昨夜は株式資産が207,990円増えました

11月の米雇用統計が発表されました。結果は良かったです。
非農業部門雇用者数:前月比+26.6万人
平均時給:前年同月比+3.1%

雇用統計が良いとむしろ株が売られることがあります。好調な景気を受けてFRBが利上げするのではとマーケットが警戒するからです。しかし、パウエル議長は今年3回利下げしており、よほどインフレ率が急伸しない限り一旦静観の構えです。

なので、昨日はマーケットは強い雇用統計を素直に好感したようです。NYダウ、S&P500指数ともに1%を超える上昇。最近、トランプ関税砲で少し相場が荒れましたね。今年の12月はこのまま穏やかに行って欲しいです。安値を拾うチャンスとか別に要らないです。。安心して年末を迎えたい気持ちの方が強い。

私の株式資産もぼちぼち増えました。こんな感じです。

プラス21万円。労働でこれだけ稼ごうと思ったらめちゃ大変です。1日の資産変動額が月収に匹敵するほどになると、たまに真面目に出勤するのがアホらしく感じる時があります。と言っても、逆に動くときもあるわけだし、気まぐれな株価に一喜一憂してもしゃーないんですけどね。

株式は価値が視覚化されている稀有な存在

で、なんでわざわざ資産時価の画面を見せたかというと、それがこの記事の本題だからです。改めて思うんですけど、株式の価値って常に客観的に数字で示されますよね。私の保有株式(若干の預け金含む)の時価は26,875,220円です。昨夜の相場変動を経て207,990円増えました。自分の資産がいくら増えたか1円単位でわかります。

これって当たり前に思うかもしれませんが、実際はかなり特殊な世界です。これほど価値をはっきり視覚化できているのは株式くらいじゃないでしょうか。株式というか市場性のある金融商品全般ですかね。

価値が日々変動するのは株に限ったことではありません。諸行無常です。価値というのは人の主観的な評価の結果です。人の心は移ろいやすいですから、モノの価値もコロコロ変わるものです。

預金の金額は変動しませんが、実際には期待インフレ率の変動によってその価値は日々動いています。預金の実質価値は数字として表示されないから、誰も気にしないだけです。もしあなたが持ち家にお住まいなら、その自宅の価値も日々変動しています。自動車も走行距離に応じて徐々に価値が減価しています。

金融資産以外は価値変動を意識することは少ないです。「自宅マンションの価値が4000万円から3900万円に下落した~。ああ、冬のボーナス吹っ飛んだわ~」とはなりません。実際に100万円相当の価値下落が起こっていたとしても、それに気づくことはありません。不動産を売却する時に初めて時価を知るくらいでしょう。住み続けるなら、リセールバリューなんて関係ないわけですし。

長期投資家にとって、株価が見えるのはデメリットの方が大きいと思う

株式のように価値がはっきり視覚化されている資産。不動産のように価値が視覚化されていない資産。それぞれ一長一短あると思いますが、あなたはどちらが好みですか?

私はですね、う~ん、これだけ株式に投資している割には後者の価値が視覚化されていない資産の方が好きです。

株式は価値が見えるから、日々のマーケットの動きに一喜一憂するわけです。ミスターマーケットの気まぐれに翻弄されます。長期的には企業利益=株主利益です。長期投資家は企業のEPSのみを見ていればよく、それが株価にどう反映されるかなんて気にしなくて構わないです。しっかりEPSが伸びれば、嫌でもいずれ株価に織り込まれます。あるいは配当として還元されます。日々の株価変動なんてノイズでしかない。

でも、株価を気にしちゃいますよね。だって、見えるから。しかも現代はスマホのアプリで簡単にチェックできます。「見ないで!」って言われても、嫌でも視界に入っちゃうから仕方ない。カフェで目の前の席に綺麗な女性がいたら嫌でもチラ見しちゃいますよね。

