君は一万円札を破れるか?
みたいな名前の書籍を昔本屋で見た覚えがあります。社会人になったばかりの頃かと思います。23歳くらいか。
その時、思いました。
は!、そんなわけないやろ!!
この人何言ってんの、アホじゃないの!?
一万円稼ぐのがどれだけ大変なことか。
時給1000円のコンビニのバイトだったら10時間ですよ。丸一日以上働いてようやく貰えるお金。サラリーマンだと定時から夜中の23時まで残業したら1万円くらいですかね。いずれにしても大変です。
一万円あればどれだけのことができることか。
一万円札が一枚あれば、よほどの高級店にでも行かない限り好きなもの食べて飲み明かすことができる。好きな文庫本10冊は買えるよ。スタバのコーヒーを33杯も飲める。
そんな貴重な一万円札を破るとか信じられない!
と、、昔は思っていました。
でも、今は違うかな。
いや、確かに今財布から一万円札を取りだして破れ!って言われたらまあ無理だけど。
それは無理なんだけど。。
冒頭の書籍のタイトルである「君は一万円札を破れるか?」の著者が言わんとしていることは凄く理解できる。
実際には破れないけど、心の中では破れる。
ズルいか?ww
現代社会において、お金そのものには何ら価値はありません。
一万円札は20円くらいの原価で印刷されているただの紙切れです。偽造されないように色んな工夫はされていますがホントにただの紙切れです。
そんなただの紙切れであるお金を巡って殺人事件や戦争まで起こる世の中は異常です。
お金は昔は確固たる価値がありました。金と交換できたからです。
昔はお金とは単なる紙切れではありませんでした。それは金という希少財と交換できることが約束された証明書でした。
金と交換できることが、お金という紙切れに絶対的な価値を与えていました。お金は金のデリバティブでした。
でも、今は違います。
1971年にニクソン大統領が金とドルの交換を停止しました。俗に言うニクソンショック。ロバートキヨサキは1971年にお金のルールは変わったと言っています。
そう1971年にすべて変わったんです。1971年を境にお金は正真正銘、単なる紙切れになり下がりました。
良く考えてみれば、金とドルの交換が不可能になるのは当然なんです。私はそう思います。皆さんどう考えますか?
私は経済が成長すれば金とドルの交換が停止されることは必然だと思います。別にニクソン大統領じゃなくとも、誰かが必ず同じ政策を行ったはずです。
だって、経済が成長すればするほど出回るお金の量は増えていくのに、金は物理的に埋蔵量が有限なのですから。
私は単純にそう考えています。
経済が成長してGDPがグングン伸びれば、もはや増えた紙幣と金を交換するなんて不可能です。銀行の信用創造によって指数関数的に増加した紙幣と有限な金を交換するのは絶対に不可能。ニクソンショックは必然です。
ドル紙幣が金の裏付けを失って、アメリカ国家の信用のみを根拠に発行されるようになったのです。1971年から。
これはビッグチェンジですよね。大転換です。
ドルと金の交換停止は、サッカーでオフサイドを失くすくらいの大きなルール変更です。資本主義社会のルールの大変化。
ルールが変われば戦い方も変わります。
サッカーでもしオフサイドがなくなれば戦略も変わります。華麗なスルーパスとかいらなくなるかもしれない。前線に大型選手を置いてドンドン前に蹴りまくるかw。いや、そんなサッカーつまらないな。
スポーツでルールが変わればみんな戦略を変えるでしょ。バレーボールなんてしょっちゅルールが変わる印象があります。恐らく選手や監督はそれに合わせたトレーニングや戦術を考えているはずです。
経済も一緒です。
経済ルールが変わったなら、資本主義での戦い方も変えなくてはいけません。でも、多くの人はそのことを理解していません。
でもあなたにはそれを理解する素質があるはずです。株式投資に興味があり、米国株投資のこのブログに辿り着くあなたは恐らく金融リテラシーは相当高いのだと思います。
この資本主義のルールに気付くべきです。ルール改変からすでに40年以上経ちます。
金とドルが交換できた時代ならばコツコツお金を貯める意味はありました。貯金は経済合理的な行為でした。なぜなら常に金という絶対的な価値ある財との交換を保証されているからです。
今はどうでしょう?
アメリカはリーマンショック以降ドルを刷りまくってきました。日本や欧州は現在も刷りまくっています。お金は中央銀行の裁量で自由に作り出せます。
もうこの時点で何か違和感を感じませんか?
