コロナ対策の給付金、失業手当などのおかげで米国民の貯蓄は積みあがっています。

(ウォールストリートジャーナル)

ロビンフッドでの株価急騰劇も余剰資金による影響が大きいと思われます。

米国ではワクチン接種が急速に進んでおり、経済再開までの道筋が立っています。レジャー施設、レストランなどが通常営業に戻れば、積み上がった貯金が一気に放出され景気は回復すると思われます。

2021年の米GDP成長率は6%を超えるというのがコンセンサスです。インフレ率も一時的に3%、もしかしたら4%を超えるかもしれません。

それを見越してダウ、S&P500ともにコロナ前の最高値を突き抜けています。金融株、エネルギー株、工業株の上昇は景気回復を示唆しています。

私もその予想シナリオに同意します。2021年、2022年は景気は非常に強いだろうと思います。マーケットはすでにそれを織り込んでいるので、株価がどれくらい上がるかは未知数ではありますが。

問題はその経済成長が持続的かどうかですが、私は懐疑的です。経済成長はこの1年、2年限定の話で、その後は再び低金利、低インフレ、低成長の3低の時代に戻っちゃうんだろうなという気がしています。

というのも、給付金や追加の失業手当は一時的な措置だからです。税控除などある程度、長期間所得を支える政策もありますが、直接口座にお金をぶち込むという荒業は恒久的ではないでしょう。ベーシックインカムはまだ無理。

積み上がった貯金を取り崩して消費したら、そのお金は商品、サービスを提供した企業の株主の懐に入ります。ディズニーランド、スターバックスにお金を落としたら、ディズニーとスタバの株主が富を蓄えることになります。

で、往々にして生産者たる株主はもともと生活に困らないくらいの潤沢な金融資産を持っているので、キャピタルゲインや配当が増えてもさほど消費を増やすことはしない。だからって、増えた利益を従業員に還元もしない。不満を訴えて離職しない程度に上乗せするくらいです。

財政出動は金融緩和と違って、世の中に出回っているマネーを増やします。だから、確実に景気を刺激することができると言われます。

本当にそうでしょうか?

金融緩和より実効性があるのは間違いないでしょうが、財政政策にもまた限界があると思います。というのも、富裕層の資産を50万円、100万円増やしたところで経済効果はほとんどないからです。

今回は給付金で中流以下の層の貯金が増えているので、高い経済効果が見込めます。

が、先も言いましたが、そのお金は一度使ってしまえば、富裕層が多い株主の懐に入ります。彼ら彼女らがまた富を蓄え、資産格差は拡大します。そのお金が中流以下にトリクルダウンすることはほとんどありません。

経済的に苦しんでいる庶民を助けようとすればするほど、資本家の利益を増やしてしまう矛盾。これが現実です。

老子の格言で「授人以魚 不如授人以漁」というものがあります。

飢えている人に魚を与えるべきか、魚の釣り方を教えるべきか。魚を与えれば一時的に飢えをしのぐことはできるでしょうが、その場しのぎです。時間をかけて魚の釣り方を教えれば、一生食っていくことができます。

給付金というのは魚の釣り方を教えずに、魚を与える行為です。

やっぱり、自分で魚の釣り方を覚えないと本当の意味で貧困から脱出して富を築くことはできません。

具体的には株を持つということです。上場株を買うでも、自分でビジネスをやるでもいいのだけど、資本家の側に回らないと富を築いて中流以上に登るのは困難です。

上場株を買うのがもっとも手っ取り早いです。その中でも、私は米国株に活路を見出しました。株を買えるのは一部のお金持ちだけという言い訳は通用しません。ネット証券でクリック一つで誰でも株を買える時代です。