サラリーマンにとっての優良企業
サラリーマンのあなたにとって優良企業とは何ですか?
やりがいがあって遅くまで馬車馬のように働きまくる会社?
まさか、、そんな冗談言わないですよね?
サラリーマンの私にとって優良企業とは、なるべく仕事は楽でアホな上司がおらず人間関係が良好でたくさんお給料をくれる会社です。あとできれば可愛い女の子がいると嬉しい笑。
甘えるなって?
でもそれが本音です。なるべく楽してたくさん給料が欲しいです。みなさんはそう思わないですか?
基本給高くて、ボーナスしっかり出て、定時で帰宅できて、人間関係に悩まなくていい会社が理想ではないですか?ぶっちゃけ。
特に人間関係が悪いと本当に嫌になります。すべての悩みは人間関係に起因するとさえ思うくらいです。今までクソなアホ上司に当たったことが何回かあります。そういう時は通勤電車で吐き気を覚えます。
仕事のやりがい?、そんなの二の次です。
所詮雇われサラリーマンですよ。いくら頑張っても仕事の成果は我々従業員には帰属しません。株主のものです。それは株式会社とはそういう仕組みだから仕方ないこと。それに文句があるなら自分が株主になるか、ビジネスオーナーになるしかありません。ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん貧乏父さん』で言うところのBかIになる必要があります。
(株式投資家のあなたはすでにIクワドラントにはいますね。)
自分でビジネスリスクを負っておらず、ストックオプションも貰ってなく、業績向上の恩恵がほとんどない身分であるにも関わらず、命を懸けてサラリーマンをやり続けることができる人を私は理解できません。もちろん、生活のため家族のためにサラリーマンを仕方なくやり続けるのでしょうけど。
サラリーマンの仕事をサボっていいとかそういうわけではないですよ。給料を貰っている以上、与えられた職務は責任もってやり遂げる必要はあります。
サラリーマンにとっての優良企業とは、なるべく仕事は楽でなるべくたくさんお給料をくれる会社だと私は思います。
株主にとっての優良企業
株主にとっての優良企業とは何でしょうか?
それは言うまでもないですが、なるべく多くの投資リターンをもたらしてくれる会社ですよね。これは異論ないでしょう。たくさん配当をくれて、株価をガンガン上げてくれる会社に投資したいですよね。
自分が投資している会社が従業員にたくさん給料を支払う「ホワイト企業」だったら株主として嬉しいですか?
従業員への給料とは株主にとっては単なる費用です。正直言えば、なるべく払うな!って思います。なるべく人件費を抑えて、でも社員の士気は保ちストなんて起こさずに、うまく会社運営して欲しいと思います。
さっき、サラリーマンにとって優良企業とは「なるべく楽してたくさん給料がもらえる会社」とか言ってたくせに都合がいいかもしれません。
でもこれが株主としての本音です。
株主にとって優良企業とはとにかく株主になるべくたくさんのお金を残してくれる会社です。そのために従業員やサプライヤー、国家にきちんと年貢を納めてすべてのステークホルダーに貢献しなくてはならないですが、それでも最後に株主にたんまりキャッシュを残してくれる会社が株主にとっての優良企業です。
フィリップモリスが株主にとって超優良企業だからと言って、フィリップモリスがサラリーマンにとっても優良企業かどうかは知りません。まあどうせ給料も高いのでしょうけど。
国家にとっての優良企業
国家にとっての優良企業とは何でしょうか?
それはたくさんの税金を納めてくれる会社です。法人税、固定資産税たくさん払え!ってことです。アップルやアルファベットのように巧みな税務戦略を使って、実質税負担率を抑える会社は国家にとってはブラック企業です。株主にとっては優良企業かもしれませんが。
ハイテク企業のように無形の財を扱う企業は、利益を海外移転しやすい傾向にあって税負担率を引き下げることが製造業に比べて容易です。
債権者にとっての優良企業
銀行や社債券保有者といった債権者にとっての優良企業とは何でしょうか?
それはきちんと利息を支払って元本を遅滞なく返済してくれる会社です。別に業績向上とか関係ないです、どうでもいいです。財務が安定していて利息元本の返済に不安を覚えない企業こそ債権者にとっての優良企業です。
ムーディーズやS&P格付で「AAA」や「A」、「BBB」などの格付を見たことがある人も多いと思います。財務安定度の格付です。
これって皆さん勘違いしてませんか!?
「AAA」の企業が優良企業だと勘違いしてませんか?
