お金はプラスサム

お金はプラスサムです。利息や配当、キャピタルゲインは他人の財布から富を奪っているわけではありません。短期トレードはその側面が強いですが、長期投資ではみんなで一緒にお金持ちになれます。パイの奪い合いではなく、パイ自体が拡大します。社会の富が増えます。

現在は低金利で預貯金の利息はゼロに等しいですが、一応いくらか入金されます。株式も割高とよく言われますが、S&P500指数の2020年予想EPSに基づくPERは16倍で益回りは6%ほどあります。高いとは言えませんが、まあまあな利回りです。

「株価は長期では常に右肩上がり。だからインデックスを買って放置するだけで普通のサラリーマンもそこそこお金持ちになれる。」
投資家界隈ではよく知られていることでしょうか。少なくともこのブログを読んでいるあなたは知っているかと思います。私はこの謳い文句に魅かれて株式投資の世界に入った口です。


こういったグラフを見てワクワクしてました。

株価が右肩上がりなのは、ビジネスがプラスサムだからです。社会に必要とされる商品、サービスを供給し続けることができる企業の株価は上昇を続けると期待できます。利益増加だけでなく、自社株買いによる株式数減少も株価を押し上げます。

ところで、お金がプラスサムになったのはここ200年のことです。昔はお金がプラスサムなんて誰も思ってなかったはずです。社会の富を増やすなんて発想はなく、明日を生き抜くための食糧の奪い合い、土地の奪い合い、戦争。そういう時代が人類史の大半です。信用制度、株式会社制度によって資本が蓄積するようになってから、マネーがプラスサムの世界が生み出されました。持てる者がますます豊かになるのが現代資本主義社会です。

時間はゼロサム

お金と時間はよく比べられます。「金より時間が大切」とか「お金で時間を買った方がいい」とか「時給1000円は安い」とか、色々言われます。確かに、お金と時間は人生の2大リソースと言っても過言ではありません。

しかし、時間はゼロサムという点でお金とは異なる性質を持っています。信用経済がどれだけ発展して、どれだけシリコンバレーでイノベーションを起きようとも、私たちの時間は1日24時間です。これは絶対不変です。

一人当たりの時間が増えることはありません。便利な家電の誕生で余暇時間が増えたというのはありますが、総時間は1日24時間、1週間で168時間です。

時間はゼロサムだから、欲しけりゃ奪うしかない

お金を稼ぎたいと思う時、「あいつの財布からお金を盗もう・・」と思う人はいないでしょう。残業、副業、起業、投資などを考えると思います。残業は置いておくとして、他はすべて社会に価値を生む発想があります。いかに他人の役に立ってお金を稼ぐかという発想です。これはプラスサムの発想です。

それが当然の認識ですよね。FXみたいなゼロサムでお金を稼ぐゲームもありますが、基本はプラスサムのビジネスで稼ぐことを考えます。お金を稼ぐために他人から奪う必要はありません。

しかし、時間は違います。時間は常にゼロサムです。もっと自分の時間が欲しいと思うなら、あなたは他人から時間を奪うしかありません。他人のために使っている時間を自分の元に取り戻すということです。「奪う」という表現は暴力的かもしれませんが、それくらいの気持ちで挑まないと時間を手に入れることはできません。どれだけ社会の為を思って身を粉にして働いても、時間だけは総量が増えません。

あなたの時間をもっとも奪っている存在、それはきっと会社でしょう。1日8時間、通勤時間を加味すれば1日10時間は会社に捧げている人も珍しくありません。平日5日で40時間。40時間/168時間=24%。分母から睡眠時間を除けば50%くらいになるかも。あなたの時間の24%~50%は会社に奪われています。いや、自ら会社に捧げていると言った方が正確でしょうか。

時間を取り戻すには奪うしかないんです。残酷ですが、ゼロサムの世界で資源を得るには他人から奪うしかありません。

同僚が忙しそうにしていても、それを横目に「じゃ、おつかれー」と言って退社する勇気がないと自分の時間は増えません。上司から仕事を頼まれても「すみません、今日は用事があります。明日やります。」と言う勇気がないと、自分の時間は増えません。

上司が「いい人」だと仕事を断りづらくないですか。私はそうなんですよ。ムカつく上司だと「あ、今日用事あるんで無理っす。お疲れ様です。」って言えます。そういうところあります。ガミガミ言う怖そうな人に対してほど強気に行けるタイプです。ま、それで上には嫌われますけどね。んな感じで前職は辞めました。

有り難いことに、今の会社は「いい人」ばかりです。こいつうぜえなって思う人がいない。サラリーマンと言えば、残業した後に酒飲みながら同僚と上司の愚痴を言い合うみたいなシーンがよく思い浮かぶものですが、そんな経験ここ何年もしてないです。

いい人間関係に恵まれたなあと感謝する一方で、だからこそ今の人間関係を壊しくたくない願望が生まれます。そういう自覚あります。残業が減ったとは言え、決算時期は忙しくなります。課長とか立場が上の人ほど忙しいもんです。そういう上司からの仕事の依頼ってなかなか断れないです。付き合い残業はしないけど、時間外を頼まれて断る勇気はないです。よほど大事な用事がない限りは。

でも、そんな甘ったるい発想じゃ時間は増えないぞ!って自分に言い聞かせています。時間はゼロサム。会社に2時間捧げたら、確実に自分の時間が2時間減ります。会社の時間も増えて自分の時間も増える、1日28時間になるなんてことはあり得ません。

自分の時間を増やすには、捨てるという発想が不可欠です。あれもこれもと手を出していては、時間はあっという間になくなります。ネットフリックス、フールー、アマゾンプライムビデオ、WOWOW、全部契約する金があっても、全コンテンツを消化する時間を確保するのは無理です。コンテンツはお金よりも時間が制約条件です。どのコンテンツに時間を割いて、どのコンテンツを捨てるのか決めなくてはなりません。

一夫一婦制は古い。有能な金持ちの男がたくさんの女性を囲う一夫多妻制にすべきだ。なんて意見をたまに聞きますが、そりゃ無理やろって思います。年収1億円あったら5人の女性を養えるかもしれませんが、まともにお付き合いするのは不可能でしょ。そんな時間捻出できるとは思えません。有能なビジネスマンはお金はいくらでも増やせるかもしれませんが、時間は1分たりとも増やすことができません。

ロバート・キヨサキ氏は「ラットレースにハマってはいけない」と書籍で語っていました。ラットレースという言葉はキャッチャーですよね。ハムスターがコロコロを転がしながら永遠と走り続けている場面が脳内に浮かびます。自分がああなると思うと恐ろしいです。

ラットレースにはまらないためには、資産だと思い込んで負債を買わないこと。本物の「資産」を買うこと。「資産」とはあなたのポケットにお金を入れてくれるものです。こういうマネーリテラシーが身に着くと、生活はだいぶ楽になります。

ある程度の「資産」を持てたら、次はいかに時間を取り戻すかという発想になってきます。サラリーマンを辞めるのがいいという単純な話ではなく、楽しいと思える時間を過ごすということですね。それが仕事であろうと趣味であろうと、何でも構わないです。

時間を稼ぐのはお金を稼ぐより残酷な世界と言えるかもしれません。お金はみんなで豊かになるというプラスサムの発想で取り組むことができます。もちろん、実際のビジネスの世界が厳しいのはわかっていますが。一方で、時間を稼ぐには切る、捨てるしかありません。会社を辞める、恋人と別れる、友達と距離を置くなど。