Grow Rich Slowly シーゲル流米国株投資で億万長者になる!

米国株投資を通じて資本主義社会を豊かに楽しく生きる

*

【PERの正しい理解】景気敏感銘柄のPERが投資判断の参考にならない訳

   

株のバリュエーションを判断するのは容易なことではありません。マーケットは合理的で大型株が割安に放置されているケースは稀です。とは言っても、たとえ大型株に投資する時でもバリュエーションが妥当か否か、きちんと確認する姿勢は大切です。”明らかに”割高になっている時に投資するのはできれば避けたいですよね。

株のバリュエーションを判断する上で基本となる指標がPERです。PERとは一株当たり利益(EPS)の何倍で株価が成立しているのかを示した指標です。「PER=株価 / EPS」で算出されます。

PERは重要な指標ですが、PERそれ単独で株の割安割高を判断することは不可能で、取り扱いは慎重を要します。

私はブログ記事の中でしばしばPERに言及していますが、それは私の投資対象の大半がノンシクリカル(景気安定系)な優良企業だからです。ノンシクリカルな優良企業のバリュエーションを確認したい時、PERは役に立つ有益な指標です。一方で、シクリカル(景気敏感)な銘柄のPERはほとんど投資判断の参考になりません。

 

ノンシクリカルな優良銘柄のPER(益回り)は最低投資リターンを示していると言える。

なぜ、ノンシクリカルな銘柄ではPERが有益なのでしょうか?

それは、PERは目前1期間の利益をベースに算定されますが、ノンシクリカルな企業はその利益が今後も大きくはブレずに、しかもゆっくりと成長していくと期待できるからです。

上は景気安定銘柄の調整後EPSのイメージです。具体的にはジョンソン&ジョンソン(JNJ)やペプシコ(PEP)などです。これらの企業は景気循環がどのフェーズにあろうと安定した利益を上げてくれます。その証拠にJNJの連続増配年数は55年、PEPのそれは45年です。1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショックなどのネガティブ・イベントを乗り越えて増配を続けてきた実績があります。それだけ業績が安定しているということです。

このような景気に左右されないノンシクリカルな銘柄のPERは、バリュエーション判断をする上で有益な情報を提供してくれます。

PERは逆数(益回り)で見ましょう。たとえば、2018年5月末時点のペプシコの予想PERは約18倍で、株式益回りは5.6%でした。この5.6%という数字には長期投資家として意味を見出せます。なぜなら、ペプシコの利益は今後も安定して成長してくれると期待できるわけですが、ということは少なくとも名目で5.6%のリターンは確保できそうだなと思えるからです。

先も言いましたがPERは前期もしくは当期の(予想)利益と株価を比較しているに過ぎません。今後の利益成長(ないし衰退)は一切考慮されていません。ペプシコの場合、当期の予想利益をもとに益回りを算出すると5.6%(PER=18倍)でした。今後10年間、20年間、30年間にわたってペプシコの利益は安定して成長すると期待できます。ってことは、5.6%という益回りには継続性があると言えます。5.6%という数字は最低限期待できる長期投資リターンを表していると言えます。

5.6%という名目リターンでは満足できないですよね。2%のインフレ率を差し引いたら実質で3.6%です。リスクある株式に投資しているのだからもうちょっと利益が欲しいところではないでしょうか。じゃあ、PER18倍は割高なのかと言えば、そんなことありません。将来の利益成長、配当成長が期待できるからです。

繰り返しで恐縮ですが、PER(益回り)はあくまで当期の利益と株価の関係です。それが5.6%なだけであって、将来増益してくれれば投資額(株価)に対する利益の割合は7%、8%、10%とドンドン上昇していきます。そして、長期的にインフレ考慮後で7%前後を確保できれば合格かな~となります。

そう考えると、ペプシコへの長期投資に期待が持てると思えませんか?