違いますよ。いや違うというか、正確な表現ではない。
「AAA」というのはあくまでも“債権者にとって”優良企業なだけです。
「AAA」の企業が従業員にとっても優良企業なのでしょうか?「AAA」だからたくさん給料をくれる会社ってわけではないですよね。
「AAA」の企業が株主にとっても優良企業なのでしょうか?「AAA」の企業がたくさん配当を出して、株価を上げてくれる会社なのでしょうか?財務が安定しているということは、自己資本が厚いので負債のレバレッジ効果が期待できず、株主にとってはむしろ悪な可能性すらあります。
株主にとっての最適資本構成とは、とにかく財務が安定して自己資本比率が高い状態ということではありません。適度に負債を活用することで株主価値は高まります。
私は株主として企業を見る時、財務格付が「AAA」だからと言ってあまり好感はしません。確かにバフェットはなるべく借金をしない企業がいいと言っていますし、それには基本同意です。でもだからって無借金が常に正義というわけでもありません。
昨今のように低金利で負債コストが低いときは、ある程度銀行から借金をして自己資本比率を引き下げることも必要な財務戦略です。
「AAA」の企業が国家にとっても優良企業なのでしょうか?「AAA」だからってたくさん税金納めてくれるわけではありませんよね。
財務格付ってのは債権者にとっての会社の価値を示しているのであって、株主や従業員としての価値を示しているわけではありません。
格付が「AAA」だから「わーー優良企業だ!こんな会社に就職したい、こんな会社に投資したい」とかそんなアホなこと考えたらダメです。確かに「AAA」を取得する会社は従業員や株主にとっても優良企業なケースは往々にしてあるでしょうが、従業員や株主として会社を判断すべき視点はもっと別にあるはずです。
ちなみに2015年版四季報からS&P格付け「AAA」の米国企業をピックすると、マイクロソフト、エクソン・モービル、ジョンソン&ジョンソンなどです。あ、結局株主としても優良企業ですね。。
会社の価値は多面的
サラリーマンの世界しか知らない人は、仕事が楽で人間関係が良くて給料が高い会社が優良企業だという視点から抜け出せません。
株式投資をしている人は、配当が多くて株価が上がる企業が良い会社だと思います。株主にとって従業員への給料とはビジネス運営上の単なる費用です。
会社の価値というのは非常に多面的であり、一義的に決まるものではありません。
社会に価値を提供して多額の収益を得て、すべてのステークホルダーに価値を還元できる会社。最大公約数的な表現をすると優良企業の定義はこんな感じでしょうか。
株式投資を始めると、サラリーマンから見ていたのとは違う視点で会社を見ることになります。それは人によってはパラダイムシフトと思えるかもしれません。私はそうでした。
会社の価値とは多面的なものです。
遅ればせながら今年もよろしくです。
従業員として持株会に入るはまさに矛盾ですよね。パイの取り合いなのに、給与上げろ〜ってのと配当もっと出せ〜は両立しないですよね
こちらこそ、本年もよろしくお願いします。
確かに持ち株会に入るということは、よく考えたら利益相反とも言えますね。
給与収入と配当収入を一つの会社に頼るのはリスク分散の観点からも良くないですよね。
日本の会社に勤めて米国株に投資するのは、そういう意味でも良い戦略かもしれません。
私は職業柄膨大な数の方々の収入状況を見てきましたが、
給与収入だけで資産を築くのは限界があると感じました。
会社員の給与収入なんてどんぐりの背比べですから。
我々サラリーマンも資産を持つ側の人間にならないと
経済的な蓄えを築くのは困難だと思います。
「一億総資本家化」がひいては経済的な格差縮小にもつながるとすら考えています。
年収は大いに越したことはないですが、年収1000万円も600万円も生活の大差はないように思います。
年収が上がると税金も増えますし。
私もジグゾウさんにご意見に同意です。
株式投資をすることは個人の自由とは言え、やはり日本国民全体にインカム目的の長期投資が浸透することが消費を押し上げて経済を活性化する一つの解だと思います。
松下幸之助も「1億総株主社会」みたいなことを言っていたそうです。日経のコラムに載っていました。
株式投資に対する誤解を無くすための投資教育が必要なのだと思います。
hiroさん
その通りですね。
S&PやムーディーズがサブプライムローンにトリプルAの格付けしていましたからね。
ちなみにアルトリアがトリプルBだそうです。自分にはトリプルSの企業にしか見えませんが。
カイトさん、コメントありがとうございます。
昔の自分の記事を読むと恥ずかしくなりますw。
サブプライムローンの時に格付け会社が顧客企業から仕事をもらうためにトリプルAを付けていた、というシーンが映画「マネーショート」に出てきました。
監査法人のオピニオンショッピングもかつて問題になりました。
企業の体質が悪いというよりは、構造的な仕組みの問題ですね。
格付けをどれほど信用してよいものかわかりません。
ちなみに、この記事ではトリプルAであっても株主として良い会社とは限らないという話でした。
財務安定性が高いことは良いことですが、過度に経営が保守的過ぎてもダメですということですね。
アルトリアなんて債務超過寸前ですが、それは株主還元を続けた結果ですね。
債権者からみればアルトリアはBBBですが、株主から見ればAAAですね。
こんばんは、そういうことだったんですね。
格付けが債権者に対するものだったなんて知りませんでした。
まあ、ダウ30に入るような銘柄は、社員にとっても債権者にとっても株主にとっても優良企業なので、そこまで考えなくても問題がないんでしょうけど。
この記事は意外性があってとても面白かったです。
こんばんは。
財務格付けはあくまでも債権者目線の会社評価です。
「AAA」だから投資先として有望とは限らないです。
まあとは言っても、記事にも書いた通り「AAA」の会社は結果として投資先としても魅力的はありますが。
従業員から見るのか、サプライヤーから見るのか、投資家から見るのか、政府から見るのか、視点によって企業の魅力は異なりますね。
米国企業は株主視点では最高の企業が多いと思います。
従業員としては働いたことがないのでわからないですが、日本よりは実力主義で厳しい環境だと思われます。
日本は、企業にもよりますが比較的従業員に優しい企業が多い様に思います。
あと日本企業は米国企業ほどドラスティックな節税をしないできちんと納税するので、政府から見ても良い企業が多いと思います。