株を買うためには金が必要です、当たり前ですが。社会保険料アップで手取り収入が減るばかり。消費税は8%から10%に。減税は法人税だけ。労働者にはしんどい時代ですが、月2万でもいいから何とか金を貯めないと株式投資のスタート地点にすら立てません。

サラリーマンが労働収入を余らせるにはどうすればいいか。それを考えるには「給料はどうやって決まっているか」を理解して、それを逆手に取る戦略が有効です。

私の結論を先に言っておくと、以下の3つの方法を駆使すれば労働収入を余らせて投資に回す資金を確保することができます。
①標準生活費を上げる
(自分の生活費は上げない)
②標準ストレスを増やす

(自分のストレスは増やさない、減らす)
③スキルを上げる

給料=標準生活費+ストレス発散コスト+スキル

給料はどうやって決まっているのか。私は20代前半の時、マルクスの『資本論』の考え方を知って「ああ、なるほど、給料ってそうやって決まってるのか!」と感動しました。ちなみに『資本論』原書を読んだわけではなく、解説書を読んだだけです。

『資本論』は「給料とは従業員の労働力の再生産コストである」と解釈します。資本家にとって労働力とは材料費や経費などの生産要素の一つに過ぎません。継続して労働力を確保できるだけの給料を労働者に払います。つまり、朝昼夜ご飯を食べて、夜はぐっすり眠り、それなりの年齢になれば家族を養えるだけのお金です。3か月に1回くらいは家族で旅行でもして気晴らししたいですね。

そう考えると、毎月の給料だけでは生活がカツカツになるのも当然と言えます。ギリギリのラインを狙って資本家は給料を決めています。だから、年功序列は自然なのです。若い頃は一人暮らしが多く、生活費(=労働力の再生産コスト)も安いです。それが30を過ぎる頃になると家族を持ち子どもができ、生活費も上昇します。加齢に伴って給料も上がって然るべきという理屈になります。仕事ができない50代のオッサンが高給をもらっていても不満に思ってはいけません。そういうもんなんです、サラリーマンの給料とは。つまり、年齢が上がって同世代の標準生活費が上がると給料も上がる仕組みです。

とは言え、標準生活費だけで企業間の給料差を説明するのは困難です。同じ30歳でも大手商社とメーカーとでは給料が全然違います。

そこで、ストレス度合いという軸を追加して考えます。業務に過度なストレスがかかる場合、普通に生活するだけだと労働力が完全回復しません。夜の街で飲み歩いたりしてストレス発散しないと仕事なんてやってらんねーとなります。心労が絶えない業務に従事させる場合、そのストレスを発散するコストも労働力の再生産コストに含めてあげようと資本家は考えます。ストレスが少ないホワイト企業は給料低めで、ストレスが多い企業は給料が多めになっています。

最後にスキル。人材の希少性。物価と同じように需要と供給のバランスが給料に影響を与える側面があります。

個人的な解釈ですが、給料はこんな感じの3層構造になっている気がします。

大事なことはスキルの重要性はそれほど高くないという点です。勉強して資格を取ったり英語の話せるようになったりすると仕事は楽しくなるでしょうが、給料にはほとんど反映されません。資本家が吸い上げる富が増えるだけです。

この給料の3層構造を前提に、サラリーマンがお金を貯める方法を考えたいと思います。

お金を貯める3つの方法

標準生活費を上げる
(自分の生活費は上げない)

年齢が上がると、同世代の既婚率や子持ち率、持ち家率が上がります。つまり標準生活費が上がります。家族を養う費用も労働力の再生産コストの内なので、年を重ねると給料も上がります。

扶養手当、住宅手当が支給される会社も多いかと思います。うちの会社は結婚して子どもを1人作れば、だいたい年収は100万円くらい上がります。仕事内容は同じでも給料が100万円も違うと不満を持つ人も多いですが、それは仕方ないです。給料は仕事内容で決まっているわけではないので。

