10年以上S&P500に投資していても報われない時期はありました。たとえば、1966年~1981年の15年間の実質トータルリターンは年率▲0.4%でした。消費者物価が年率7%も上昇したことが主な敗因です。まあ、この期間は金本位制の廃止がありましたから、ちょっと特殊な時期ではありますかね。

10年以上S&P500ETFを持ち続けて、しかも地道に分配金を再投資しても報われない時もありました。長期投資だからって必ず100%儲かるとは断言できません。世の中100%確実なことはありません。

ですが!

私は確信しています。これから20年間、2040年くらいまでの間、株式投資を続ける人は報われると思います。歴史的に見ても高い実質リターンが達成されるんじゃないかくらいに楽観視しています。

なぜ、そんなに楽観しているのか?

それはこれからAI時代が到来するというのに、法人税率を引き下げるという世界的な潮流が、資本家(株主)にめちゃくちゃ有利だと思うからです。株主が超優遇される時代になりつつあると感じています。

 

 

元財務長官のローレンス・サマーズ氏が、米国の法人減税を批判してこんなことを言っています。

米国の政策は、全ての国が減税に動く底辺への競争を目標にすべきか。この競争ではいずれ、移動可能な資本への課税がなくなり、全ての税金を労働者が支払うことになる

ローレンス・サマーズ


このサマーズ氏の意見に賛成なんです。恐縮ながら、私も同じことを思ってます。とっても共感します。

昨今、世界的に法人税率引き下げの流れですよね。日本、アメリカ、カナダ、EU諸国などOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均法人税率は2000年の32%から2016年には25%に下がりました。特に我が国日本は▲10%ともっとも積極的に税率を引き下げました。

ここからさらに世界最大の経済大国である米国の法人税率が、大幅に引き下げられることが見込まれます。米国の法人税率(連邦税)は現在35%ですが、今後最大で20%まで下がる可能性があります。

なぜ各国法人税率を引き下げているのかと言えば、自国のビジネス環境の経済的メリットを高めて投資資金を呼び込みたいからです。各国政府間による税収の奪い合いです。移転価格税制問題のトラブル・訴訟も増えています。

そうやって、世界の法人税率はドンドン引き下げられています。

ただ、法人税率の引き下げはAI時代に逆行しています。本来は法人税率はもっと引き上げなくてはならないと思うんです。国家間の税収を巡る競争があるのは理解できますが、世界全体の厚生を考えれば法人税率の引き下げは誤りだと思ってます。私見ですが。

2030年頃がAI革命、第4次産業革命のピークだと言われます。2030年頃を境に、体感としてAIによる実生活の変化がわかるようになるそうです。単純な事務ワーカーは姿を消します。さらに10年かけて、高度なホワイトカラーや肉体労働も大半は姿を消すかもしれません。

どこまで労働が無くなるかはわかりません。完全に無くなることはないと思います。ただ、「働かなくても食っていける時代」が近づいていることは確かです。

AIの進化によって人の雇用が失われる時代に全ての国民が普通に生活していくためには、AIが稼ぐ利益に課税して国家が再配分しなくてはなりません。

2050年には企業の会計システムから「人件費」という勘定科目が消えているかもしれません。AIによって浮いた人件費は、何もしなければ企業の利益になります。政府が利益を徴収しなければ、AIによって人件費が削減されたことによる超過利益はすべて株主のものになってしまいます。それは株主としては嬉しいことかもしれませんが、国家全体で見れば貧富の格差を助長することになります。

AI時代は、むしろ今よりも法人税率を引き上げて資本家の利益を国民全体に配分する必要があるはずです。そうしないと「働かずして食っていける時代」は実現しません。ベーシックインカムの財源は企業の利益以外にあり得ません。企業の利益を財源にするとは、つまり法人税をたくさん取るということです。

法人税を下げることはAI時代に逆行してます。サマーズ氏が指摘している通り「移動する資本に積極的に課税」しないといけません。そうしないと資本家と非資本家の経済格差はますます広がります。なぜなら、AIによる人件費削減で資本家の利益は拡大するからです。ただでさえAI時代は資本家が得をするというのに、法人税まで減税してしまったら資本家は大儲けです。資本家優遇にもほどがあります。

 

「法人減税による利益をきちんと労働者や消費者に還元すべし!」という学者の意見をよく聞きます。でも、それは無理です。必要がないのに従業員の給料を上げたり、商品の売値を引き下げるアホな経営者がどこにいるでしょうか。てか、そんなことしたら善管注意義務違反で民法・会社法違反です。

