投資と投機はきちんと区別できた方がいいです。Grow Rich Slowlyを目指すなら投資をやるべきで、Grow Rich Speedyを目指すなら投機をやるべきです。どっちが良い悪いではないですが、区別はできた方がいいですね。Speedyに資産形成できればそれに越したことはないけど、その分リスクがあります。私は安全を重視してSlowlyに進めるつもりです。

私なりに投資と投機を定義します。

投資とは利回りを求める行為で、投機とは値上がりを求める行為です。

利回りを求めるとはキャッシュフローに注目するということです。ここで言うキャッシュフローとは必ずしも株の配当のことではありません。株で言えば、企業が生み出すフリーキャッシュフローのことです。そのフリーキャッシュフローを配当として還元しているかどうかは問題ではありません。別に内部留保でも構わない。いま現在企業がキャッシュフローを稼いでいるかどうか、また将来稼ぐ能力があるかどうかが大切です。

この定義から一つ言えることは、キャッシュフローを生み出す対象でないと投資とは言えないということです。なぜなら、投資とはキャッシュフローの利回りに着目することですが、キャッシュを生まないならその利回りに着目しようがないからです。キャッシュフローを生まないものは投資の対象になり得ません。

たとえば、金や銀、ビットコインなどはそれ自体がキャッシュを生むことはないので、投資の対象にはなりません。それらはすべて投機対象と見た方がいいです。賃貸不動産は投資対象になります。家賃というキャッシュフローを生み出すことができるからです。

じゃあ、キャッシュフローを生み出すものを買えば、それは須らく投資かと言えば、そうとも言えません。いくら不動産や株式といったキャッシュフローを生み出す対象であっても、投資家自身がキャッシュフローに(利回りに)着目していないのであれば、それは投機です。不動産や企業がいくら稼ぐかという利益の本質に着目せずに、他の投資家がどう評価するか、つまり値上がりするかどうかに賭けているならそれは投機です。美人投票的な考え方は投機です。

私の考えを図で表すとこうなります。

先ず「キャッシュを生むか?」の判定です。ここがNOならそれは投機です。ここがYESなら、次の質問「投資家(あなた)はキャッシュに着目しているか?」の判定に移ります。ここがYESなら投資、NOなら投機です。

キャッシュを生むかどうかは客観的に決まります。絶対的な答えがあります。白黒付けることができます。賃貸不動産が家賃というキャッシュを生むということについて、異論のある人はいないでしょう。

一方で、キャッシュに着目しているかどうかは、客観的に判別できるものではなく各投資家の主観に依存します。つまり、投資か投機かは最後は各投資家の考え方次第であり、一概に断定はできないということです。

グーグル親会社のアルファベットは無配ですが、毎年莫大なフリーキャッシュフローを生み出しています。最初の判定「アルファベットはキャッシュを生むか?」はYESです。ここは客観的に答えが決まるところです。

では次の判定「アルファベットが生み出すキャッシュフローに着目しているか?」の質問については、YESかNOかは人それぞれです。ただ株価チャートだけを見て、値上がりしそうだな~と思って株を買っている人もいるでしょう。そういう人にとってアルファベット株は投機対象です。今後のアルファベットのフリーキャッシュフローや営業利益の推移を予想して、10年単位で保有しようと考えている人にとってアルファベット株は投資対象です。

投資は必然的に長期にならざるを得ません。なぜなら、企業が稼いだキャッシュフロー(利益)が、株式の価値に反映される、ないし配当として還元されるのには、ある程度の時間が必要だからです。しかし、長期保有だからと言って、それが必ずしも投資とは言えません。そこは投資家の主観に依存します。10年間、決算内容を一切見ずに、チャートだけ見て祈っているだけならそれは投機と言えるかもしれません。

あなたが買おうとしているものはキャッシュを生むものですか?
キャッシュを生むものが本物の「資産」です。
「資産」を買いましょう。

「資産」を選んだとして、その「資産」が生み出すキャッシュフローに着目していますか? 投資額とキャッシュフローとの関係(利回り)を意識して、長期で儲かると判断していますか?

上記質問にすべてYESと答えることができれば、あなたは投機家ではなく投資家です。