首都圏に住んでいる。
少なくとも5年は定住する覚悟がある。
流動性の高いマンションを買う。
適正価格以下で買う。

これらの条件を満たすなら賃貸より持家の方が得だと思っています。細かい計算は示しませんが、色々調べた結果そう考えるに至りました。

私はもう23区内に10年以上住んでいるわけですが、結婚を機に2021年(34歳)になってようやく最初の1件目を取得しました。入居は22年でつい最近のことです。

20代独身だった時からローンを引いてマンションを買っていれば良かったと今後悔していますが、当時は持家に対して抵抗感がありました。

書籍やネットから持家に対するネガティブな情報を得て、かつそれに対して自分も納得していたからです。具体的にどんな情報、言葉によって自宅マンション投資へ進めなかったのか書きます。

終身雇用が終わった現代において35年ローンなんて組んだら人生詰む

転職が当たり前の時代になり、新卒から定年まで一つの会社にずっと勤務する人は少なくなった。そんな時代に35年ローンで家を買うのは馬鹿げている。35年ずっと安定給与がある保証なんてないのだから。35年ローンは年功序列終身雇用時代の過去の遺産。

こういう意見を見かけて「確かにそうだな」と思っていました。

今はこの意見が煽る恐怖心はほとんど感じていません。35年勤めあげる覚悟ができたわけではなく、そもそも35年かけて労働収入から返済し続ける必要はないと思っているからです。

バランスシートの右側には住宅ローンという負債があるわけですが、左側には同額程度の資産価値のある不動産があるわけです。

きちんと売れる物件を選んでおけば、最悪の時は自宅を売ってローンを完済すればいいだけです。購入時から資産価値が下がっていなければ、売却時に数百万、場合によっては数千万円が手元に残るケースもあります。

売却しなければローンは労働収入から返済することが基本にはなるとは言え、万が一の時は完済できるという安心感があるとないとでは借金に対する恐怖心が全く違います。当たり前ですが住宅ローンは無担保ローンではないのです。

家を買ったら住む場所が固定化されてしまう

仕事で転勤するかもしれない、海外赴任があるかもしれない、実家がある福岡に帰ることになるかもしれない。キャリアの未来がどうなるかわからない若い時に家を買って住む場所を固定するのは危険。そう思っていました。

これは勘違いでした。住む場所を変えたいなら売ればいいだけです。売りやすいマンションを選んでおく必要はありますが。

と言っても、賃貸ほど簡単に引っ越せるわけではありませんし自宅の売却には手数料もかかります。最低でも5年は住む覚悟は必要かなと思います。

持家を選んだ時点で賃貸よりは移住の柔軟性が落ちるのは事実ではあります。ただ住む場所が一生固定化されるとまで深刻に考え込む必要はありませんでした。

家を売却して住み替えるという発想が昔は全くありませんでした。両親も分譲マンションで1990年から今日までずっと住み続けてることもあって、自宅を買ったらそこに住み続けるものという固定観念を持っていました。

新築マンションは買った瞬間に価値が20%落ちる

持家の中でも、特に新築マンションは絶対に買ってはいけない。業者の粗利がたんまり乗っているので、買った瞬間に資産価値が20%は目減りするぞ。

こういう情報を取り込んでました。

これは明確に嘘です。取引データを見ればはっきりわかります。ここ数年はむしろ買った瞬間に含み益が出ていることも珍しくないくらいです。

周辺中古よりも明らかに割高な価格で売り出される新築マンションもあって(特に郊外)、そういうのを掴んでしまうと買った瞬間に20%価値が落ちることもあるかもしれません。

でも、それはきちんと目利きすればいいだけです。すべての新築マンションが買った瞬間に価値が落ちるという話ではありません。

分散投資の原則に反する

「たまごを一つの籠に盛らない」というのは投資の基本原則です。長く投資を続ける上で分散は大切です。

ですが、家は高額なので、自宅を買ってしまうとどうしても資産全体に占める不動産の割合が高くなってしまいます。

たとえば、以下は直近の私の資産構成です。

(マネーフォーワード)

全体の6割近くが不動産になっています。しかもREITなどで複数物件を持ってるわけではなく、自宅マンション1件への集中投資です。

私はまだマシな方でしょう。自宅を買った人は総資産の9割が不動産という人も珍しくないはずです。

これはリスク資産のポートフォリオとして好ましいとは言えません。資産3分法という言葉もあるくらいです。不動産は総資産の3割くらいに留めたいのが理想です。

この意見には反論できません。その通りだと思います。自宅を買うと資産構成が不動産に偏ってしまうのは事実です。不動産の割合が全体の3割程度に落ち着くまで、株式投資で総資産を増やしたいです。

持家に対するネガティブ意見のうち今でもその通りだと納得しているのは、この「分散投資の原則に反する」という点くらいです。これ以外の3つは当時の自分の間違った知識による勘違いだったと思っています。