最近、珍しく同僚の男友達数人と飲みに行きました。男同士だと仕事の話になることも多いんですが、不満や本音はこういう場でもないと聞けないからたまには面白いです。僕は専ら聞き役ですが。

人を育てる、人材育成とはどこの会社も標榜しているものですね。うちも例外ではありません。会社としてもそうだし、経理部としても人材育成を大切にしていると宣言しています。

しかしながら、言動が伴っているとはとても思えません。鈍感な僕も薄々感じてはいましたが、同僚たちはかなり不満をため込んでいるようでした。具体的には、上司が部下の仕事のマネジメントを一切しない、気にかけない、評価も適当(そもそも部下の仕事をマネジしないてどうやって評価するのか?)、適当にポイポイ異動させて戦略性を感じないなど。

「部長も課長も上ばっかり見て仕事している奴らばっかり。全く尊敬できない。」てな不満が多かったかな。普段何食わぬ顔で仕事している人も、心の中で色々抱えてるんやな~と聞きながら思ってました。ちなみに、僕はそんな愚痴りたいほどの不満を抱えてはいないです。なぜなら、初めから会社に大して期待してないからです。あと鈍感なのもあります。

上司に対する同僚たちの不満は理解できるものの、上しか見ずに下を育てようとしない上司の行動も理解はできます。

自分にメリットにない面倒なこと誰もやらないですよ、普通は。同じ会社の部下とは言え、自分の子どもでも何でもない赤の他人。どちらかが辞めれば一生話すことなんてない相手。

後輩、部下の育成をしても自分にメリットがなければ積極的に行動しようとする人は少ないでしょう。やっぱり人間はインセンティブの生き物だと思います。管理職の評価項目に部下の育成ってのはあるかもしれないけど、そんなのどうやって測るのでしょうか。短期間でわかるもんじゃないし。せいぜい部下が退職したら査定マイナスとかでしょうか。昔の銀行とかは部下が辞めたら上司は大変だったらしいですね。本やドラマの情報ですが。

不動産の営業電話が掛かってきたら、「なんで相手はこのマンションを私に売りたがってるんだろうか?」「なんで自分で買わずに、わざわざ見ず知らずの私に紹介してくれるんだろうか?」って疑問に思うべきです。そうすれば安易に契約なんてできません。売り手に金銭的メリットがあるから貴重な時間を割いて、あなたに電話をかけてくるのです。

相手が見ず知らずの自分に売りたいのはなぜか?
相手が見ず知らずの自分に親切にしてくるのはなぜか?

それは相手にメリットがあるからです。

みんな自分が一番かわいいんです。間違いない。もちろん私も。相手のためを思っての行動に見えても、それは究極的には自分にメリットがあるからです。女性にご飯をご馳走するのは、付き合いたいとか、頼りになると思われたいとか、そういう理由があるからです。それは別に悪いことはでなく、生物はそういうもんです。今は平和な時代だから感じづらいですが、生き延びるために状況を自分の有利な方向に持っていきたがるの普通のこと。生きる本能です。

部下を一生懸命育てる上司がいたとしたら、それが自分にメリットがあるからです。
・人材育成に力を入れている姿勢を上司にアピールしたい
・部下の離職率が自分の賞与、昇進査定に大きく響く
・きちんと部下教育をしないと役員から叱責される
・人に教えるのが楽しい、好き

適当に思い付く理由を書いてみました。

部下の教育を行うことにインセンティブを与えないといけないわけですが、それは難しいです。教育成果はなかなか目に見えないから、評価の仕組みとして機能しづらい。学習塾なら有名学校への合格件数などのわかりやすい指標もありますが、仕事の能力は客観的に測れるもんじゃありません。あと教育は時間がかかるというのもあります。5年後に定年退職する人が、どれだけ本気で20年後の会社のことを考えられるでしょうか。それより、自分が役員に昇格できるかどうかに関心があるでしょう。

インセンティブを付与できないとなると「人に教えるのが楽しい、好き」というレアな上司に当たらない限りは、部下の教育、面倒なんておざなりになってしまっても不思議ではありません。

ちなみに、私はこの「人に教えるのが楽しい、好き 」という条件に該当します。人に教えるのはかなり好きす。10聞かれたら100で返します。でも自分から「教えたるで~」とは絶対に言いません。ただのお節介でありがた迷惑に思われる可能性も十分あるからです。聞かれたらいくらでも答える。「会計の勉強したいから、土曜に時間くれませんか!」ってもし後輩が言ってきたら、快く引き受けますよ。勉強だけでなく、メシでもおごってあげたいくらいです。まあ、未だかつてそんなこと言われたことないですけどね(笑)。

僕みたいなタイプは多分稀で、部下の育成なんて面倒と思う人は多いでしょう。それは普通だと思います。

上ばかり見て仕事しているってよく批判されがちですが、自分のボーナス査定をする人の評価を気にするのは自然なこと。あと、社会的に考えても上司を満足させることが最終的には顧客満足に繋がると思います。

株主、顧客

CEO

役員

部長

課長

課長補佐

平社員(僕はここ)

それぞれが自分の上長を満足させることが、究極的にはお客さんを満足させることに繋がるのではないでしょうか。大企業になると役割が細分化されて、自分の業務がどう社会と繋がっているか分かりづらくなりますね。どんな仕事も巡り巡って、お客さんへの価値と繋がっています。まあそうは言っても、役員にペコペコしてるだけの上司は信用できませんけどね。

効果的な人材育成を会社で行っていくのって、かなり難しいなあと思います。よほどトップの強いメッセージがないと現場は変わらないです。

うちの会社(てかうちの部署)は多分これからも変わらないと思います。「人を育てる」なんて口だけ。それはこれからも変わらんだろう。それは上司が悪いんじゃない。仕組みの問題。人材を育てることを、自分事として真剣に考えている人は多分いない。CFOにすらその意識は感じられない。もう人材育成人材育成って何度も言わないで欲しい。どうせやる気ないんやから。期待を持たせるから不満を持つ人が出る。会社に期待してもしゃーないな。