学生の時、一番好きな科目って何でしたか?
私は数学です。そんなめちゃ得意ってわけじゃなかったですが好きでした。数学の好きなところは暗記よりもその場の考える力が重視される点(まあ受験数学は暗記なところもあるけど)。あと、物事を抽象化して数字で表現することがクールでかっこいいな~と思ってました。
抽象化ってカッコイイって思ったんです!
中学生の時は「抽象化」なんて単語知らなかったですが、「あらゆる状況を変数変えるだけで表現できる方程式ってすげえなあ」って思ったんです。それは今思えば抽象化に他なりません。
たとえば単純な話で「健太君が時速20kmの速度で走ると、x時間後には何キロ進んでいるでしょうか?」みたいなやつです。
答えは、y=20xですね。
x=1なら20km
x=2なら40km(←もはやフルマラソン。しかも2時間って早い!)
x=2.5なら50km
x=4なら80km
てな感じで、変数xを変えるだけですぐさま結果が返ってきます。
このような数式での抽象化で最初に習うのは、一次方程式ではないでしょうか。多分中学一年生くらいで習ったような気がします。
あの”y=ax+b”です。
こんなの見ると吐き気しますか(笑)?
数学って嫌いな人はホント嫌いですよね。
ここから投資の話に繋げたいので、嫌じゃなければこのままお付き合い下さい~。
で、”y=ax+b”の話です。これは一次方程式なわけですが、この式のaとbの名称を覚えていますか?
・・・
aは比例定数、傾き、変化の割合などと呼ばれます。
bは切片です。
覚えてますか?
私は子どもの頃aは「傾き」と呼んでいた記憶があるので、この記事でも「傾き」と言うことにします。bは切片、そのままです。
↑
どうでしょう、思い出しましたか?
こういう関数グラフ、定規を使って頑張ってノートに書きませんでしたか?
実は、この中学数学の一次方程式が株式投資で活きるんです!!
私は、長期投資のリターンを想像する時、この一次方程式のグラフを頭に思い描きます。
各銘柄が私に訴えかけてくるんです。
↓こんな感じで。
(ジョンソン&ジョンソンの訴え)
私の切片は2.7で、傾きは6だよ~。どう買ってみない?
(コカ・コーラの訴え)
俺の切片は3.5で、傾きは4くらいかな~。どう投資しない?
(フェイスブックの訴え)
俺の切片はゼロだけど傾きは10もあるぞ。お買い得だろ?
(AT&Tの訴え)
俺の切片は6.3もあるんだぜ。あ、でも傾きは、、3くらいかな・・。
(マイクロソフトの訴え)
俺の切片は1.5さ。傾きは7くらいは期待してくれ!
、、てな感じです。
意味わかりますか?
私は、
a(傾き)=DPS成長率(増配率)
b(切片)=配当利回り
と見ています。
つまり、こういうことです。
(横軸:時間、縦軸:配当)
↑
これをいつも頭に描きながら投資判断しています。ちなみに、実際は配当は複利で成長することが期待されるので、一次関数よりも二次関数で考えるべきかもしれませんが、思考を単純化するため線形の一次関数で考えているまでです。
こうやって、切片(b)=配当利回りをスタート地点として、将来どれくらい増配していくかな~と思いを巡らせます。
今の配当利回りは調べればすぐにわかることですが、将来の増配率は未知数です。過去の増配実績、最近の業績、ビジネスの将来性などなど、答えはありませんが自分なりに考えてストーリーを思い描きます。「マイクロソフトなら平均して7%の増配率が望めるかな~」などと考えます。
a(傾き)が問題なんです。ここが未来の話なので、誰も正解はわからない。a(傾き)を予想し合っているのが株式マーケットとも言えます。株価はa(傾き)次第ですから。
この傾きをどれくらいで見込むべきか、自分なりに考えます。んで、上のグラフを想像します。
AT&Tとマイクロソフトで具体的に考えてみます。
AT&Tのマイクロソフトの傾き(a)と切片(b)は以下と見込むとします。
(AT&Tの訴え)
俺の切片は6.3(b)もあるんだぜ。あ、でも傾きは、、3(a)くらいかな・・。
(マイクロソフトの訴え)
俺の切片は1.5(b)さ。傾きは7(a)くらいは期待してくれ!
