米国株は歴史的にインフレ調整後の実質ベースで7%弱のリターンを残してきました。株式は長期ではインフレに負けません。

2017年末現在低インフレの米国経済ですが、緩和的な金融環境が徐々に時間差で影響し始めて、今後インフレ率が上昇するリスクがあります。やはり、失業率が下がれば賃金が上昇して物価が上昇するという、伝統的な経済理論を無視しない方がいいと僕は思っています。

インフレ率が上昇し始める初期は株価は下がります。インフレ率が上がるということは、より高い名目リターンを提供してくれないと株に投資する意味がないからです。投資家が満足する利回りになるまで株価は調整します。しかし、長期的には株価はインフレに負けずグングン伸びていくことが期待できます。

なぜ株は長期ではインフレに負けないのでしょうか?

それは、企業がインフレによるコスト増を販売価格に織り込むことで、利益が増加し結果として配当も増加するからです。確定利付きの債券ではこうはいきませんが、株式は企業収益を資産価値の根拠としているので、インフレで企業収益が伸びれば株式価値は保全されます。

繰り返しですが、株式がインフレに負けないのは、企業がインフレによるコスト増を販売価格に転嫁できるからです。

そう、確かにそうなんです。ただ大事なことがあります。それは、インフレによるコスト増をどれくらい販売価格に転嫁できるかは企業によって異なるということです。

インフレって、先ずは失業率低下による賃金上昇から始まります。人件費上昇によって収益が圧迫される企業は、利益を確保するために売値を引き上げようとします。ただ、どれくらい売値をUPさせることができるかはひとえに企業の競争力次第です。顧客に対してどれだけ価格交渉力を持っているかに依ります。

競合他社が多くしかもコモディティを売っているような企業は、たとえ人件費や原材料価格が上昇しても、それらすべてを販売価格に転嫁することはできません。そのような競争力の弱い企業の株は、長期でもインフレに負ける恐れがあります。

長期間マーケットに居れば、インフレ率が上昇するような局面も経験することになるでしょう。FRBも神ではありません。長期投資家は別にインフレ率が上昇しても心配する必要はないのですが、それはインフレを販売価格に転嫁できるような強い企業の株を持っていることが前提です。

 

 

インフレを顧客への販売価格に転嫁できる強い企業って具体的にどんな企業が考えられるでしょうか?

たとえば、アップル(AAPL)なんていかがでしょうか?

私はiPhone無しの生活は考えられません。朝はiPhoneのアラームで目を覚まして、そのまま眠たい目をこすって米国株価状況をチェックします。通勤電車ではiPhoneでニュースをササっと読んでいます。

iPhoneは4~7まで649ドルで、7sが769ドルでした。高級品ですよね。最近発売されたiPhoneXの価格はなんと1,000ドルを超えます。日本円で11万円超です。顔認証システムや、ホームボタンの廃止(画面が大きくなる)、カメラの高性能化、バッテリーの性能アップなど、iPhoneXには1,000ドル以上支払うだけの価値が実際にあるのでしょう。

しかしまあ、いくら性能を向上させているとは言え、ここまで強気に販売価格を設定できるのはアップルのブランド力があってのことです。中国では最新のiPhoneを持っていることが富の象徴として、周囲へのアピールになるそうです。最近はインスタとかのSNS映えが重視される世の中です。誰だって承認欲求はありますから、馬鹿にはできません。

機能が向上しているとは言え、同じiPhoneを649ドル→769ドル→1000ドル超と強気に値段設定して、顧客にガッツリ請求できることは、アップルという企業の強さを物語ってます。米国経済全体のインフレ率が年1.5%前後しかないのに、アップルはここ6年ほどでiPhoneの売値を1.5倍~2倍にまで引き上げることに成功しています。

インフレに負けることなく、長期的に株主に実質ベースでリターンを提供してくれる銘柄とはアップルのような企業だと思います。

あなたがアップルのようなインフレに負けない銘柄に投資している限りにおいて、今後米国の(期待)インフレ率が上昇し、長期金利が上昇して株価が下落しても、特に慌てる必要はありません。アップルと言えども、長期金利が上昇すれば短期的には株価は下落するでしょう。しかし、長期では復活します。インフレで人件費や部材コストが上昇したとしても、ロイヤリティの高い顧客に高値を請求できるアップルは、そのコスト増をしっかり吸収できるからです。

インフレに負けない強い銘柄を選びましょう!