1年くらい前にFAS系(財務アドバイザリー)のコンサルに転職した会計士の友人と先日久しぶりに会いました。この1年で数多くのクライアントを担当してきたそうですが、その経験談で個人的に興味深いなあと感じた話がありました。

何でも製薬会社のクライアントは皆さんとても優しいそうです。人柄が穏やかなお客様が多いらしいです。

んで、一部のメーカーや小売りなどは厳しい(怖い)お客さんが多いと。別に人として性格が悪いとかではなく、コンサルの仕事に対する要求水準が厳しいという意味です。「お前らに高い金払ってんだからちゃんとやれよ!」的な圧があるそうです。まあ、実際にコンサルのフィーは高いですから、アウトプットの質を追求されるのは当然ではありますが。

業界によってクライアントのコンサルに対する圧力に差があるというのは面白いです。

これは採用されている社員の人間性に差があるとかではなく、単なる懐の余裕度合いの差でしかないと思います。

製薬会社って利益率が高いです。特許によって高いマージンが保証されているからです。日本は薬価が毎年下がっていますが、それでも医薬品のグロスマージンは一般的な競争市場にいる会社からは羨望の眼差しで見られています。

会社にお金がたくさんあって経済的な余裕があるから、社員の心にも余裕があって、結果として外部コンサルに対しても優しく接することができるのだと思います。

値下げ競争で疲弊している会社に勤めている人は、今月も無事給料貰って生活するのに必死なわけです。時間単価数万円も請求してくる偉そうなコンサルが憎たらしく思えても仕方ありません。ターンアラウンド系のプロジェクトだと余計にそうでしょう。

人間力の問題ではなく単なる経済の問題です。別に製薬会社にいる人がみな優れた人格の持ち主というわけでもないと思います。

これは資本主義社会をサバイブしていく上で重要な視点を教えてくれる事例です。労働者としても資本家と同じ目線で勤務する会社を選んだ方がいいということです。

つまり、稼ぐ仕組みが出来上がっており、大きな資本投資がなくても安定した利益を上げることができる会社が長期投資先として有望ですが、そういう会社は労働者としても魅力的ということです。

同じ労働収入、給料でも、限りなく資本収入に近いものもあれば、純粋に労働収入と言えるものもあります。労働収入もなるべく資本収入化した方が人生は楽になります。

投資家目線で優良企業と認定できる企業は、労働者として働きやすい環境(給与もそれなりに高いはず)である可能性が高いです。転職する時は財務諸表分析が欠かせません。無論、労働環境だけで職場を選ぶわけではないでしょうが。