Profit is opinion, cash is fact
(利益は意見、キャッシュは事実)

経理部として働く上で常に意識している言葉です。

減損会計、退職給付会計、税効果会計、ヘッジ会計、M&A会計など、現代会計には複雑怪奇な論点が多数あります。上場企業の経理にいると、どうしてもこれら会計処理に頭を悩ませることになります。

しかし。

どれだけ複雑になろうとも、会計とはキャッシュフローの期間按分に過ぎません。

ここは常に意識しています。もちろん、このキャッシュを各期間に適切に配分して投資家に正しい期間損益を示すことは大事なことです。

でもね、、所詮期間按分ですよ。

長い目で見れば損益とキャッシュは一致します。

長い目で投資リターンを考えればいい長期投資家は、先ずは投資を検討している企業のキャッシュフローを見た方がいいです。損益計算書を見ても巧妙な会計マジックに騙される可能性があります。

その会計マジックを見破れるほど会計の勉強をする時間はありますか?
モチベーション出ますか?

そんな時間もやる気も普通はないですよね。。

私だって、「ワードプレスでのブログ運営に活かすために今から一からプログラミングの勉強をやれば」って言われてもNOです。そんな時間もやる気もありません。

無理に会計を理解しようと努力するよりも、素直にキャッシュフローを見た方がいいです。

Morningstarで米国企業の過去5年分のキャッシュフロー計算書を閲覧する方法をご紹介します。
会員登録など不要で無料です。

 

①Morningstar(英語版)のサイトを開く

以下をクリックして下さい。
Morningstar

モーニングスターのホーム画面が表示されましたね。

モーニングスターはお気に入り登録必須ですよ。

 

②閲覧したい企業のティッカー・シンボルを入力する

ホーム画面の上部の入力欄に閲覧したい米国企業のティッカーシンボルを入力してください。

ティッカーシンボルとは日本株で言う銘柄コードです。
トヨタ自動車の銘柄コードは「7203」です。

米国企業のティッカーはとても合理的で覚えやすいのでご安心を。
(覚える必要ないですけどね…)

例えば、
・マイクロソフト(MSFT)
・エクソンモービル(XOM)
・コカ・コーラ(KO)
・ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)
・プロクター&ギャンブル(PG)

覚える気なくても勝手に覚えちゃいますよね。

調べたい米国企業のティッカーが不明ならグーグル先生に聞けば一発です。
「マイクロソフト ティッカー」とかで検索してください。

では、例としてマイクロソフトで進めます。

マイクロソフトのティッカーは”MSFT”なのでこれを入力してエンターを押します。

 

③”Financials”をクリック→”All Financials Data”をクリック

画面上部にある”Financials”という箇所をクリックして下さい。

 

画面が自動で下にスクロールされるかと思います。

スクロール後の画面下部にある”All Financials Data”をクリックして下さい。

 

④別タブで表示された画面の”Cash Flow”をクリック

上記の”All Financials Data”をクリックすると別タブが表示されます。

その画面で損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の詳細な情報が過去5年分表示されます。

キャッシュフローを見るためには画面真ん中やや左にある”Cash Flow”をクリックしてください。そうすると、キャッシュフローが表示されます。

以上です。
簡単なので興味がある人は(特に個別株投資をしている人は)チェックしてみて下さい。

画面右上の”Export”をクリックするとエクセルでデータを吐き出すこともできます。自分でグラフ化することも可能ですね。

 

先ずは営業CFがプラスかどうかチェックしてみよう

Morningstarは米国のサイトなので言語は英語です。

すべての項目を理解するのは困難かもしれません。そこで先ずは営業キャッシュフローだけでも見てみましょう。

営業CFは本業での収入を表しています。営業CFは大きければ大きいほど良いです。営業CFがマイナスならば、長期投資対象としては外した方がいいです。

一部の成長企業は営業CFがマイナスのこともありますが、相応のリスクがある銘柄だと思うべきです。電気自動車ベンチャーのテスラの営業CFはマイナスです。

営業CFは“Net Cash provided by operating activities”という項目です。

 

余裕があればフリーキャッシュフローも見てみよう

フリーCFとは、「営業CF-設備投資額」で計算されます。

別に自分で計算する必要はないのでご安心下さいね。

表示されたMorningstarのキャッシュフロー計算書画面の下部に”Free Cash Flow”という項目があるかと思います。ここの数字を直接拾えばOKです。

フリーCFが多いということは事業継続に多額の設備投資が不要ということです。フリーCFも大きいほど良いと考えていいです。なるべく設備投資が不要なビジネスに投資することが望ましいです。

例えある程度のキャッシュフローを生み出せたとしても、現在の地位を守るために必要な設備投資を行う企業は投資家に利益をもたらせません。

ウォーレン・バフェット

 

もっと余裕があれば、他の項目も見てみよう。

営業CFとフリーCFの2つを確認できれば十分です。

でも興味がある人はもっとキャッシュフロー計算書を眺めてみて下さい。企業のお金の流れがはっきりとわかりますよ。

営業CFの内訳はあまり気にしなくていいと思います。ここはちょっと理解しにくい点です。パスしましょう。

投資CF(“Net Cash ued for investing activities”)の内訳を見れば、設備投資やM&Aにどれくらいお金を使ったかがわかります。

財務CF(“Net Cash provided by financing activities”)の内訳を見れば、どれくらい借金したのか、配当や自社株買いにどれくらいお金を使ったかなどがわかります。

配当金の支払い額:Dividend paid
自社株買いの金額:Common stock repurchased