リターンだけでなくリスクも重要。リスクとは主観的なもの。
ポートフォリオ作りに絶対の正解はありません。
いや、将来振り返った時にもっとも高いリターンを達成できたポートフォリオが正解だろ?
こう思うかもしれませんが、私はその発想には与しません。リターンだけで投資成果を測るなら、もっとも高リターンな1銘柄に集中投資する(加えて可能な限りのレバレッジをかける)ことが正解という理屈になります。
しかし、リターンだけではなくリスクも大事な要素です。あなたが許容できるリスクで最大のリターンを達成できるポートフォリオ、つまりリスク調整後リターンを最大化できるポートフォリオがあなたにとっての「正解」です。万人にとっての「正解」はありません。あるのは、あなたにとっての「正解」だけです。私の最適ポートフォリオとあなたのそれは違います。
リスクをボラティリティと定義するならば、リスクも定量化でき、したがってリスク調整後リターンが最大化されるポートフォリオも一つに決まる、絶対解は存在すると言えるかもしれません。
しかし、それも違います。リスクとボラティリティは同義ではありません。リスクとは簡単に数値化できるものではない、もっとフワッとした主観的なものです。ある銘柄の将来の業績に対して、どれくらいの不安・恐怖心を抱いているか。これがリスクでしょうか。 私にとって営業CFマイナスのテスラ株はハイリスクですが、イーロン・マスク氏にとっては低リスクかもしれません。
可能な限りリスクを抑えた上で高いリターンを実現できる、あなただけのポートフォリオを作ればいい。バフェットやファンドマネージャー、ブロガーの保有銘柄は参考にはなりますが、彼ら彼女らの「正解」とあなたの「正解」とが一致するとは限りません。
ポートフォリオ作りは自分なりの納得感が欠かせません。納得感あればこそ、暴落時にも狼狽売りすることなく、結果として長期で資本主義の恩恵を享受することができます。
リスクを下げるための3つの観点
では、リスクを抑えた納得感のあるポートフォリオを作るにはどうすれば良いか?
これは私の意見ですが、以下の3点が大切かなと思います。
①過去の財務データを確認する
②過去の株主リターンを確認する
③ビジネスの内容を理解する
米国株投資を始めた2016年当時は①しかできてなかったです。シーゲル本(特に『株式投資の未来』)を読んで、フィリップモリスなどのディフェンシブ株の高リターンを知って衝撃を受け、そして実際にそれらの財務データを見ると凄まじい高収益で更なる衝撃を受けました。
そして、フィリップモリス、アルトリアグループ、コカ・コーラと生活必需品セクターの銘柄を中心にせっせと仕込んでいきました。ややリスキーかなと思いつつも、エクソンモービルやシュルンベルジェといったエネルギー株にも積極的に投資してきました。
過去の投資行動を悔やんでいるわけではありませんが(当時の自分の知識、経験でやれることはやったから・・)、今のポートフォリオの納得感は100%ではありません。
あ、ちなみに直近5月末のポートフォリオは以下です。
なぜ、納得感がないのか?
