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高配当株がインフレ(金利上昇)に弱い本当の理由

   

2018年に入ってから長期金利(米10年債利回り)が上昇しています。2月19日現在、10年債利回りは2.87%です。

長期金利上昇を招いている最大の理由はインフレ懸念です。2008年の金融危機の傷から米国経済はいち早く回復してきました。FRBの緩和的な金融政策も手伝って緩やかな景気回復が今も続いています。

利上げするまで回復した米国経済ですが、FRBは一抹の不安を持ちながら利上げを敢行してきました。その不安とは低インフレです。これまで金融緩和を続けてきて失業率がかなり下がってきたにもかかわらず、賃金上昇は鈍く消費者物価の上昇率も1%台のままでした。

しかし、2018年に潮目が変わりました。1月の雇用統計で明らかな賃金上昇がみられ、消費者物価指数(CPI)の上昇率も2%を超えました。表面的に見ればFRBが設定している+2%という物価目標を達成しています。もちろん、一時的に物価上昇ではないのか、統計異常値がないのかこれから精査せねばなりませんが。

2018年になってマーケットは将来のインフレ懸念を抱き始めたようです。それが債券マーケットに反映され、10年債利回りが上昇しています。

 

高配当株がインフレに弱いのは、利益を再投資しないから

さて、債券利回りの上昇は特に高配当株にネガティブです。
その理由としてよくこう言われます。

「コカ・コーラなどの高配当株は業績が安定しておりその配当金は債券のように安全である。よって高配当株は債券と真っ向から競合する存在と認識されており、債券利回りが上昇すると売られやすい。」

確かにその通りだと私も思います。相対的にリスクが低く業績が景気循環に左右されない優良企業の配当金は、債券の確定利息のように安全です。コカ・コーラのようにブランド力がある企業であればなおさらです。

債券と競合するから、債券の利回りが上昇すれば高配当株から債券に資金が移動するというのは納得感があります。10年債利回り3%でコカ・コーラの配当利回りも3%ならば、コカ・コーラ株を売って米国債を買いたい人がいても不思議じゃありません。コカ・コーラ株は配当だけじゃなくて値上がり益が狙える分、米国債より高いリターンが期待できますがそれは不確実です。株価が下落してしまう可能性だって当然あります。であれば、安全に手堅く米国債で3%のリターンを取りたいと考える投資家がいるのは自然です。

確かに債券利回りとの比較で高配当株が売られる面もあるとは思っています。ですが僕は、金利上昇局面で高配当株が売られやすい本当の理由はそこじゃないと思っています。

(特に期待インフレ率上昇による)金利上昇局面で高配当株が売られる最大の理由は、高配当株はインフレを販売価格に転嫁するのが相対的に難しく時間が掛かるからだと思います。

株式はインフレに対する防衛機能を果たします。実際、過去100年米国株はインフレ調整後で7%弱のリターンを残してきた実績があります。

しかし、銘柄によってインフレに対する防衛機能の良し悪しには差があります。

ブランド力があるコカ・コーラやプロクター&ギャンブルのような企業は、確かに長期的には業績がインフレ率上昇に追いつきますが、そのペースはかなり緩慢になります。

なぜインフレに追いつくペースが遅いのかと言えば、それは高配当だからです。

高配当ってことは、利益をあまり再投資せずに株主に還元しているということです。そこがネックです。業績がインフレ率上昇に追いつくためには、既存ビジネスの延長だけでは難しくやはり積極的な利益の再投資が必要になってきます。事業に再投資してドンドン売上高・利益が成長していく過程で、結果として業績がインフレに負けないくらい改善していきます。

あまり再投資せずに、利益の大半を株主還元に回しているような成熟企業は利益成長の機会が相対的に小さいです。結果として横ばいかちょっと右肩上がりの業績が続いて、なかなかインフレに追いつくことができません。

過去における比較的大規模なインフレが一株当たり利益に直接影響を与えたという証拠はどこにもない。

過去20年間におけるダウ平均採用銘柄の大幅な収益増加はすべて、収益の再投資による投資資本の大きな成長に比例したものだった。

ベンジャミン・グレアム著『賢明なる投資家』より

 

我慢強く保有することが大切

期待インフレ率が上がっているのは間違いない様に思いますが、実際にインフレ率が上昇するかどうかは分かりません。FRBが積極的に利上げしてインフレを早期に退治してしまうかもしれません。

どうなるか将来は予見できませんが、長く続いた低インフレから少しずつインフレ経済に移行する可能性が高いことを考えれば、高配当株に投資している人は我慢の時期がしばらく続く可能性が高そうです。債券利回り上昇に伴って株価も上昇すると期待していますが、それを牽引するのは成長株で合って高配当株ではないでしょう。

利益をあまり再投資しない高配当企業の業績もいずれはインフレに追いつきます。なので長期投資なら過度な心配は不要だと思っています。市場平均をアンダーパフォームすることに焦って、成熟優良株を投げ売りしないことが重要です。

日本って他国に比べてデフレ経済って言われますが、着実に物価は上がっていますよね。それを一番感じるのは飲み物の自販機です。会社の自販機は補助があるので100円程度で買えますが、そこら辺の道端に設置してある自販機って1本平均130円くらいしますよね。僕が子どもだった頃は100円~110円だったと記憶しています。

生活必需品もゆっくりですが着実に値段は上昇します。ただペースはゆっくりですね。

 - 投資理論・哲学