2年くらい前に一人で大阪に行きました。ノープランで1泊2日。特に観光地には行かず、適当に食べ歩くだけ。特に裏なんばという所が、安くて美味しい飲み屋さんがたくさんあって良かったです。また行きたいです。

大阪と言えばたこ焼きですよね。もちろん、たこ焼きも食べました。ネットで調べて有名どころに行きました。JR大阪駅(梅田だったかも)のガード下にある「はなだこ」というお店です。ふっくら生地で噂に違わぬ味でした。


一人でここに並んで買って、すぐ横のカウンター式のイートインスペースで食べたのを覚えています。

先日、その「はなだこ」が脱税で摘発されていて驚きました。隠ぺいした所得の金額は5年間で1億4000万円とのこと。こんな狭いスペースで営業していて1億4千万円もの隠し所得があるなんて凄いビジネスだなあと思いました。あくまで所得隠しの金額が1億4千万ですから、総所得はもっと大きいです。いくらかは知りませんが。

たこ焼きなどの粉もんは儲かるって言いますよね。原材料の小麦粉が安いから。「築地銀だこ」を運営している株式会社ホットランドの決算書を見てみると、粗利率は61%でした。結構高いです。「はなだこ」は8個で600円でした。ざっくり250円前後が原価でしょうか。いや、もっと安い気もするな。

たこ焼きはなぜ儲かるのか?

原価が安く利益率が高いからです。そのままですが。では、なぜ原価が安いのに、それなりの値段を顧客に請求できるのか?

それは、顧客がそれだけのお金を払ってもいいと判断しているからです。価格は需要と供給の一致点で決まります。8個600円でも買いたいお客さんがいるから、600円で売れます。安いたこ焼き屋でも400円くらいは取りますよね。

たこ焼きが原価が安くても500円前後の値段を設定できるのは、たこ焼きが食品だからです。空腹を満たせる食品だからです。空腹を満たすために支払う金額は500円前後、高くて1000円というコンセンサスがありませんか。暗黙の。日本においては。

牛丼チェーンも定食屋も、他ファストフードもだいたい500円~1000円くらいですよね、1食の値段って。もちろん、居酒屋とかお洒落なレストランに行けばもっとします。でも、それは空腹を満たすためと言うよりは、みんなでワイワイ楽しく過ごす、大切な人と素敵な時間を過ごすといった別の価値を得るための値段です。

それなりの食事の形式で空腹を満たすという価値に対しては、500円~1000円くらい払ってよいと人は判断するようです。一種のアンカリング効果みたいなものが働いていると感じます。衣食住をビジネスにすると法外なマージンは取れませんが、一定の値段は保証されます。販売単価に下限があるから、原価を下げれば下げるほど利幅が広がります。だから、原価が安い粉もんビジネスは儲かります。

安定したビジネスの典型として、販売価格が規制に守られている産業が挙げられます。たとえば製薬や電力など。これらは国によって商品、サービスの値段が決められますが、その値段で売れば高い利益を残せるようになっています。参入障壁は極めて高いです。

食品や不動産の提供は規制によって守られているわけではありません。誰でもやれます。参入障壁が低いので、過当競争になり価格は下がる一方に見えます。しかし実際には「食べる」、「住む」といった人間生活の基礎となる部分の値段には下限があるように思います。実質的な価格保証です。飲む100円、食べる500円、住む50,000円/月といった感じで。家賃には下方硬直性があると言われますよね。

そこが生活必需品を売る企業の良いところです。アップルのiPhoneのようにドカンと一発当てて、一気にビッグに成り上がるのは難しいですが、コスト削減を繰り返しならが地道に利益を積み上げることができます。

株式投資ではハイテクセクターに目が向きがちですが、衣食住を抑えている企業も注目に値すると思います。特に食と住ですかね。