コロナ禍でホワイトカラーを中心に在宅勤務が広がっていますが、社員が自宅でちゃんと働いているか、サボってないかを監視するソフトウェアが売れているというニュースをWSJで読みました。

確かに家にいると誰も見てないからサボりやすいです。私も何度か在宅勤務しましたが、たまにベッドに横になったり、テレビ付けたりして気分転換してました。まだ慣れてないのもあって、あからさまにサボったことはないですが、やろうと思えばやれますね。

会社(資本家)からすれば、自宅で仕事をせずにサボっている社員なんて給料を払う価値はないリストラ候補です。ちゃんと働かすためだけではなく、ぶら下がり社員を特定するためにも監視ソフトを導入したがるのかもしれません。

確かに、一定の統制は必要だとは思います。人間楽な方に流れちゃうものですし。やるべき仕事を放置して組織のパフォーマンスが落ちてしまうのは良くないです。

ただ、監視し過ぎるのもよくないと思います。すべての従業員が8時間常に忙しく働いていることが望ましい状態ではないからです。何もすることがなくてボーっとできる手待ち時間がある従業員が一定数いる方がいいんです。あまりに多いと問題ですが。

なぜかというと、そういう社員がいることで、突然湧いてきた緊急タスクにも余裕を持って対応できるからです。日々のルーティン業務だけで毎日のスケジュールがきつきつに埋まっていると、ちょっとトラブっただけで後続の仕事に影響を与えてしまうし、上司からイレギュラーなオーダーがあった時に対応できません。

数時間の空き時間に必要性の低いどうでもいい「仕事」をやらせるくらいなら、そのまま放置した方がましです。余剰リソースがあれば、本当に必要な仕事が生じた時に柔軟に対応できます。結果として組織のパフォーマンスが上がります。

私は結構暇な時あります。1日中スケジュールがタスクで埋まって、残業しても終わらないくらい仕事があるのは年度末決算や翌年度の計画策定のピーク時くらいです。あとは、比較的余裕がある状態を意識して作っています。

そのおかげで部長から突然の分析を依頼されても対応できるし、後輩がトラブった時も火消しに回れます。仕事がない時にわざわざ上司に「いま時間あるんですが、何かやることありますか?」なんて意識高く聞かない。本当に緊急性の高い仕事があれば、こちらから言わなくても勝手に下りてくるものだし。

大してやる事がない時はWSJやブルームバーグ、ロイター、NewsPicks、Seeking Alphaの記事を読んでることが多いですかね。あとはブログのこと考える時もあります。さすがに記事は書かないけど。あ、でも米国株銘柄分析の数字データを収集することはたまにあります。

在宅勤務だと暇な時にニュース読む以外にも、たとえばテレビゲームすることもできそうですが、さすがにそこまでやる勇気はありません。でも読書くらいならやるかな、ぶっちゃけ。もちろん、仕事が入ってきたらそっちを優先します。メールやチャットは常に見れる状態にしておく必要があります。

大半の社員が自宅で仕事をしていると「あいつちゃんとやってんのか?」と疑いたくなる時もあります。確かに、全く仕事をせずにずっとサボっているのは問題だし、一定の監視はあってもいいと思います。ただ、チームの全員が常にタスクに追われている状態が理想ではないという認識は持つようにしています。監視もほどほどにすることが会社にとっても従業員にとってもプラスだと思います。

ちなみに、私がこんな発想を持っているのは数年前に読んだ1冊の本に影響されている面が大きいです。『ザ・ゴール』という本です。結構有名な本なので、書店で見かけたことはあると思います。

工場の生産管理におけるTOC(制約理論)を物語形式で解説しており、非常に学びの大きい書籍でした。工場の製造現場だけでなく、あらゆるプロセスに応用できます。ボトルネックを特定して改善することが重要であって、非ボトルネックは手待ち時間があった方がむしろ健全なのです。興味があったら是非読んでみて欲しいです。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か