↑
両銘柄に対して、こんなイメージ図を描きます。
どっちの方が長期投資リターンが高いと思いますか?
このグラフを描くと台形が出来上がります。
(切片=配当利回り)を上底とした台形が見えますよね。
こんな感じの。
↑
この面積が超重要です。この面積があなたの累積投資リターンを示しています。
増配率(a)も大事だし、配当利回り(b)も大事。どちらも大きいに越したことはありません。配当利回りが高く、かつ増配率まで高い銘柄があればサイコーです。でも、現実的にそんな銘柄はありません。
AT&Tは配当利回りは6%以上もあって高いけど、将来の大きな増配は期待できません。最近の増配率は2%ちょいでインフレをカバーできる程度です。一方で、マイクロソフトは配当利回りは1.5%とS&P500より低いですが、業績絶好調で今後も大きな増配が期待できそうです。
AT&T、マイクロソフトどちらに投資するのが正解なのか答えはわかりません。
ただ、こうやって一次方程式でグラフを描くと段々と分かってくることがあります。
それは、投資期間が長期になればなるほど(b)切片=配当利回りよりも、(a)傾き=増配率の方が重要になってくるということです。時が経ってずっとグラフの右側に行くに連れて、最初のスタート地点が高いか低いかなんてちっぽけなことになっていきます。
最初のスタート地点が高いか低いか(=配当利回りが高いか低いか)よりも、いかに大きな傾きで増配していけるかの方が、台形の面積に与えるインパクトが大です。ましてや、現実の企業収益(配当)は一次関数的にではなく、二次関数的(複利)に上昇していくのです。
だから、過度に配当利回りにこだわり過ぎないことです。スタート地点で優位に立とうと思い過ぎないこと。それよりも、将来の増配率(EPS成長率と考えてもよい)を高く維持できるかどうかの方がよほど重要です。
いつもためになる記事をありがとうございます。
「始めは配当利回りが高いけど、増配率は低い」銘柄か、「始めは配当利回りが低いけど、増配率は高い」銘柄のどちらかを選ぶか、私はけっこう考えます。
最終的には、配当利回りの高いほうを選んじゃいますが。
しかし、ヒロさんの言うように、配当金と増配率の関係を数字と図で考えると、はっきりとイメージできていいですね。
私は数学は苦手でしたが、これなら分かりそうです笑。
ちなみにAT&T の傾きが7くらいに成長すれば、最高ですね。面積は最高に広くなりそう。タイムワーナー次第でどうにかならんかな、、、汗。
いいえ、そう言って頂けてよかったです。
子どもの頃を思い出しながら書いてみました。
切片とか懐かしすぎですw
AT&Tの傾きが7(マイクロソフト並み)になれば最高ですね!
タイムワーナーもAT&Tと変わらない程度のPERでしたし、なかなか厳しいとは思いますが。
でもタイムワーナーの業績は好調なので、7とは言わなくとも4くらいは目指し欲しいです。
てか、いくら配当利回り6%あるとは言え、さすがに今後の増配率がインフレ率と全く同じ程度ではちょっと物足りないですね。
そう言えば、タイムワーナーの買収について司法当局が上訴するそうでやや不安があります。
最近のAT&Tの株価はやや低すぎるように感じていますが、タイムワーナー買収の不透明感がまだ強いからだと思います。
数学は苦手ですが、個人投資家の皮算用程度なら指数と統計の初歩までで十分でしょうかね。
微積やプログラミングを習得すれば幅は広がるんでしょうけど、明確なリターン向上には繋げられない気がする
数学が苦手な人や投資に興味がない人にとっては、複利が指数関数の概念だということも
案外ピンと来ないもんだと思います。グラフで視覚化してもらえば感覚的にも一目瞭然なんだけど、
自分で考えたり定量的に検証したりする力を養わないと、与えられたエサに振り回されるダボハゼ投資家になっちゃいますね。
この記事の続きとして、「”高校”数学で考える長期投資で儲ける発想法」をちょっと考えて、積分を紹介しようかなと思いました。
積分=面積=長期投資リターンという発想を持っているためです。
ですが、記事を書いているうちに複雑になり過ぎてわかりずらい内容になったので、記事ドラフトはゴミ箱に捨てましたw。
数学でというか、イメージを持つことが大切かなと思っています。
そのイメージを持ってもらうために、今回は中学数学を題材にしてみました。
イメージというのは、株主の利益は企業の利益(配当)でしかないということについてです。
やっぱりどうしても、長期目線で株を保有していても株価=投資利益という意識は消えずらいところがあります。
「長期投資家の利益は企業の利益であり配当」というのは、このブログで一貫して訴え続けたメッセージの一つです。
今後も違うネタで同じ主張を繰り返すと思いますが、どうか飽きずによろしくお願いします!
