今では配当大好きキャラを確立しているつもりですが、こう見えても昔はアンチ配当だったんです。

配当なんてけしからん。経営者はできる限り利益を内部留保して、キャピタルゲインで株主に報いるべきだ。そうすれば、株主は税金支払いを繰り延べることができる。即課税される配当をジャンジャン出す経営者は株主利益を無視している!

20代前半の頃はこういう思想でした。

しかし、ジェレミー・シーゲル氏の『株式投資の未来』を読んで考えが変わりました。

経営者と株主の利害は完全には一致しない。キャッシュを内部留保し過ぎると、往々にして経営者は株主利益に反する方法で資金を浪費しがち。派手なM&Aやプライベートジェットでの出張がその典型。たとえ課税されるとしても継続的に配当を出させることは、経営者に無駄金を使わせない内部統制として機能する。Show me the money !

なるほどー!って感動しました。納得しました。やっぱ配当は大事だ!って価値観が180度変わりました。

そこから、「配当利回りが高い銘柄のリターンが高くなる」という勘違いフェーズを経て、今では配当は確かに大事だけど、高配当銘柄が必ずしも有望とは言えないという理解に落ち着いています。配当が多い少ないというよりも、自社株買いを含めた総還元が多いか少ないかの方が重要だと今は思っています。

世間一般的な配当の認識ってどんな感じでしょうか?

配当は「おまけ」くらいに思っている人が多いですかね。株式利益のメインは株価上昇によるキャピタルゲインと思ってる投資家が多いかな。まあ、それは別に間違ってるわけじゃないですけどね。株価上昇なくして優れた投資リターンは考えられませんから。

でも、株式の長期リターン(平均)が7%~9%だとしたら、2%~3%の配当利回りって決して無視できる存在ではないはずです。表面的に数字を見るだけでも、配当はトータルリターンの3分の1は占めるのです。「おまけ」という言うには配当の重要性は大きいです。

配当が軽視されがちな理由。それは株式の長期リターンが7%~9%というのはあくまで長期平均であって、単年では+50%とか▲30%とか乱高下するわけで、そういった単年で区切ると2%前後の配当なんて「おまけ」に見えちゃうからだと思います。

最近はコロナ禍でボラティリティの高い相場が続いています。1日でS&P500指数が3%変動しても動揺しない体質に変化(進化?)しました。1日でそれだけ動けば、年間2%の配当なんて無視したくなる気持ちもわかります。

しかし、たとえS&P500指数であっても期間を長くとると配当の影響は無視できないものになります。たとえば、過去10年のS&P500指数の配当込みリターン(累積)は+276%ですが、配当なしつまり株価上昇分だけで考えると+206%です。10年前に投資した100万円が376万円になるのか、306万円になるのか。その差は小さくはないですよね。

ジェレミー・シーゲル氏は『株式投資の未来』の中で、配当がリターンに占める割合は97%もある!と言ってました。いまいち計算根拠がわからず、さすがにそれは言いすぎでは(笑)という感じもしますが、長期投資ではトータルリターンに占める配当の重要性は思った以上に大きいものです。高配当株投資ではなくインデックス投資でもそうです。

少額が故にありがたみを感じづらく脇役にされがちな配当ですが、コツコツ積み上げ、再投資に回していくことで将来大きな果実となります。