ここで大事なことは、標準生活費を上げつつも自分の生活費は上げないということです。でないと手元にお金は残りません。年功序列で少しずつ賃金が上がっていくでしょうが、それに伴って暮らしを贅沢にしていてはお金は貯まりません。

結婚しないというのも選択肢の一つです。独身が幸せかどうかをここで議論するつもりは一切なく、お金だけに焦点を絞るなら独身の方が生活費が安く済むので金が余るってだけです。

あと、もっとも効率的に金が貯まるのがDINKSです。夫婦2人共働きで子なし世帯です。資本家は従業員が結婚した時点で「この人は結婚したから、労働力の再生産コストが上がるな」と機械的に判断し給料を引き上げます。でも、実際にはDINKSの場合は生活費は上がらないどころか下がります。家賃や水道光熱費は2倍になるわけではないですから。

このように、標準生活費が高い階層に移動しつつも、自分の生活費を低く抑えることで金が余ります。資本家を騙す感じです。「私の労働力の再生産コストは高いんです。だからお金たくさんちょうだい。」と言いつつ、実はそんなことなく、再生産コストが低い状況を作り出すわけです。

標準ストレスを増やす
(自分のストレスは減らす)

次にストレスを減らすこと。ストレス発散のために毎晩飲みに行っていたら、金は貯まらないです。

ストレスが小さいホワイト企業は、ストレス発散コストが労働力の再生産コストに含まれていないので、給料も安いです。一方で、社員の平均ストレスが高い企業は給料も高めです。

たとえば、金融機関の給料が高いのはストレスの高さが一因と言えるのではないしょうか。1年ちょっと前、埼玉の地銀で働いている女性と少し付き合ってましたが、一部の男性社員はノルマ達成まで外回りから戻れない人もいたと言ってました。そのストレスで禿げた人もいたそうです。で怖い上司が異動で離れると、また髪が生えてきたそうです。。

ここでも標準生活費と同じ発想が求められます。つまり、標準ストレスを上げつつ、自分のストレスは上げない(できれば減らす)ということです。

そんなことできるしょうか?

一つ考えられる方法としては、バックオフィスで働くということです。営業のストレスが高い会社でも、経理や人事、総務などのバックオフィスのストレス度はそれほど高くないはずです。でも、給料は全社平均ストレス度で決まるので、バックオフィスの社員の給料も高めに設定されます。

他には、同じ会社に長く勤務するとか、自分の得意なこと好きなことを仕事にするとかですね。ストレスを減らす方法は色々とありそうです。

スキルを上げる

資格を取れば給料が上がる会社もありますね。まあ、せいぜい月数千円でしょうが。某コンサル会社では、在籍中に会計士試験に合格すると50万円支給されると友人が言ってました。安いのか高いのか。まあないよりマシですね。

仕事のスキルアップはあまり給料に反映されません。なぜなら、スキルを磨いても労働力の再生産コストは上がらないからです。スキル磨きは給料アップではなく、仕事を楽しくすることを目的にした方がいいと思います。

資本主義のルールを理解する

世の中の平均通りに生きていると、お金は余らないです。そういう仕組みです。平均的な生活をしていたらちょうどお金を使い果たすように、資本家は給料水準を決めています。

どこかで「世間との差異」を作る努力をしないと金は余りません。 ましてや、最近の日本のイデオロギーは労働者よりも資本家優先です。株主還元も増えています。労働者よりも株主に報いるアメリカ型に移行しつつあります。普通に暮らしていたら、資本家と政府に搾取される一方です。

資本主義の仕組みを理解して、労働者としてうまくサバイブする必要があります。資本主義のルールを理解するってことですね。うまく金を余らせて株を買って資本家側に回ることができれば、少なくとも経済的にはかなり楽になります。無論、お金を貯めることが人生の幸福というわけではありませんが。

サラリーマン必読の書