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日本企業の新卒採用と長期投資は似ている

   

会社にはたくさんの部署がありますよね。CEO、秘書室、経営企画室、法務部、人事部、経理部、財務部、情報システム部、品質保証部、営業、購買部、総務部、研究開発部、マーケティング部、広報室などなど。会社によって色々あるでしょう。

どこの部門が大事というわけではなく(CEOが一番重要なのは言うまでもないとして)、すべての部署がそれぞれの役割を果たすことで組織は円滑に回ります。部署、仕事に貴賤はありません。

が、敢えて一番重要な部署はどこか私の意見を言わせてもらうと、それは人事部だと思います。やっぱ組織とは人。人がすべて。モチベーションの高い優秀な人材がいればこそ、組織は成長するものですよね。良い社風とか言いますけど、それは別に会社という箱の問題ではなくて、その会社にいる社員の人柄が良いということです。人が変われば社風も変わります、良くも悪くも。

人事部で新卒採用を担当している友人がいます。彼が以前「採用は花形の仕事じゃないからな~」と言っていました。花形の仕事ってありますよね。たとえば経営企画とかですかね。MBA上がりとかの頭良い人がたくさんいて、会社の重要意思決定に関与しているイメージ。花形とは会社の業績に大きなインパクトを与えうる部署、職種ということでしょうか。配属になったら「あ、あいつ出世頭なんだな」と思われるような部署。

でも僕は思うんです、人事部の新卒採用こそ真の「花形」業務だと。

日本企業はまだまだ終身雇用文化です。少なくとも、うちの会社はそうです。離職率は低い。それは良いことだと思います。働き甲斐があって条件も満足できるから(少なくとも大きな不満はないから)、辞めずに働き続ける人が多いのでしょう。私もまさか7年以上も勤務し続けることになるとは、転職当時は思ってもみなかったです。

そんな終身雇用文化が色濃く残る会社において、新卒採用ってメチャクチャ重要な仕事だと思います。「人を採用するのは2~3億円の機械を買うのと同じ」と誰かが言ってました。確かに、正社員一人の生涯報酬は2~3億円くらいはあります。他諸々のコスト(研修、備品、社会保険)まで加味したら、一人当たり5億円以上払うことになります。

ってことは、新卒で200人採用するとしたら、それは1,000億円レベル(5億円×200人)の投資という見方もできます。巨額M&Aです。やる気のない仕事のできない人を採用してしまっても、本人が自ら辞めない限り人件費は発生し続けます。簡単にリストラできないのが日本の慣習です。人材の見極めミスは大きな経済損失に繋がります。

採用ほど重要な業務が他にあるでしょうか?
採用してからの勤続期間が長い新卒採用は、特に重要と言えます。

じゃあ、なんで採用という仕事は花形と思われないことが多いのか?

それは多分、成果が数字で測れず客観性に欠けており、かつ成果が出るのに長期間かかるからだと思います。新卒で採用した新人がすぐに頭角を表すのは無理です。能力的にも無理だし、仮にずば抜けたスキルがあったとしても日本の人事制度だと若い内に昇格して責任ある立場に就くのは無理です。22歳の大学生への投資が莫大なリターンをもたらすとしても、それは20年、30年後の話です。

うちのCFOは55歳くらいです、多分。中途ではなくプロパーです。33年前に人事部の誰かが採用した人です。当時右も左も分からなかったペーペーの新米が、今では大組織の財務トップを務めているわけです。今のCFOを採用した当時の人事担当者は、もう誰も会社には残っていないでしょう。とっくに定年を迎えて退職しているはず。

「あなたが33年前に新卒で採用してくれた人が今ではCFOですよ。素晴らしい人材を見抜いて採用してくれましたね。どうもありがとう。」

なんて言われることは絶対ないです。

そこが新卒採用担当者の辛いところかもしれません。自分が採用した学生が、将来大きく成長してくれるかすぐにはわからない。仮に成長して、会社を引っ張ってくれる人材に育ってくれたとしても、その姿を見れないことが多いです。ましてや、それで自分の採用の仕事が評価されることはない。

新卒採用は仕事の成果を短期的に測定できません。採用の巧拙が会社の短期的な業績に影響することもありません。だから「採用は花形じゃない」 なんて発言が出るのかなって思います。僕からしたら人事部は会社の最重要部署だし、その中でも新卒採用はもっとも会社の未来にインパクトを与える仕事だと思います。

経理部で有価証券報告書の記載をミスって訂正報告書を出す事態になったら、恥ずかしいし担当者は怒られるけど、会社の業績に何か影響を与えるかと言えばそれはNOかなあ。でも、新卒採用で仕事のできない人を採用してしまったら、それは会社の業績に大きな負のインパクトを与えます。すぐに影響が出るわけではありませんが、10年20年かけてじわじわと表れます。

経理部の決算書作成と人事部の新卒採用、それぞれ別々の役割を担っていて比較するようなものじゃないけど、会社の未来に与える影響の大きさという点ではやはり後者の方が上だと思います。ただし、その仕事の効果が表れるのには長い時間がかかる。採用した新人が立派に育つには時間が要る。親が子どもを育てる以上に長い時間が必要。

そういう人事部の新卒採用って、僕らがやってる長期投資に似てるところがあると思います。長期投資も短期間では成果を測定できないし、大きな成果を出すには20年、30年という長い年月が必要です。

昨年末にアップル株を150ドル台前半で買いました。3ヵ月経って株価は一時200ドルを超えました。今は190ドル台後半。3ヵ月で30%以上もの株価上昇。年率にしたら100%超えます。投資してすぐにこんなに株価が上がるなんて初めてで、ちょっと嬉しいです。でも、だからってアップル株への投資が成功したなんて微塵も思ってません。長期投資ですから。アップル株への投資成果は、これから10年、20年とアップルがEPSを成長させ、株主に富を還元してくれるかどうか次第です。将来への期待から株価が上がっても、別にそれは大して意味のあることではありません。一時的にちょっと良い気分になれるだけ。

長期投資は地味だし「花形」ではありません。トレードで短期で億単位稼ぐ人に注目が集まります。そうやってトレードで成功できる人ってすごい努力家だと思います。FXが上手い人とかYouTubeで配信している方もいます。そういう人が投資界の「花形」でしょうか。あるいは有名なヘッジファンドマネージャーとか。優良株をバイ&ホールドしている個人投資家は地味な存在です。

会社って普段あまり日の目を見ない地味な部署の努力に支えられています。花形とは言われない仕事はやりたがる人も少ないです。でもそういう仕事をそつなく真面目にこなす人が会社の屋台骨です。新卒採用という仕事がまさにそれに該当すると思います。

投資も同じかなと思います。地味で花形とは程遠い優良株のバイ&ホールドを人知れずコツコツ続けることで、最終的には他のどんな投資スタイルにも負けない大きな成果を実現できると思います。そう信じています。短期で成果が出ないことなんて誰もやりたがらないもんですが、だからこそそこに富を得る機会が生じます。

地味だけど基本的なことを日々コツコツこなす。それが大きな利益を生む。ただし時間がかかる。会社も株式投資も同じですね。そりゃそうか、株式投資とはビジネスそのものですからね。

 - 投資理論・哲学