株式投資を初めて行ったのは2012年の秋でした。
当時25歳。

時価総額基準のインデックスファンドやETFを毎月のお給料からコツコツ購入していました。
主にアメリカを始めとする海外先進国株式に連動するMSCIコクサイ指数連動型を主力にしていました。

今も時価総額基準のETFをポートフォリオの主力に据えていることに大きな変化はないですが、私の投資戦略を一変させた本がありました。
ジェレミー・シーゲル氏の『株式投資の未来〜永続する会社が本当の利益をもたらす』です。

今もたまに寝る前に読んで、そのまま枕元に置いていることの多い私の座右の書です。

その中でシーゲルさんは、S&P500指数連動型の商品に投資しても長期で十分なリターンが得られるが、より高いリターンが望める投資法が存在することを、膨大な歴史調査によって明らかにしました。

長期的に財産を積み上げたいなら、インデックス運用がいちばんだと思えた。だがいまでは、もっと上を目指せる戦略があると確信している。
誤解のないよう断っておくが、インデックス運用を株式投資のコアにするべきとの考えに変わりはない。
〜中略〜
インデックス・ポートフォリオに、本書で紹介した補完戦略を組み合わせれば、さらに高いリターンを狙うことができる。
(株式投資の未来 P278)

この補完戦略として、4つが挙げられています。

・高配当戦略
・グローバル戦略
・セクター戦略
・バリュー戦略

この中で私が注目し、実際に投資行動に移しているのが「高配当戦略」と「セクター戦略」です。

 高配当戦略とセクター戦略

高配当戦略とは

高配当戦略とは、高い配当利回りを持つ優良銘柄を長期で保有し、得た配当を再投資し続けることによって資産を積み上げていく投資法です。

配当は所得税を前倒しで払わないといけないと理由で、投資家によっては好まれません。
私もこの本を読むまで配当はなるべく少ないほうがいいと思っていました。
利益は最大限繰り延べて税金支払いをなるべく遅らせたほうが、ファイナンス的に得なのは間違いないからです。

しかし、シーゲル先生はそれは間違いだと言っています。

高い配当利回りを継続して続けている会社は、あまり投資家に注目されないオールドエコノミーの会社が多く、そのような会社は投資家の期待も高くない分過剰なPERにもならず株価はよくも悪くも安定しています。

そのような会社は昔からの強いブランド力を保持しており、少ない投資で毎年安定した営業キャッシュフローを生み続け、そしてそのキャッシュを忠実に株主に還元しています。
特にアメリカは株主資本主義が徹底されているため、企業の取締役は株主利益に資するように財務戦略を立てています。(その分、経営陣の報酬は日本に比べてバカ高いですが。)

流行りの企業の株を買って値上がり益を狙うよりも、昔からある伝統的な優良大企業の株式を長期保有して配当を得続けることが高いリターンを生み出します。

具体的なアメリカ企業で言うと、
・プロクター&ギャンブル(PG)
・ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)
・エクソンモービル(XOM)
・フィリップモリス(PM)
・コカ・コーラ(KO)
などです。

これらの会社は急激な成長は望めませんが、強いブランド力を有しかつ世界の人々の豊かな生活を支えている企業です。
これらの会社を長期保有して配当再投資を続けていくことが極めて高い投資リターンを生むことを、シーゲルはデータで実証しています。

詳しくは是非書籍を読んでください。
本ほど投資リターンのいい自己投資はありませんから。

 

セクター戦略とは?

シーゲルは以下のセクターが長期に亘ってS&P500指数をアウトパフォームしていることを実証しました。
・生活必需品
・ヘルスケア
・エネルギー

これらのセクターが高いリターンをもたらした理由には高配当銘柄の高リターンと通じるところがあります。
つまり、世界の人々が豊かな生活を送る上で必須な製品・サービスを長期に亘って提供し続けて、そこで得たキャッシュを株主に還元し続けたということです。

以下は1957年〜2003年の年率リターンです。(インフレ加味後の実質リターン)

セクター 実質リターン
金融 10.58%
情報技術 11.39%
ヘルスケア 14.19%
一般消費財 11.09%
生活必需品 13.36%
資本財 10.22%
エネルギー 11.32%
電気通信 9.63%
素材 8.18%
公益事業 9.52%
S&P500 10.85%

