本当に賢い「投資家」はみな集中投資でお金持ちになっているだろ。分散投資ではお金持ちになれないから、集中投資すべし、という意見を聞くことがあります。

私はこの意見には賛同しません。サラリーマンと兼業で長期投資をするのであれば分散して投資した方が望ましいと思います。

「お金持ちはみな集中投資だ!」という言葉に騙されてはいけません。世の富豪たちは投資で金持ちになったのではなく、事業で金持ちになっています。自分で創業した会社の自社株を持っているから集中投資に見えるだけです。

Iクワドラント(投資家)とBクワドラント(ビジネスオーナー)を混同してはいけません。

 

ビル・ゲイツ氏はマイクロソフトを創業した事業家です。
投資家ではありません。

ラリー・エリソン氏はオラクルを創業した事業家です。
投資家ではありません。

ジェフ・ベゾス氏はアマゾンを創業した事業家です。
投資家ではありません。

ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏はGoogleを創業した事業家です。
投資家ではありません。

マーク・ザッカーバーグ氏はFacebookを創業した事業家です。
投資家ではありません。

彼らはみな自分が創業して成功した会社の自社株を保有しています。そういう意味で投資家ではありますが、あくまでも事業家として成功して投資家に移行した人たちです。(まだ皆さん第一線でご活躍なので、完全に投資家に移行してるわけじゃないですが。)

彼らはB→Iに移行した組です。初めからIだったわけではありません。

 

 

サラリーマン投資家のクワドラントはE(労働者)とI(投資家)です。
EとBではありません。

グロース株投資ならまだわかりますが、長期のバリュー株投資で集中投資をする意義は薄いです。きちんと分散することで”リターンの質”が上がります。専門的に言うとリスク調整後のリターンが上がります。

リターンリターンと前のめりになって集中投資したくなる気持ちはわからなくはないです。2017年アップルに100%投資していれば、年初来リターンは36%です。1000万円投資していれば1360万円になっています。世間のサラリーマンの平均年収に匹敵する利益を稼げている計算です。

ただそんな「たられば」を言っても仕方ないです。9ヶ月で36%の利益が出るということは、裏を返せば9ヶ月で36%以上損するリスクもあるということです。

ゆっくりお金持ちになる戦略ってもどかしいですよね。でも長期的に市場に居続ければほぼ確実にお金持ちになれるのだから、やっぱり長期的に市場に居座れるような保守的なポートフォリオを組んでおくことをお勧めします。

バフェットはこう言っています。

分散投資は無知に対するリスクヘッジだ。 自分で何をやっているか分かっている者にとって、分散投資はほとんど意味が無い

いいではないですか、無知で。
「どうせ俺は投資には無知だよ」って開き直った方が楽だと思いませんか?笑

私たちはサラリーマンという本業を持っていて、投資は副業なのですから。投資金融の専門的な勉強などしていないのが普通なのですから。

このバフェットの言葉に刺激を受けて投資の勉強をしまくって、将来有望な銘柄に集中投資しますか?
それもありだとは思います。

純粋にIクワドラント(投資)だけで富豪に上り詰めたのはバフェットくらいではないでしょうか。あなたがバフェットやマンガー並みの知識と投資スキルを身に着けることができる自信があるのなら、集中投資戦略も良いと思います。

しかし、人生の時間は有限です。

投資の勉強・研究をするにも大量の時間を消費します。

「俺は投資は無知だから分散投資でいいや~」と割り切って投資の勉強は最低限にとどめて、もっと別の事で人生を楽しんだほうが良いと思います。

ETFや投資信託で分散投資するのがサラリーマン投資家の一般解ではないでしょうか。

 

アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏が「何でみんなあなた(バフェット)の投資戦略を真似ないんですか?」とバフェットに聞きました。

バフェットはこう答えました。

No one wants to get rich slow.
(ゆっくり金持ちになりたい人なんていないよ)

市場に居続けることを我慢できる人って少ないんです。だからこそ、長期投資には価値があります。長期投資って簡単なようで難しいことです。途中色んな誘惑や災難(暴落とか)があるものですから。ここ数年はマーケットの波が穏やか過ぎて、長期投資の難しさを感じることは少ないかもしれませんがね。

長く市場に居続けるためにも、適度に分散されたポートフォリオを作った方がいいと思います。