が国を代表するトヨタ自動車の生産管理方式のことで「ジャストインタイム」とも呼ばれます。必要な時に必要な分だけ生産するというものです。なるべく在庫を持たないという方針です。

そんなトヨタ自動車の在庫回転日数はどれくらいだと思いますか?

想像してみて下さい?
(当てずっぽうで大丈夫ですw。)

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正解は約38日です(2017年3月期決算の棚卸資産と売上原価からHiro計算による)。これはめっちゃ凄いですよ。車のメーカーですよ。あれだけ全国、全世界に販売店を持っておきながら在庫をたったの38日分しか持っていないわけです。トヨタ強いです。さすが看板方式、ジャストインタイムです。

ですがトヨタですら1カ月以上の在庫を持ってるんです。まあ小さなスマホとデッカイ車を単純に比較はできないかもしれませんが、在庫回転日数13日のアップルがどれだけ凄いかが分かるのではないでしょうか?

トヨタの在庫回転日数38日もめっちゃ凄いんですが、なんでトヨタはこんなに在庫を持たずに経営できるのでしょうか?「よーし、うちもトヨタを習って来年から看板方式の生産にするぞ!」ってあなたの会社の社長が宣言したからって、それがホントに実現できますか?

普通に考えて無理ですよね。やれるならとっくにやっとるわって話ですよねw。どんな会社の経営者も在庫はなるべく持ちたくないと思っています。やむを得ず持っているだけです。

じゃあ、なんでトヨタは看板方式の生産ができるのでしょうか?

それはトヨタ自動車の他社に対する交渉力がメチャクチャ強いからです。トヨタはサプライヤーにこう言うわけですよ、「俺らがよしって言うまで部品は納品するなよ!」って。こうやってサプライヤーにギリギリまで出荷を待たせるからトヨタの在庫は少なくなるわけです。そのしわ寄せは、当然サプライヤーに行っています。サプライヤーは天下のトヨタ自動車様の言うことには従う必要があるわけです。トヨタに取引を打ち切られたら食っていけないわけです。

ちょっと語弊があるかもしれませんが、トヨタの看板方式生産は「脅し」みたいなもんですよ。「俺らの言う通りに納品しろよ!」って脅しているようなもんです。でもビジネスってそういうもんですから、仕方ない面もあります。「買い手に対する交渉力」、「売り手に対する交渉力」は企業の競争力を左右する重要な要素です。トヨタも利益を出すために必死なわけです。ちなみに、トヨタ自動車に文句を言えるサプライヤーはブリジストンくらいだと聞いたことがあります。

 

アップルも同じです。アップルはサプライヤーにも顧客にも強い交渉力を持っているから在庫回転日数を13日にまで短縮化できるわけです。その割を食っているメーカーはきっとたくさんあるはずです。でもアップル様には逆らえません。時価総額世界トップのアップルとの取引を失うわけにはいきませんから。

企業の収益力や競争力は損益計算書やキャッシュフロー計算書からしか読み取れないと思われがちですが、実はバランスシートにも貴重な情報は詰まっています。運転資本(現預金+売掛金+在庫-買掛金)が少ない企業は交渉力のある強い企業であることが多いです。

アップルのバランスシートから、いかにアップルが強い企業かが分かりますね。配当利回りがもうちょい上がってくれば是非とも投資対象に入れたいです。超優良企業です。こんな世界最強企業に国家を超えて、ネット証券でクリック一つで投資できるのが現代の投資環境です。インターネットは世界を変えましたね。アップル株への長期投資は有望だと思います。

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