世の中、どうしても金持ちの国家、企業、個人がますます金持ちになってしまうのが現実です。格差是正が必要という声は常に上がるものの、コロナ禍を経て格差は縮小するどころか拡大しています。

なぜ金持ちはより金持ちになれるのか?

色んな理由がありますが、一つ大きなものとして時間軸の違いがあると思います。

金持ちは財布に余裕があるので、目先の利益を捨てて長期的な利益に投資することができ、それが更なる将来の富を生み出します。一方で、明日食う金にも困っている貧乏人は、投資という発想すらなく日銭を稼ぐだけになり、結果として稼ぐ力が育ちません。

それが経済格差を増幅させる要因の一つではないでしょうか。

企業も個人も目先の利益を追いかけ過ぎると衰退する

東野圭吾の『容疑者xの献身』に出てくる石神は、帝都大学(東京大学に相当すると思われる)の数学科出身ですが、研究に打ち込める環境を見つけることができず、両親の介護のためやむを得ず研究を止めて教師の職を得るも、自分の境遇に絶望して首を吊ろうとしました。

数学は目先の利益に直結しない学問の典型です。日本はそういうものにリソースを割く余裕がないんですね。いや、本当はあるかもしれないけど、リソースを割く決断をしないだけかもしれません。

新型コロナウイルスのワクチン、治療薬を開発したのは欧米、特にアメリカの企業ばかりですね。ファイザー、モデルナ、ビオンテック、J&J、メルクなど。

基礎研究にかけているコストは圧倒的にアメリカの方が多いです。日々の積み重ねが有事の際の開発力の差になってるんじゃないかなと思います。

ファイザーやモデルナがグローバルでしっかり稼いで、いくらかが税金としてアメリカ政府に落ちる。それを財源にさらに基礎研究に資源を配分できる。強い国がますます強くなるのは、こういう正のスパイラルに要因があるのではと思います。人口動態の違いも大きいですが。

10年20年後のために短期的なキャッシュの燃焼に耐えられる力。赤字を掘れるだけの財政力と政治力。日本株が米国株のパフォーマンスを上回る世界線はなかなか想像しづらいです。

個人も同じです。目先のお金に吸い寄せられると貧困スパイラルに嵌ってしまいます。

その典型が消費者金融やリボ払い。20%近い金利でお金を借りて採算が取れることなんてまずありません。ましてや、これだけ低金利の時代なのですから。

一度日払いの仕事をやると、なかなか月給制の仕事には戻れないという話を聞いたことがあります。中長期的に見れば、月給制の方が収支は安定するはずですが、毎日お金がもらえる環境を捨てられないそうです。あと、そもそも貯金がなくて1ヶ月先の給料日を待つ余裕がないケースも多いとか。

1ヵ月の赤字にすら耐えられない状態で将来への投資なんてできるわけありません。別に宵越しの金を持たないライフスタイルが悪いと言いたいわけではありませんが、経済力が高まることはないでしょう。

長期的にマーケットに居続けることが、株式投資における再現性のある成功方法の一つです。目先の利回りは低いし、株価が下がって含み損になることもあるけど、優良なビジネスを所有し続ければ報われる可能性が高いです。

ファイナンス理論では株価には将来のすべての利益を織り込まれていると想定されています。しかし、現実はそんなことないです。株価は今年ないし来年の利益予想に過度に振り回されていて、10年後の利益なんて冷静には見られていません。

それもそのはずで、メインプレーヤーである機関投資家は短期で結果を出すプレッシャーに晒されているからです。

個人投資家と機関投資家とでは時間軸が違います。個人投資家は目先の損失を無視して長期的なリターンを追求することができます。これは私たちの強みです。

どこまで将来の利益を意識するか

できるだけ長い時間軸を持つ方が成功しやすいと思います。

ただ、個人は国家、企業ほど長期的に物事を考えることはできないものです。

なぜなら、国家や企業はその存在が永続することが前提とされますが、個人には寿命があるからです。政治家やCEOには50年先の未来も考えて欲しいものですが、個人では難しいです。

私は今34歳。50年後は84歳。まだ生きてる可能性の方が高いとは言え、その時点で経済的に成功しても果たして幸福と言えるのかは怪しいです。100年先なんてもうどうでもいいです。死後の世界に興味はないです。

個人がどこまで目先の利益、快楽を捨てて、中長期の利益を取りに行くか。これは正解はありません。宵越しの金を持たないスタイルは決して悪いことでもないと思います(私は嫌ですがw)。人生観は人それぞれ。

私は10~20年くらい先の未来を考えながら決断を下すことが多いです。最近のマンション購入もそれくらいの時間軸で家計の計画をざっくりながら立てて判断しました。

10年後は44歳、20年後は54歳。その年になるともう「これから頑張る」という言い訳はしづらいですね。金のないオヤジにはなりたくないんです。やっぱり経済力があって余裕のある男に憧れます。そうなれるために今仕込んでいます。