投資をやる前はリターンに目が行っていたけど、実際に投資をやってからリスク管理の重要性を思い知った

2016年に『株式投資の未来』を読んで、タバコ会社のフィリップモリスの投資リターンがべらぼうに高いことを知り驚きました。理由は実力の割にPERが低い期間が長く続き、その間に配当を再投資することで保有時価を積み上げることができたから。要は割安だったということ。

そうか、投資家期待が低い売られ過ぎの優良株を買えばS&P500指数をアウトパフォームできるのか。そんなに難しいことじゃない。自分でもやれるんじゃないか。そういう思いもあって、ワクワクした気持ちで米国株投資を始めました。それまで保有していたVTなどのインデックス商品はすべて売却して。

しかし、現実はそんなに甘くはなかったです。やはり本を読むのと実際に投資をするのとでは全然違いますね。

いま現在、米タバコ会社のアルトリアグループ(MO)のPERはここ10年でもっとも低い水準で、配当利回りは7.6%もあります。ついこないだまで8%を超えていました。『株式投資の未来』に書かれていたフィリップモリスと同じ状況が再現されているかのようです。たばこビジネスの利幅がえげつないくらい高いのは同社の財務諸表を見て確認済みです。まさに売られ過ぎの優良株ではないか。そう思う時もあります。

ただ本当にアルトリアが「優良株」なのか確信は持てません。世界の人口は増加しているのに、たばこの消費量は毎年減っています。どこまで販売単価アップでカバーできるのか。顧客の平均所得はそんなに高くないですし、青天井というわけにはいかないでしょう。

実際に個別株投資をやってみて思っていることですが、売られ過ぎの株をポートフォリオに組み込むのは精神的に大変です。業績が好調で将来見通しも明るい優良株も買っておきたい。てか、むしろメインはこっちにした方が安心して眠れます。業績に懸念がない楽観的銘柄はPERは高めで割高に見えますが、それは仕方ない。リスクに見合ったリターンを得られるのが株式投資の世界です。

悲観的銘柄はうまく行けば大きなリターンを手に入れることができる。ハイリスク・ハイリターン。楽観的銘柄はほどほどのリターンしか得られない可能性が高いけど、大外れするリスクは小さい。ミドルリスク・ミドルリターン。

前者に賭けたい気持ちに駆られる時もありますが、後者をメインに据えた方が安心して投資を続けることができます。

まあ、バランスですね。将来の一山を狙って悲観的銘柄を買うのもいいけど、ほどほどにしないとなって思います。本を読んでる時は投資家期待が低い銘柄を買えばいいんだなって思っていたけど、実際に身銭を切って投資をするとその考えは甘いことに気付きます。

リターンを狙うのは大事だけどリスク管理も怠ってはいけないということですね。投資本を読んで複利の世界を知って将来の億万長者を妄想すると、どうしてもリターンばかり考えがちです。私はそうでした。リスク管理の重要性は投資をやらないと気付けなかったです。

楽観的銘柄と悲観的銘柄

現在の保有銘柄(個別銘柄のみ)を金額が大きい順に書きます。
エクソン・モービル(XOM)
フィリップモリス・インターナショナル(PM)
メドトロニック(MDT)
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)
ゼネラルミルズ(GIS)
ペプシコ(PEP)
アルトリアグループ(MO)
ブラックロック(BLK)
アップル(AAPL)
コカ・コーラ(KO)
ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)
IBM(IBM)
ファイザー(PFE)
シスコシステムズ(CSCO)
アッヴィ(ABBV)
シュルンベルジェ(SLB)
ウェルズファーゴ(WFC)

この17銘柄を楽観的銘柄と悲観的銘柄に分けてみます。定量的な基準はありません。私の主観です。

楽観的銘柄

メドトロニック(MDT)
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)
ペプシコ(PEP)
ブラックロック(BLK)
アップル(AAPL)
コカ・コーラ(KO)
ファイザー(PFE)
シスコシステムズ(CSCO)

こんな感じかな。アップルはサービス売上が順調に拡大しており、iPhone 11の引き合いも良いみたいで最近株価好調です。かつて10倍ほどだったPERは20倍近くにまで上昇しています。なので、こちらに含めました。

コカ・コーラ、ペプシコは決算好調ですよね。

悲観的銘柄

エクソンモービル(XOM)
フィリップモリス・インターナショナル(PM)
ゼネラルミルズ(GIS)
アルトリアグループ(MO)
ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)
IBM(IBM)
アッヴィ(ABBV)
シュルンベルジェ(SLB)
ウェルズファーゴ(WFC)

以上9つを悲観的銘柄としました。

エネルギーセクターのエクソンとシュルンベルジェは株価が低迷を続けています。社会の環境意識が高まる中、旧来の石油エネルギーに対する風当たりは強いです。中国は国をあげてEV普及に資本を投じています。原油価格の反発はなく、今の水準が続く可能性もありそうです。

ゼネラルミルズは加工食品企業の中では健闘している方ですが、やはり将来の不安はぬぐい切れません。日本もそうですが低糖質な食品が米国でも受けますね。新興ブランドによってヨーグルトのシェアを落としているのも懸念材料。

たばこ会社のフィリップモリスとアルトリアはやはり悲観側に入れることになります。

ジョンソンエンドジョンソンは迷いました。本業は堅調ですが、アスベストやオピオイド訴訟などの懸念材料があります。先日もベビーパウダーを自主回収すると発表して株価は6%超も下がりました。PERは15倍を割っており割安感がありますが、リスクの裏返しとも言えます。あまり心配はしていませんが、念のためこちらのカテゴリーにしておきました。

IBMは言わずもがな。

ウェルズファーゴは例の営業不正慣行の問題を受けて、FRBから総資産額の制限を受けています。低金利というマクロ経済環境の逆風もあります。

もう少し楽観的銘柄を増やしたい

こうやって改めて自分のポートフォリオを見てみると、業績に懸念があって株価が低迷している悲観的銘柄に投資しがちであることに改めて気が付きます。それは私が目先の利回りに誘惑されがちなのと、きっと売られ過ぎだから長期的には株価は大きく上昇するだろうという根拠なき判断を下しているという2つの理由があります。

やっぱしんどい。自分なりのストーリーというか信念があれば、株価が低迷してもしっかりホールドしようと思えるけど、そこまでのものがなければ売ってしまいたい衝動に駆られます。

多少PERが高くてもEPSが順調に伸びている銘柄を買っていきたいです。それが2020年の投資テーマかな。銘柄入替はもう少し続きそうです。でも、着実にポートフォリオは固まってきています。