(上記表 『株式投資の未来』P57より)

代替資源の脅威がある石油、多額の研究開発投資が必要なヘルスケアは今後50年も同様に高いリターンを出し続けるのか確信は持てませんが、生活必需品セクターは今後も市場平均を上回る可能性は高いと個人的に思っています。

 HDVは高配当戦略とセクター戦略の合わせ技

『株式投資の未来』を読んでから、アメリカ企業の個別株式投資も検討しましたが、面倒だったので一旦それは止めにして、ETFで高配当銘柄に投資できないか探しました。

低コストのバンガードが好きなのでバンガードのETFで最初探していまして、実際に以下の2つのETFを購入しました。
・バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
・バンガード・米国増配株式ETF(VIG)

前者は高い配当利回りの米国企業に、後者は10年以上連続増配している米国企業に投資をしているETFで、ともに低コストで良質なETFだと思っています。

この二つのETFも大変気にっているのですが、最近もっといいのではないかと思えるETFと出会いました。
ブラックロックのiシェアーズ・コア米国高配当株ETF(HDV)です。

結構有名な商品だと思うのですが、今までバンガードのETFばかり見ていたので知りませんでした。

HDVはこんな商品です。

概要:配当水準が比較的高位の米国株式で構成される指数と同等の投資成果を目指す。
設定日:2011/3/29
ベンチマーク:モーニングスター配当フォーカス指数
銘柄数:73
経費率:0.12%
配当利回り:3.52% (2016/3/31)

そして、注目すべきはセクター別構成比です。

セクター 構成比(2016/4/14)
エネルギー 20.48%
生活必需品 18.52%
ヘルスケア 16.81%
情報技術 12.97%
金融 7.44%
公益事業 7.17%
電気通信 6.90%
資本財 5.69%
一般消費財 3.67%
キャッシュ等 0.26%

みなさん、お気づきになりますか?
そうです、構成比上位3セクターがシーゲル先生推奨のあの3セクターなのです。
繰り返しますが、
・生活必需品
・ヘルスケア
・エネルギー
ですよ。

iシェアーズ・コア米国高配当株ETF(HDV)という名称なくらいですから、当然配当利回りは高いわけです。
実際、配当利回りは3.5%と高いです。
これはVYMやVIGを超えています。

さらに上位セクターもシーゲル推奨ということで、つまりこのiシェアーズ・コア米国高配当株ETF(HDV)を購入すれば、高配当戦略とセクター戦略を同時に実現することが可能なのです!

上位保有銘柄を見てみましょう。(2016/4/14 時点)

ティッカー 銘柄名 比率(%) 業種
XOM エクソンモービル 9.6 エネルギー
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 6.9 電気通信
JNJ ジョンソンエンドジョンソン 6.51 ヘルスケア
CVX シェブロン 6.5 エネルギー
PFE ファイザー 6.09 ヘルスケア
PG プロクター&ギャンブル 5.32 生活必需品
WFC ウェルズ・ファーゴ 5.3 金融
PM フィリップモリス 5.02 生活必需品
MRK メルク 4.21 ヘルスケア
KO コカ・コーラ 4.03 生活必需品

ほとんどの日本人が知っているであろう優良大企業集団です。
ウェルズ・ファーゴやプロクター&ギャンブル、コカ・コーラなどのバフェット銘柄も名を連ねています。

保有銘柄合計数が73と少ないので、上位10銘柄で約60%を占めます。HDVはVYMやVIGと比べて、投資銘柄数が少ないですがこれはむしろメリットだと思っています。
銘柄分散は20銘柄を超えると、それ以上増やしても分散によるリスク低減効果は薄くなると言われます。73銘柄は十分に分散できています。

むしろ、優良大企業に多く投資できるので安心感があります。

経費率も0.12%と問題ありません。

すごく欲しいです、このETF。
でも最近、バンガードのVDEを買ったばかりであまり資力がありません。
夏のボーナスで買いたいと思います!
来年2017年のNISA候補にもなりそうです。