それは②(過去の株主リターンを確認する)、③(ビジネスの内容を理解する)の2つが欠けていたからです。
特定銘柄の長期リターンを確認するのは不可能だと思っていました。Morningstarでも過去15年のリターンしか見れません。しかし、とある方からメールで過去のリターンを知れる海外サイトを教えて頂き、今では「米国株銘柄分析」にも記載しているくらいです。財務データだけではなく株主リターンもしっかり確認した方がいいですね、やっぱり。株主に富を残す文化、残せるだけの事業の強さというのはそう簡単に崩れるものではないと思いますから。
あと、ビジネスの理解も大事。これが欠けていると、急落時に勇気を持って買い増せないです。それどころか不安で売りたくなります。これこそがリスクの高い状態なんです。リスクとはこんな感じで主観的なものです。リスクとは不勉強、無知がもたらすものと言えるかもしれません。
銘柄をコロコロ入れ替えるのはリターンに悪影響だとわかっています。でも、日々勉強し、投資経験を積んでいく中で考えが変わることは普通にあること。納得感70%のポートフォリオを納得感95%のポートフォリオに作り変えるのに躊躇すべきではない。そうすることでリスクを下げ、リスク調整後リターンを最大化できます。「正解」に近づけます。
と思っているんですが、売りたい銘柄は大抵含み損なため、損失確定が嫌でなかなか売却に踏み切れません。この心理的ハードルはやっかいです。納得感あるポートフォリオを作りたい気持ちよりも、損失を確定したくない気持ちが勝ります。長期投資は簡単なようで難しい・・。
(関連記事)
リスクとボラティリティは似て非なるもの。リスクを下げることがより重要
>売りたい銘柄は大抵含み損なため
とありますが、「売りたい銘柄がたまたま含み損」なのではなく、「ながらく含み損だから売りたい」んではありませんか?
ぶしつけな質問ですみません。
いえ、とんでもないです。
確かにそれはあると思います。
理解が浅い銘柄の株価が下がると(マーケットの評価が下がると)、不安に駆られます。
Hiroさんの考えが少しずつ変わってきているということがわかる興味深い記事だと思います。ポートフォリオの入れ替えを考えているようですが、過去の記事では買う理由は述べられていることは多いですが、売る理由はあまりないように感じています(または売るときの条件)。
何か判断基準はあるのでしょうか。差し支えなければ教えてもらえないでしょうか。
例) 割合が5%を超えたら売る、減配したら売る等
こんばんは。
明確な売りの基準はありませんが、今考えたことを書きます。
一応ポートフォリオに占める割合が5%を大きく超えたら売る、というルールは持っています。
今は5%均等のポートフォリオを作る途上という段階です。
5%を超えているMOやPMをすぐに売る予定はありません。
後は、今より有望な銘柄があると確信を持てる時は売ります(なかなか難しいですが)。
>減配したら売る
自分の保有銘柄が減配になったら、どうすべきだろうか。。
そこのシミュレーションは甘いです。
回答ありがとうございます。
あまり明確にルールを決められているわけではないのですね。ちなみに私は減配したら、その銘柄は全部売ることだけをルール化しています。幸いにも今のところ経験はないですが、IBMとかは危ないかなと思ってます。一応、特許出願数が世界一であったり、量子コンピューターなど面白いと思いますが、決算には反映されてません。
IBMはレッドハット買収資金負担も重なって減配リスクはありますね。
昨日リストラするという報道も見ましたし、じり貧にならないか心配です。
まあ一応ダウ銘柄ですしなんとか踏ん張って欲しいところです。
>決算には反映されてません。
そこがすべてですね。
Hiroさん初めまして
いつも楽しく読まさせていただいています。
”納得感”が大事
記事が掲載される少し前から
私も同じことをなんとなーく感じていたんですが
どうも自分の中で言語化出来てなく
もやもやしていました・・・。
そんな時偶然にもHiroさんの記事が!!
そうそう!これが言いたかった!!
と頷きながら読みました。
もう、もやもやが晴れて気分爽快です!
本当にありがとうございます。
あまりにもタイムリーでびっくりしたのと
どうしてもお礼が言いたかったのでコメントしました。
これからも更新頑張ってください╭( ・ㅂ・)و̑ グッ
まこななさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
ポートフォリオは人それぞれですよね。
リスクはボラティリティと同義ではなく主観的なものなのでリスク調整後リターンは人それぞれ、この発想は『投資で一番大切な20の教え』の著者であるハワード・マークス氏から学びました。私もこの考えを読んだとき「なるほどな~」とやけに納得して爽快でした。
何なくフワッと考えていることを言語化されるとスッキリしますよね。
お役に立ててよかったです。
これからもブログよろしくお願いします!