メディアの役割の一つは権力の監視である。しかし、本当にその役割はメディアに必要とされているのだろうか。特に企業の場合は、株主や消費者が様々な角度から監視しているわけで、メディアがビジネスを批判する正当性は果たしてあるのだろうか?

昨年末にNewsPicks取締役を退任された佐々木さんが、インタビューでこのようなことを仰っていました。

これ、確かにその通りだなって思いました。

私たち株主は、投資先企業の業績を事細かにしっかりチェックしています。特に機関投資家の視線は厳しいです。

この企業はダメだと思えば株を売ります。ダメな企業の株を持ち続けると株主は損失を負います。お金を失うのは嫌だから投資家はみな真剣です。大金をはたいて発行済み株式数の数%を取得して、経営に乗り込んでくる時すらあります。

メディアが企業のビジネスモデルをあーだこーだ批判する資格はないかもしれません。所詮外野でしょ。その企業がダメな経営しても自分はお金を失わない立場。そんな守られた環境にいて、どれだけ真剣に企業を批判的に見れるでしょうか。

上場企業は株主による厳しい監視下に置かれています。

企業は株主よりも消費者に監視されているとも言えます。消費者からの信頼を失えば、企業は売上、利益を失います。結果として株主からの信任も失います。

最近、弁当箱の底上げやサンドウィッチの具材の見せ方が卑怯だと、セブンイレブンが批判されているニュースをよく見かけます。確かに、これは酷いなと私も思いましたね。最近コンビニ行く機会減ったからどうでもいいんですが。

セブンイレブンが姑息なサイレント値上げを続けることができるか否か。それはひとえに私たち消費者の行動次第です。

私たちが、「あーもうセブンイレブン嫌い。買わないわ。」ってなれば、セブンイレブンの経営者は焦るでしょう。多少のコストをかけてでも、誠実な商品作りに戻るはず。

もし私たちが「とは言え、なんだかんだでコンビニではセブンが一番美味いよな。」と、これまで通りセブンで買い物を続けるなら、経営陣は「なんだ、こっそり原価抑えても客は離れないじゃんか」と考えて、行動を改めることはないでしょう。

セブンイレブンのビジネスを監視しているのはヤフーニュースではなく、消費者である私達一人一人です。

命の次に大事なお金を投じている人は、それが本当にお金を投じる価値があるものなのか真剣に考え抜くものです。

じゃあ、金銭的な利害関係の外にいるメディアによる監視が社会に一切不要なのかと言えば、そんなことはありません。

企業が環境に悪いことをしても、短期的には顧客や株主に利益をもたらすことがあります。環境汚染など外部不経済は、メディアの監視が抑止力として働きます。