あなたが1カ月一生懸命働いて稼いだ30万円。貴重な30万円だと思います。でも、国立印刷局では1分くらいで30枚くらいの一万円札を刷っているかもしれませんよ。では頑張って働いて稼いだ30万円に一体どれだけの意味があるというのでしょうか?
お金は日々価値を失っていく運命です。お金を刷る権利を与えられたごく一部の天上人がいる限り、彼ら特権階級の支配者たちがお金を刷る権利を放棄しない限り、お金は放置しておくと価値は失われていきます。
トランプ政策でドル高になると言われています。
ドルの相対的価値は確かに他国の通貨と比べて高くなるかもしれません。でもドルの絶対的な価値は下がり続けます。
FRBがインフレ目標を2%と宣言していることがその証拠です。毎年2%ずつドルの価値を下げると宣言しているではありませんか。
マイルドなインフレが正常な経済政策として当たり前と思っていませんか?それはもしかしたら為政者たちの洗脳なのかもしれませんよ。
自分の財布に入っているお金は毎日少しづつ腐っていってるんだって意識的に思いましょう。お金なんて価値を交換するためのツールであって、それ以上でもそれ以下でもありません。お金に振り回される人生ほどつまらない人生はないと思います。
お金の価値が徐々に下がるということは、貯金は損で借金は得だということです。借金返済のために働かざるを得ないようなお金の奴隷になってしまうような借金は本末転倒ですが、借金それ自体は現代資本主義社会では正しい選択に思います。だって返済する将来にはお金の価値は下がっているのに、返済額面は変わらないのですから。
お金に価値はないから、今すぐすべて預金を株式投資に回せ!と言いたいわけではありません。
でも、無駄に貯金するなら何かに使ったほうが健全だと思います。一番いいのは本買って勉強したり、株を買って投資することだと思います。価値ある資産にドンドンお金を変えていく作業が必要です。
旅行行ったり、レストランで食事をするのも経験という意味で価値ある資産かもしれない。
中央銀行が好き勝手刷っているお金を巡って右往左往して、人生を浪費するのはどうも賢い生き方には思えません。最近よくそう考えます。
株式投資で億万長者を目指すこと、これすらお金に縛られていることに変わりはないかもしれない。。
たった一度の大切な人生、どう生きるかはあなた次第。価値観は人それぞれ。正解はない。
でも少なくとも、お金そのものに何ら価値はなくなったという資本主義のルール自体は知っておくべきです。
ルールを理解したうえで、どういう戦略・戦術をとるかは各個人の判断次第だとは思います。
Hiroさん、
いつも参考にさせて頂いております。
今回もお金の真実と哲学的な見方を有難うございます。
長期的に円高の場合ですと、物価は下落し海外株の資産は減って見えるかと思います。もちろん、日本円のインフレ対策、財政破たん対策にはなるかと認識しています。長期的な円安は、現在持っている海外株の資産が増えるように見え、代わりに物価は高くなるかと思います。
どちらも一長一短ではありますが、どちらに転んでも会社自体が成長し(アメリカのGDPは上昇し続けるはず、ですので)、増配や自社株買いなど株主優遇のアメリカ株に投資することは大きなメリットという認識でおります。
上記の認識で、間違っている。またはHiroさんのお考えがあれば、是非ともご教授下さい。
いつもつまならい質問ばかりで申し訳ありません。。。
のりのりっちさん、
コメントありがとうございます!
基本的に同意ですが、少し補足します。
>長期的に円高の場合ですと、物価は下落し
ここは少しご表現に齟齬があるかなと思っており正確には、長期的に円高だと日本の物価は上昇するけど米国ほどは上昇はしない、という表現になろうかと思います。
(細かい点ですみません。)
長期的に円高の場合、海外資産の名目上の円評価額が減って見えるのは仰る通りですね。
逆に長期的に円安の場合、海外資産の名目上の円評価額が増えるが物価も上昇する、ここも仰る通りだと思います。
なので為替は長期投資の実質リターンには中立だと考えています。
物価を加味すれば、為替変動は長期では関係ないと考えます。
そもそも、物価=為替だと私は理解しているのでこれは当然の帰結だと思っています。
ただし、以前記事で書いたのですが、税金を考えれば長期円高がお得だと思います。
実質リターンが同じであれば、名目リターンは低いほうが有利です。
なぜなら、名目リターンが低いとその分税金が減るからです。
ただ投資家心理としては円安になって名目リターンが大きいほうが嬉しいかもしれませんね笑。
仰る通りアメリカ株への投資が有利なのは間違いないです。
個別企業の強さという意味もあるし、何より世界のお金が米国に集まるようになっているので。
世界のお金持ち達と同じ船に乗ったほうが安全です。
米国株一点集中で間違いないと確信しています。
つまらない質問だなんてとんでもないです!