コメントありがとうございました。
目先の配当利回りに惑わされてはいけないという論には大いに同意しますが
配当は連続ではなくて離散データなので一次関数の面積が累計投資リターンというのは
数学的正確さには欠けているような気がします…
あと私のような長期投資の立場としては複利を考慮しないという前提もちょっとどうかな…と
ご指摘ありがとうございます。
はい、おっしゃる通り配当はこんな線形データではありませんよね(特に景気循環株は)。
それは承知で敢えて単純化したモデルを紹介しました。
記事の趣旨は、とにかく株主の利益は企業が稼いだ利益・配当であり、それを最大化することが重要ということを伝えるためです。
こんな一次関数で投資リターンが測れるとは思ってなく、数学的な正確性はほとんど追求しておりません。
複利の件も、同じ理由で単純化のために線形にしております。
よろしくお願いします。
いつも楽しく読ませていただいております。
今回の記事のように
シンプルな概念でわかりやすく説明するのは
大変価値のあることだと思います。
とこらで増配率で個別銘柄を選びたい場合
おすすめのホームページとかありますか?
こんばんは。
いつもお世話になります。
まだまだ自分の文章力が拙いところがあるので、もっと分かりやすい説明できるように精進していきたいです。
最近は、文章だけでなくイラストやグラフ、図を載せるように心掛けています。
イメージで理解してもらえるのが理想です。
忙しい中、小難しい投資の文章をたくさん読みたい人は少ないと思うので。
増配率の件ですが、全銘柄ではありませんが主要銘柄は以下で確認できます。
http://www.dripinvesting.org/tools/tools.asp
英語ですみません。
U.S. Dividend Cahmpionsの下にあるExcel Spreadsheetです。
過去の増配率って結構情報ニーズありますかね。
米国株銘柄分析記事に追加するか検討します。
こんにちは。
最近、Hiroさんの記事を楽しく読まさせて頂いているものです。
インデックス投資が中心で、それらのブログ主さんの記事を読んでいた所、リンク等でHiroさんのブログに行きつきました。
会計の視点が面白くわかりやすいので最近ハマっています。
そしてこの記事ですが数学(・・・というか算数で)に挫折した小生にとっては、すんなり頭に入ってくる記事でした。お金だからなのか、自分が興味ある事だからなのかは分かりませんが、こういったお勉強(学校で習うもの)と社会のしくみ(株式や会計のしくみ)などを、分かりやすく咀嚼して説明して頂けると大変ありがたいです。
これからもぜひ数学や会計を分かりやすくお話し頂けましたら、ありがたいです。
こんばんは。
数字、利益に着目して長期株式投資をしようというメッセージが幣ブログの根底にあるので、頂いたコメントは大変嬉しく思います!
株式投資は難しように見えて、理論的な話は実際は超簡単です。特に長期投資では。
利益成長を続けて、投資期間累計の総利益が大きくなる銘柄を選べばよいだけです。
無論、その長期的な総利益が大きくなる銘柄を判別するのは難しいわけですが。。
視点を変えつつ、今後も数字や会計に関する記事は投稿する予定です。
ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。