最近、ウォールストリートジャーナルなどにインフレを懸念する記事がやけに増えてきたなと感じます。
先日もイエレンさんの「経済過熱を防ぐために金利をいくらか引き上げる必要があるかも」という何気ない一言を受けて、ナスダック銘柄が急落しました。
経済過熱→急激なインフレ→利上げ、というシナリオを株式投資家が恐れている証拠です。特に(ハイパー)グロース株の投資家は。
てか、財務長官が金利に言及するのってどうなんでしょうか。金融政策の独立性なんてもはや無視ですね。まあ、元FRB議長だからこその発言ではあるでしょうが。
マーケットは恐れてはいるものの、まだインフレを現実感を持って受け止めてはいない状況です。S&P500指数のPERは22~23倍もあるし、米10年債利回りは1.5%台です。どちらも急激なインフレを織り込んでいるとは言い難いです。
財政刺激策による米国民の貯蓄残高の増加がインフレをもたらすという意見もありますが、個人的には自由貿易から保護主義への政策転換、サプライチェーンの組み直しによるコスト増の方が影響が大きい気がしています。直感ですが。
まあ、どうなるかわかりません。マクロ経済は予測できません。悪いシナリオも想定してポートフォリオを防衛するしかありません。100%グロース株はちょっと危険かもですね。
インフレに強い企業をしっかりホールドしておきたいところ。
では、どんな企業がインフレに強いと言えるのか?
インフレは賃金を始めとした生産コスト増が引き金で起こります。顧客に対する価格交渉力が強く、コスト増を販売価格に容易に転嫁できる企業がインフレに強いと言えます。
たとえば、バロンズは以下の企業に高いインフレ耐性があると主張しています。
・アルトリアグループ(MO)
・コムキャスト(CMCSA)
・リジェネロン(REGN)
・バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)
依存性のあるタバコは日常的に値上げされてますよね。そういう理由からアルトリアがチョイスされているのかもしれません。
別にタバコ会社でなくとも、S&P500に入っているような大企業はいずれも強い価格交渉力を持っていると思います。インフレに弱いのは中小企業や個人事業主ではないでしょうか。
S&P500指数やNYダウなどのインデックスを買っておけば、仮に1980年代のような二桁台のインフレが起こったとしても(可能性は低いが)、長期的にはリスク相応の実質リターンを提供してくれると思います。マイルドなインフレで済めば、株式価値にはポジティブに働くと思います。
どんな強い企業の株も、インフレ→金利上昇というフェーズに入れば売られるはずです。そこを耐え凌ぐ覚悟は必要です。コロナ暴落を耐え抜いたならきっと大丈夫なはず!
基本的に株式は長期的にはインフレに負けない性質があります。なぜなら、株式は実物資産に対する請求権だからです。インフレで実物資産の価格が上がれば株式価値も上がります。
一方で債券はインフレに負けます。債券投資、とりわけデフォルトリスクが実質ゼロの米国債への投資とは、米インフレ率に対する賭けというのがその本質ですから。
そういう各金融資産の本質的な意味合いを抑えておくと、より自信を持ってこれからの相場に臨めるかなと思います。