非常に考えさせられる興味深いご質問でした。
会社の同僚とこんな話絶対にしないので、こういう質問振られると楽しいんです。
寝る前に頭が冴えてきました笑。
寒さが残りますね。
体にお気を付け下さい。
ではでは、おやすみなさい。
Hiroさん、
夜分にご回答大変恐縮です。
丁寧で分かりやすい回答をいつも
有難うございます!!
円安円高どちらに転んでもアメリカ優良株に投資していこうと思います。
長期投資、一緒に頑張らせて頂ければ幸いです。
私の場合はアーリーリタイヤを目指したいので目的は異なりますが、、、
今度ともどうぞ宜しくお願いいたします。
>長期投資、一緒に頑張らせて頂ければ幸いです。
こちらこそ、のりのりっちさん初め、多くの方がコメント下さり、またブログをご覧いただいていることが長期投資を続けるモチベーションになっております。
ちなみに、私もアーリーリタイヤを目指しております。
そのために、株式投資ではない別の副業を最近勉強しています!
自由な人生の獲得に向けて。
お互い頑張りましょう!
いい記事ですね。このブログのファンとしては特に好きな内容です
誰しもが一度は何でこんな紙切れに価値があるんだろうと思った事あるはず。でも歳とともにそんな事忘れて…
私も最近お金の勉強始めて、ようやく知るに至りました、天竜人が作った信用創造という魔法の世界を。知って踊るのと知らずに踊らさせるのは違いますよね
はい、やはり本を読んで能動的に勉強しないと知り得ない世界ですよね。
これは学校では教えられないと思います。
為政者の思惑もあるし、何より働いた経験のない子供、学生には難しい。
大人になってから自分で資本主義・お金の勉強した人とそうでない人、金融リテラシーを身に付けた人とそうでない人、この違いは将来の個人の財政状態に圧倒的な差を生むと思います。
天は自ら助くる者を助く、ということですね。
>このブログのファン・・・
ありがたいお言葉、ブロガー冥利に尽きます。
波乗り翼さんのコメントやご質問には非常に考えさせられることが多く、大変勉強になっております。
Hiroさん
>マイルドなインフレが正常な経済政策として当たり前と思っていませんか?それはもしかしたら為政者たちの洗脳なのかもしれませんよ。
この一文に、今日はハッとさせられました。
2%インフレで景気を良くするんだ、だから金融緩和やマネタリーベース増大も正しい、という論理の帰結も、本質を見通せば、あるいはポピュリズムの皮を被った為政者たちの狡猾な罠なのかも知れませんね・・。
人間の持つ時間も、エネルギー(寿命)も、お金すらも、全てのリソースが目減りしていくデフォルト設定で、時間とエネルギーを、一定額のお金(給料)と交換させるように仕向け、疑念を抱かないように常にその仕組みから目を逸らさせ続ける事が出来れば、そりゃあ労働者はラットレースにはまり、ますます効率的に搾取されますよね。
実体経済と貨幣をワンセットで捉えがちなマインドセットの危険性を再認識しました。
角度は少し違うのですが、僕も最近、「高学歴ほど、実は資本主義社会で成功するには不利なのではないか?」という疑念が胸に湧き、記事にしたためた次第です。
http://serendipity.chips.jp/archives/15416
物事を、為政者や「システムを構築する側の人間」の視点に立って眺めてみると、同じ1つの事象でも180度違う景色が見えて来て、その狡猾さ、巧妙さに、悔しさと奇妙な感嘆を覚える昨今です。
まあ、次に「じゃあ今度はそれを逆手に取ってやろう」と闘志が湧いてくるのですが笑
僕自身、究極の交換価値とは「体験(=ストーリー)」そのもの、お金はそれを得るためのツール、という感覚なので、とても強く共感出来る記事でした。
コメントありがとうございます!
>人間の持つ時間も、エネルギー(寿命)も、お金すらも、全てのリソースが目減りしていくデフォルト設定で、時間とエネルギーを、一定額のお金(給料)と交換させるように仕向け、疑念を抱かないように常にその仕組みから目を逸らさせ続ける事が出来れば、そりゃあ労働者はラットレースにはまり、ますます効率的に搾取されますよね。
はい、本当におっしゃる通りですね。
教育は、世界の支配者にとって都合のいいように仕組まれているとしか思えません。
教育とお金を刷る権利、この二つを手に入れれば世界を支配できます。
お金も貴重ですが、時間というリソースを無駄にしてしまうことは最悪です。最も貴重な資源はどう考えても時間です。
愛は場合によっては?お金で買えることがあるかもしれない。無理かなw?
