債券市場が荒れています。米10年債利回りは昨日、一時1.6%台に乗りました。絶対水準的にはまだまだビビるほどではないですが、上昇スピードは速いですね。

米金利は綺麗な順イールド。今のところは「良い金利上昇」と言えるのではないでしょうか。短期側の金利まで急激に上がり出すと、利上げが意識されるので要警戒ですが。

さて、ここからアメリカ経済(世界経済)がどう進むのか、いくつかのシナリオが考えられます。

シナリオ①
ワクチン接種が無事完了しコロナを克服。人々はここぞとばかりに旅行、ショッピングに出かけ、これまでの財政支援で蓄えた貯蓄を経済に大放出する。

シナリオ②
ワクチン接種が無事完了しコロナを克服。しかし、生活防衛意識の高まりから消費意欲は回復せず、せっせと将来のために貯蓄する人が増える。

シナリオ③
ワクチン接種に何らかのトラブル発生。あるいは変異種のコロナウイルスが蔓延。世界は再びロックダウンへ

個人的な感覚としては
シナリオ①:80%
シナリオ②:19%
シナリオ③:1%
くらいに思ってます。

シナリオ③は一旦忘れましょう。

シナリオ②は低くはない確率であり得る未来かなと思います。以下はウォールストリートジャーナルにあったデータです。

(ウォールストリートジャーナルより)

(ウォールストリートジャーナル)

日本人より消費に積極的という印象のあるアメリカ人ですが、今のところこの通り貯蓄に励んでいます。

まだお金を使う機会がないだけで、経済が正常化すれば消費が増えるのか。あるいは、このまま貯蓄し続けるのか。どっちかわかりませんが、思ったほど消費が増えないリスクもあります。

金融政策では景気を抑揚させる効果がないとわかったから、財政政策に舵を切ったわけですが、給付金という実弾を使っても、みんながそれを貯金しちゃえば景気は改善しません。

今、投資家は金利上昇に怯えているわけですが、本当に怖いのは長期金利(米10年債利回り)がまた1%未満に戻ってしまうことです。それはアメリカ経済が大して成長しないと債券投資家が判断したことを意味します。

そんなシナリオ②が実現した時に頼りになるのが、GAFAMなどの大手ハイテク株です。オールドエコノミーがゼロ成長の中でも、年率二桁でEPSを伸ばしてきた素晴らしいビジネスを持っています。

もっとも可能性が高いシナリオ①が実現した場合、高PERのハイテクグロース株のパフォーマンスは景気循環株には負けるでしょう。少なくとも短期的には。それでも、金利がさほど上がらなければ、そこそこのリターンを残す気はしますが。

残念ながらシナリオ②、③が実現してしまった場合、大手ハイテク株はこれまで同様に市場平均をアウトパフォームする可能性が高いです。

今や大手ハイテク株がディフェンシブ株に見えます。資産増加のためというより、資産防衛のためにGAFA株を売らずにホールドするという考えもありではないでしょうか。