「資産の家」と「消費の家」
家には2種類あります。「資産の家」と「消費の家」です。
売りたいときに短期間で高値で売れるのが「資産の家」。半年1年となかなか売れない、売れても安値で叩かれるのが「消費の家」です。
両者に明確な境界線はありません。
5000万円のマンションが10年後に4500万円に値下がりしていても、ほぼ買値に近いし、これを「資産の家」と呼んでも間違いではないと思います。売値に厳しい人にとってはこれは「消費の家」になるかもしれません。
インフレを無視すれば、買値以上で売れれば文句なしで「資産の家」と呼べるんじゃないでしょうか。何となくの個人的な感覚ですが。
10年後に買値より30%以上も下落すると「消費の家」って感じがしますね。これも私の勝手な定義ですが。いや20%下落でもきついかな。
「資産の家」も「消費の家」もローンを返済し続けるという点は共通
家には「資産の家」と「消費の家」の2種類があると言いましたが、その違いはわかりづらいです。なぜなら、毎月コツコツと住宅ローンを返済するという点はどちらも同じだからです。
当然ですが、「資産の家」を買ったからって住宅ローンが減免されるわけではありません。「消費の家」を買ったからって、ローンの返済額が上がるわけでもありません。
どちらも決められた法定利息と元本を返済しなくてはなりません。
住宅ローンというバランスシートの右側はどちらも共通なんですね。
意識せざるを得ない毎月のキャッシュアウトはBS右側の住宅ローンから発生するものです。どんな家を買おうと、住宅ローンを背負い、毎月請求書が届くという点は共通です(現金で買わない限り)。
まるで家賃の支払いかのように毎月固定額が口座から落ちていきます。
「資産の家」を買ったところで、毎月のローン支払から逃れることはできません。強い負担感があります。
しかし、同じローン返済というキャッシュアウトでも、「資産の家」と「消費の家」とでは意味合いが違います。
仕訳でイメージすると、「資産の家」のローン返済は(資産 / 預金)です。一方で、「消費の家」のローン返済は(費用 / 預金)という仕訳です。
預金が貸方に来るのはどちらも同じですが、借方が違います。資産なのか費用なのか。
これはあくまでもイメージの話ですね。実際に仕訳を切ると(住宅ローン / 預金)となります。預金という資産が減って、住宅ローンという負債が減ることになります。
ただ、イメージで書いた仕訳を意識することが大切かなと個人的には思います。
毎月のローン返済を資産の購入と捉えるのか、費用の支出と捉えるのかでは雲泥の差があります。気分が全然違うと思いませんか。もちろん資産の購入の方がいいですね。
毎月20万円のローン返済があって苦しくても、その20万が資産に変わっているんだと思うと頑張ろうという気持ちになれます。
hiroさん、大変ご無沙汰してます。一応未だ現役銀行員で、日本株と米国株インデックス投資をボチボチしてる、ガンバレです。米国株の貴重な情報をいつもありがとうございます。
マンション購入をご検討されてるようですが、この分野は私の本業(不動産関連融資が専門)なんで、いくつかお話(お勧めでなく、これは止めた方がと言う内容)させて下さい。
先ず気を付けて欲しいのは「新築はダメ」です。新築で売り出し中の物件には、利益や営業マン経費等がごそっと乗っかってます。
次は「水害に注意」です。東日本震災での浦安地区や、豪雨での南小杉地区などがそうですが、海抜が低い地区や、埋め立て地とかは液状化や、浸水のリスクが高く、高価なマンションが一夜でお荷物物件になりますよ。
あと「タワマンはダメ」です。理由は修繕です。マンションはコンクリート造りですが、風雨による劣化防止のため定期的に塗装のやり直しが必要です。でもタワマンは修繕が難しいか、そもそも修繕できなかったりしますし、それに内部の配管(上下水道)の修繕とかも困難な物件が多く、数十年後に廃墟になるリスクありますよ
そして「100戸以下は敬遠」です。マンションは住民が組合作って維持管理しますが、40戸の小規模マンションで、しかも所有者の殆どが投資目的で非居住だったりすると、管理がずさんになったり、修繕も適正にできなかったりしますよ。
参考に言うと私もマンション住まいですが、埼玉の真ん中あたりの地盤が強く、やや高い地域にあり、住民は400世帯、やや都心に遠いですが駅3分で、タワマンでなく5階建ての団地という作りで、築30年の中古です。カッコ悪いですが快適で、修繕も安くできてるし、地震や水害にも強く安全です。