でも、時間は絶対にお金で買えません。
時間というリソースをどこにどう配分するか、これが人生を決します。
そういう意味で、いつまでサラリーマンを続けるか真剣に考えています。(私事で恐縮です。)
岩波さんのブログいつもチェックしていますよ。
価値ある記事をいつもありがとうございます。
もちろん、「高学歴ほど、実は資本主義社会で成功するには不利なのではないか?」も拝読させていただいております。
非常に共感できます。
今はもうかつてのような立身出世型の社畜モデルは消えつつあります。
そういった世の中の変化に気付かず、いい大学いい会社に入れば人生安泰と思っている高学歴連中はもはや社会の被害者と言っても言い過ぎではありません。
時代は変化しているのに、社会の価値観(特に親の影響)や教育が変わらないことが原因だと思います。
高学歴の人たちは無駄にプライドが高いので、逃げることを知らずに、がむしゃらに仕事をやって出世することばかり考えます。
逃げることも人生で必要です。努力は素敵ですが、自分が不得手な道で努力を続けても意義は薄いです。
「成功」のハシゴを駆け上って長い時間かけて頂上に辿り着いたけど、そのはしごが掛け違いだったと気づいたとき、、その時すでに生まれて60年経過していたら、、残念ですが人生はもうやり直せないでしょう。
また、高学歴な人は優良企業に入社できる可能性が高く、そこでの環境が心地よくて起業や投資という別の収入源を考えようという発想すら生まれません。
>物事を、為政者や「システムを構築する側の人間」の視点に立って眺めてみる・・・
その発想大事ですね。同感です。
そういう意味でも株式投資は意義深いです。
株式を保有するとはシステムを保有することです。
多くの人は(私含め)自分でシステムを構築できないのだから、せめて金を払って既存の強固なシステムを保有すればいいんです。
ビルゲイツになるのが無理でも、ビルゲイツが創ったシステムを保有することはできるのですから。マイクロソフト株を買うことで。
せめてそれくらいの行動は起こさないと、人生一生社畜労働者で終了です。
お金っていうのは本当にただのツールです。
消費して投資して、時には浪費して使えばいいと思います。
マクドナルドの記事で情報が最も利益率の高い商品だと言いました。
逆説的ですが、買う側にとっても情報にお金を使うことが最も価値あることだと最近思っています。
時間とお金をかけてでも情報を大量に仕入れて脳にインプットすることで、資本主義社会を有利に生きることができます。
究極の交換価値=ストーリー
これは儲かるビジネスの極意ですね。
恐縮ですが、岩波さんとは何か価値観似ている気がします。
私はコカ・コーラ株はとても有望だと思っているのですが、それはストーリーがあるからです。
昨日の記事と関連すると思い、再読しました。
「どういう戦略・戦術をとるか」は私の場合はS&P500をこれからも積み立てることです。
「お金が腐る」という概念は、「お金はなるべく使わないで貯金することが大事」という考えが浸透している日本人には理解できないことでしょうね。
その概念に気付いて対策を立てられる者が資本主義社会での勝ち組なのでしょうね。
チェルシーさん、こんばんは。
S&P500ETFをコツコツ積み立てる、これに勝る長期投資戦略はほぼないと思います。
結局、株式投資とは、投資先企業に(資本コストを超える)利益を上げてもらってその還元を受けるだけです。
S&P500を構成する米国大企業がこれからも社会に貢献し、利益を上げ続けて配当を出し続けるのは確実です。
だからS&P500ETFを保有して、さらに分配金の再投資まで行えれば長期リターンは固いと思っています。
最近は米国株インデックス連動の投資信託もラインナップが豊富になっているようですね。
私も「きちんと貯金しなさい」と母親に言われ続けて育ちました。
なので、多くの日本人が貯金を美徳と思ってしまうことには共感を持てます。
さらに悪いことに、円は大変信用度の高い通貨ですから余計に保有に安心感を与えます。
新興国などでは、自国の通貨が信用できないから貯金するというインセンティブを持たない人が多くいます。
あと、日本はデフレだったのもありますね。
デフレ環境下では通貨は腐るどころか新鮮になっていきますから、貯金は合理的とも言えます。
これからは否応なくインフレ経済に進むと思いますので、やはり過剰な貯金信仰は打破していきたいところですね。