今現在の利益でも5.6%の収益率(=PER18倍)があるのです。ペプシコの商品力、マーケティング力、新興国市場の拡大、世界人口の増加などを考えれば、ゆっくりかもしれませんが10年20年かけて利益成長してくれそうだなと期待が持てると思いませんか。私は期待を持ってますよ。過去45年配当を増やし続けてきた実績がありますし、今後も政治イベントや金融ショックを乗り越えて成長してくれると期待しています。そして、最終的には実質で7%以上の投資リターンになる、、そう信じてペプシコへの投資を決断しました。

ノンシクリカルな優良銘柄のPERは、最低限期待できる名目リターンを示していると言えます。私はこういう目線でPERを見ています。

もちろん、将来は分かりませんよ。ペプシコと言えども将来衰退して、利益が長期的に減少しいつか減配してしまうかもしれません。そうなれば益回り5.6%のリターンすら得られません。事業リスクを取るのが株式投資ですから、そのリスクは避けられません。

ただ一般論として、高い収益力を持つディフェンシブ銘柄のPERは(名目)投資リターンの下限を示してくれる可能性が高いです。ノンシクリカルな銘柄のPERは参考になる情報です。

 

シクリカル銘柄のPER(益回り)には特段の意味を見いだせない

一方で、シクリカル(景気敏感株)な銘柄のPERはあまり参考になりません。

シクリカル銘柄のEPS推移のイメージを適当に描いてみました。こんな感じで毎年の(調整後)EPSが大きくブレて、ときにマイナスになることもあるような銘柄のPERは投資判断の情報として使いづらいです。というのも、PER及びそこから計算される益回りが意味を持たないからです。

意味を持たないとは、その益回りと期待できる投資リターンにほとんど関係性がないという意味です。上のグラフで言えば、×1年の利益をベースにPER(益回り)を算出しても、それが長期的な投資リターンを示すとは言えません。なぜなら、翌期以降の利益と当期の利益との連続性がないからです。

たとえば、エネルギー大手のエクソンモービル(XOM)の昨年末時点のPERはペプシコと同じ18倍でした。益回りも同じ5.6%です。XOMについて、この5.6%という数字に意味はあるでしょうか?

あまりないですよね。

ペプシコの場合は5.6%以上のリターンをもたらしてくれる利益が今後も継続すると期待できるから、5.6%という数字には意味を見出せます。「ああペプシコのPERが18倍で益回り5.6%ってことは、長期的には最低でも5.6%の投資リターンは確保できそうだな~。ペプシコの将来の利益成長力を考えれば、どうだろうか、、うまくいけば年率10%超のリターンを狙えるかもな!」って思えます。

でもエクソンの場合は、今の利益に基づくPERが18倍で益回り5.6%だからって、長期的な投資リターンが5.6%以上になるという期待は持てません。シェール開発の技術進歩によって投資サイクルは早まっており、原油価格は今まで以上に変動すると想定されます。ということは、エクソンの利益ボラティリティも高止まりするはずです。

そういった利益変動から免れない企業のPERや益回りを見ても、そこから何を読み取ればいいのでしょうか。あまり意味のある数字とは思えません。今の利益で5.6%の利回りがあるとしても、翌年にはその利益は半減するかもしれません。と思ったら3年後には今の2倍の利益になっているかもしれません。そういう景気に敏感、というか年によって利益が大きくブレることが分かっている銘柄のPER(益回り)を見たって、あまり参考にはなりません。

 

意味を理解して正しくPERを使おう!

PERは株式投資界では大半の人が知っているバリュエーション指標です。マネー誌にも日経にもWSJにも、頻繁にPERで見て割高割安だとか言っている記事があります。そして私もブログ内で、「PERで見て割安に見えますー」とかよく言ってます。

そんなメジャーなPERですが、意味を正しく理解していないと判断を誤ります。日経やWSJに書いているあることを鵜吞みにし過ぎない方がいいです。もちろん私のブログ記事もです(なるべく誤解ないように書くように気を付けていますが)。

エクソンのPERがS&P500平均より低いからって、それだけで割安とは言えません。エネルギー株のPERなんてほとんど参考になりません。でも、アルファベット(グーグル)のPERがS&P500平均より低かったら、それだけで割安と言っていいと感じます。アルファベットの利益は毎期安定しており、かつ市場平均を超える成長が今後も続きそうだからです。アルファベットのように景気に左右されずに安定して利益を出せる銘柄のPERは参考になります。もちろんPERだけで判断できるわけではありませんが。

PERという数字を表面的に見るのではなく、その意味を理解して適切に利用できるといいですね。

 - 投資理論・哲学