株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

会社法第330条

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う

民法第644条

会社の経営者は株主のために忠実に業務を遂行する法的義務を負っています。

経営者は株主から高額な報酬をもらって経営を委任されている存在です。株主利益を守り、増やすことが経営者の使命です。それは企業が社会の公器であることを忘れて、他のステークホルダーの利益を犠牲にしていいという意味ではありません。従業員が鬱になるようなブラック労働を強いることはダメです。法律どうこうではなく、常識的にダメとしか言いようがありません。

何でもかんでも株主利益第一と言いたいわけじゃないです。そうではなく、経営者とは株主から報酬を貰った上で、株主のエージェント(代理人)という地位にいるという客観的法的事実を言いたいだけです。経営者は、経済合理性がない(=委託者たる株主の利益に反する)のに従業員の給料を上げたり、商品価格を下げたりできません。やってはいけないんです。

必要があれば従業員の給料をアップしたりボーナスを払ったりするでしょう。必要があれば商品の値下げをするでしょう。でも必要がなければやらないです。てか、やったらダメです。そんなことしたら株主から訴訟を受ける可能性すらあります。

 

企業によって違うでしょうが、法人減税はほぼほぼ株主の利益になるでしょう。一部従業員や消費者に還元される部分もあるでしょうが、総体として株主が減税による利益の大半を享受するはずです。特に、ブランド力のある収益力の強い企業はなおさらです。

AI時代に法人税率を下げると、資本家(株主)はボロ儲けできます。

これは格差を広げるので、国家運営としてはあまりよくないことだと思ってます。サマーズ氏が言う通り、法人減税によって労働者はより苦境に陥る可能性が高いです。そして資本家はますます豊かになります。

 

私たちは政治家ではありません。
あなたは世界の、日本国家の未来を案じていますか?

日本国民全員が豊かに幸せになる方法を一人一人が考えること、それは素晴らしいことだと思います。でもそれを考えるのは政治家の役割とも言えます。

私たち庶民(勝手に私たちと一人括りにしてすみません)は、先ずは自分と家族が経済的に豊かになり、幸せに暮らせることが最優先ですよね。国家全体を案じる余裕なんてありますか??

それでいいと思います。一人一人が自分と家族の幸せを願うことの何が悪いでしょうか。それが普通だと思います。

私たちは株式会社で働いていますが、別に株主のために働いているいるわけじゃないですよね。「よーし、今日も株主様のために頑張って働くぞ!」って思いながら働いている人っていますか?w。自分と家族が幸せに暮らせるように、毎日頑張って働いているだけですよね、普通は。

この前、テレビで在日の中国人にアナウンサーがインタビューしてました。「2期目に入る習近平政権をどう思いますか?」って一般の中国人に質問してました。そしたら、みんな異口同音にこう答えていました。「別に政治なんて興味ないわ。自分達が幸せに暮らせればそれでいい。」って

そうですよね、先ずは自分達が経済的に豊かになり、精神的に幸せを感じられることが一番大切ですよね。安倍総理大臣や黒田日銀総裁はそういうわけにはいかないですが。庶民は自分と家族の幸せを考えればいいですよね。

ってことで、株式投資を続けるべきです。

AIによる人件費削減+法人減税、この2つは資本家(株主)の利益をグイっと押し上げます。資本家と非資本家(労働者)とで、経済格差が広がっていく未来しか見えません、私には。経済格差が広がることは社会全体にとって良くないことですが、それは一旦横に置いて、あなた個人が(経済的に)豊かになるために株式投資を続けた方がいいと思います。

 

2050年くらいになったら、法人税率は50%くらいになっていてもおかしくないと本気で思っています。

「は、、何言ってんのお前アホちゃうの?」って思われるでしょう。米国が法人税率を20%に下げようとしているのに。今から30年後、今度は法人税率が50%になっているわけないと普通は思いますよね。

でも、僕は遠い将来法人税率はこれくらいまで上がっても何ら不思議ではないとマジで思っています。資本家の利益をしっかり取って、それを国民みんなに配って「働かずして食っていける時代」がほぼほぼ完成しているだろうと予測しています。そんな未来予想、空想、妄想?をしています。

今は本来は、その将来のAI時代の増税の布石を打つべきタイミングだと思うんですよ。ちょっとずつ税率を上げていくタイミングだと思います。そうやって、資本家にAIによる超過利益が渡り過ぎないように富の配分をコントロールすべきです。

でも、実際は逆です。法人税率は上がるどころか、もの凄いペースで下がっています。

これははっきり言って、資本家にとってボーナスです。
これから10年~20年は、株式投資家にとってのボーナス期間になる気がしてます。私たちはとんでもなく素晴らしい時代に株式投資をやっているのかもしれません。

これから暴落や減配、色んなネガティブサプライズがあるでしょうが、粘り強く株式投資を続ける人は必ずや経済的勝ち組になると確信してます。株式投資がんばって続けましょう。