不動産営業にも気をつけてください。「正直不動産」という、不動産屋や不動産金融屋に読者が多いマンガがあり、これは祠を壊した祟りでウソをつけなくなった主人公が、ウソを言わないで不動産仲介をやるハメになるという内容ですが、つまり普通の不動産屋はウソつきばかりということです。連中の「今が買い時」なんて、ウソばっかですよ。
ぜひ慎重に、悩むなら買わないことも選択枝として下さい。金持ち父さんの「家は負債」という言葉は、金言だと私は思ってます。お気を付けください。
ガンバレさん、コメントありがとうございます。
ほぼすべて同意なのですが、最近不動産の研究をする中で、ちょっと見解が変わったことがあります。
新築とタワマンの件です。
新築は仰っる通り業者の利益が乗っているので、購入後即価値が下落する傾向にあると思います。
ただし、都心ではそれが当てはまらないことが多いと感じています。
と言うのも、中古マンションの価格がべらぼうに高いからです。
これは裏を返せば、新築時から値がさほど落ちていないことを意味します。
都心、駅近という立地にこだわれば、新築マンションはさほど悪い選択肢ではないと思うようになりました。
郊外は新築はリスキーだと思っています。
ただ、いまは都心の新築マンションは高すぎて買いたくても手が出ないですけどね。
特にブランド立地でなくても、山手線沿線なら坪単価450万とか普通にあります。
ちょっと異常ですよね。。
タワマンはご指摘の通り修繕がリスクだと思っています。
一方で、資産価値が維持されている物件はタワー系が多い傾向があります。
なので、一概に「なし」ではないかもなあと思っています。
問題は最初の10年あたりまで修繕積立金が安く設定されているケースですね。
こういう物件は修繕費積み立てが不足しているリスクがあるので要注意だと思います。
「正直不動産」、この前NewsPicksで知りました!
読んでみたいです。
一個人の意見です。
賃貸と持ち家議論に答えはないですが、個人的に家賃は消費と考えてます。
単純な計算ですが、
家賃15万×12ヶ月×10年=1800万
金利を無視すれば10年後に1800万価値が落ちて売却でもトントン。
私は約10年住んだマンションをほぼ買値で売れました。10年家賃無料なので、つまり1800万の実質利益みたいなもの。しかもこの実質利益に税金がかからない。
不動産ってしっかり考えてやれば、リターンは大きいです。
私も、そういうExitができれば理想です。
10年住んで同額で売却できれば、手数料差し引いても相当なリターンになりますよね。
不動産保有というリスクはとる必要がありますが、リターンの予見可能性は高いですし、取る価値のあるリスクだと考えます。
いつも参考にさせていただいております。
自宅用不動産に出口戦略は無く、その点が投資用不動産や株式投資とは全く異なると思いますがいかがですか。
仮に「5千万円で買った自宅マンションが10年後、住宅価格高騰の波に乗り20%増の6千万円で売却できた、やった!出口戦略成功!」という場合でも、自宅を売ってしまっているので即・次の自宅を購入する必要があります。
同程度のマンションは前の自宅同様、10年で20%値上がりしており「自宅を6千万円で売却して新たに6千万円の自宅を購入」という現象が発生すると考えます。手数料、税金、引っ越し代、手間を考えるとせっかくのリターンが毀損されます。
つまり自宅用不動産に出口戦略は無い、と考えましたがいかがでしょうか。
出口戦略を考えるのは、10年後に海外転勤を命じられ(海外の自宅は会社支給で家賃ゼロ)るなどし、次の数年間は自宅を購入する必要も賃貸料を払う必要もなくなった時、そこで初めて「売るか」「貸すか」の議論になると思います。
出口戦略がないのであればつまり、自宅を購入する際に「資産の家か消費の家か」、などとお金の勘定をする意味は薄く、「家が欲しいか」どうかをメインに決めるのが良いかと考えます。
興味深いコメントありがとうございます。
確かに、住む場所は常に必要なので出口戦略は永遠にないと言えばないですね。
どこかで賃貸に移行すれば、その時点までの帰属家賃と値上がり分がリターンと言えるでしょうか。
また、売却しても値上がりした次の物件を買う必要があるのは事実ですが、もし不動産で運用してなかったらもはや手が出ないような物件も買えるということになるのでしょうか。
ちょっとこの辺は自分の頭整理してみます。