不動産はそんな邪念に駆られることはありません。たとえば、賃貸マンションを持っているとします。あなたが考えるのは、家賃収入がどうなるかの1点のみでしょう。あとは修繕などの管理コストか。キャッシュインとキャッシュアウトがいくらになって利益がどうなるか、そして結果としてどれくらいの利回りを確保できるかに関心が向きます。マンションの時価変動なんて気にしないでしょう。そう、それが健全なんです。キャッシュフローに着目するのが投資家のあるべき姿勢だと思います。株式で言えば株価よりも利益(EPS)に着目すべきです。

不動産投資では資産時価の変動よりも、家賃収入への関心が高くなるのは、そもそも不動産の時価が見えないからってのが大きいと思います。個別性が強く売却してExitするのが簡単ではないという事情もあります。だから、賃貸不動産を投機目的で買うのは難しく(少なくとも個人では)、普通は投資目的になります。

資産の価値自体は見えない方が、投資に集中できる側面があります。なぜなら、その資産が稼ぐキャッシュフローのみに注目せざるを得なくなるからです。資産価値の変動に惑わされることはなくなります。

ハーバード大学は最近、基金を通じてカリフォルニアのブドウ栽培事業に投資しています。土地、水源の権利を購入して、ブドウを栽培して販売収入を得るというもの。投資というか事業ですね。ブドウ畑の土地の時価なんて気にすることなく、ブドウ販売の収益性のみに集中することができます。投資した資産の価値が見えないと、嫌でもキャッシュフロー獲得に専念せざるを得ません。

一方で、資産価値が見える化されていることにはメリットもあります。それは、常に適正価格で売買できること。日々、株価が提示されるのは、マーケットで投資家同士がバチバチ値付けし合っているからです。株価とは投資家の真剣勝負の結果です。金がかかっているから皆真剣です。毎日ガチで専門家の評価を受けているのが株式という存在です。だから、株価は将来利益を反映して概ね合理的に値付けされています。流動性が高い銘柄であれば、適当に成行注文で買っても、高値を掴むリスクは小さいです。

資産価値が客観的にマーケットで数値化されておらず個別性が高い不動産は、きちんと知識を持って交渉しないと、とんでもない高値を掴まされる危険があります。たまにかかってくる不動産営業の電話に応じて、すべて業者任せで買うのは最悪ですね。十中八九、損するでしょう。不動産に限らず何でも、思考停止だとぼったくられます。

株式のように価値が見える化されていると、売却が簡単というのもメリットです。必要な時に資金化できるというのは、見落としがちですが株式の強みです。不動産の売却は大変です。仲介業者への手数料も馬鹿になりませんし。

しかし、総合的に見て、価値が視覚化されていることのデメリットの方が大きいというのが私の考えです。

株価に惑わされず、利益をしっかり見つめる

株式のように価値が視覚化されている資産は、入り口と出口がわかりやすいです。そこが良いところ。でも、一度中に入ってしまうち、出口に至るまでの道のりは何て言うか、もうお化け屋敷みたいな感じです。毎日毎日ミスターマーケットというゾンビが「わっ!」って驚かしてきます。段々慣れてきますけど、やっぱり鬱陶しいなと思います。ゾンビを無視して進めればいいんですけど、なかなかそういうわけにもいきません。

株式投資と言えば「株価上昇で儲けるもの」という理解が一般的です。それは間違いじゃないです。EPS成長に伴って株価は切り上がっていくものですから。株価上昇に期待するのが悪いなんて言うつもりは一切ありません。ただ、発想としては先ずはEPS(一株当たり利益)を見るべきです。EPS上昇を伴わない株価上昇は、いずれ霧のように消え去ります。なぜなら、最近散々言ってますが、企業利益あってこその株主利益だからです。

ここに株式投資を勉強することの意義があると思います。個人投資家の100人中95人は株価とチャートしか見てないんじゃないでしょうか。株価は「見える」からその気持ちはわかります。だからこそ、株価には長期的なEPS成長が織り込まれていないと思います。そんな遠い将来のことなんて誰も気にしてないからです。

長期的なEPS成長に思いを馳せ、株式を忍耐強く保有できる投資家が最後に笑うと信じています。