大減配のシュルンベルジェ(SLB)やウェルズファーゴ(WFC)、半値に迫るくらい爆損中のエクソンモービル(XOM)やアルトリアグループ(MO)を保有している私が言うのも何ですが、長期投資のポートフォリオ作りは慎重に慎重にやった方がいいです。
人間は元来リスク回避的です。私たちはリスク回避、不安性の遺伝子を強く持っているからこそ、ここまで生き延びることができたと言えます。楽観的な遺伝子の大半は狩猟採集時代を乗り越えることができなかったと思われます。
豊かになった現代は楽観的でチャレンジングな態度で過ごしてもそんなに問題はありません。少なくとも飢え死にすることはない。むしろ積極的な方が人生楽しく過ごせます。死ぬこと以外はかすり傷なんだから、何でもチャレンジ、トライ&エラーが大事。
確かに、一度の人生だしアグレッシブに何でも試してみた方が面白いとは思います。が、こと長期投資については、脈々とご先祖様からあなたに受け継がれているであろう不安遺伝子を最大限発揮した方がいいと思います。
米国株投資を始めて4年半になりますが(このブログ歴と同じ)、長期投資は慎重で保守的な人が向いていると思います。やり過ぎじゃないか?ってくらい悲観シナリオを想定して、しっかりデータを確認する人が長期投資で成功するんだろうなって感じます。
長期投資を特別に慎重に取扱うべき理由は大きく二つあるかなと思います。
①トライ&エラー&チェックのサイクルが長過ぎる
②企業の業績はコントロール不可
①株式投資はトライ&エラー&チェックのサイクルが長過ぎる
人生の時間は有限なんだから、悩んでいる暇があったらさっさとやってみる。失敗したら、その要因を分析してまた再出発すればいい。そう思ってます。
ホリエモンは見切り発車が大事だとよく言っていますが、その発想は共感します。慎重に準備してから始めるんじゃなくって、完璧じゃなくてもいいからとりあえずやってみる。んで少しずつ軌道修正しながら前に進んでいく。
会計士試験の勉強はこのスタイルでやってました。講義の内容、テキストに書いていることを最初から100%理解しようなんて思わない。少し頭に入れたら、先ずは問題集をやってみる。
当然わからないことが多い。そこですぐに答えを見ます。答えに行き着くロジック(解説)を読んで、改めてテキストに書いてある会計理論を理解しようと努めてました。
これは抽象と具体の行き来を頻繁にやるということです。抽象(テキスト、講義)、問題集(具体)。抽象論をいきなり理解しようとせずに、先ずは具体的な問題を無理矢理やってみる。何度も同じ論点の会計問題を解いていく中で、その会計処理の背景にある理論が腑に落ちて理解できていきます。
逆に言うと、抽象論の理解をサボって、ただ漫然と問題集をやりまくっても意味はないです。
(長期)株式投資って、こういうトライ&エラー&チェック&再トライ・・・というプロセスを回せないです。全く回せないわけじゃないけど、1サイクルがあまりに長い。
大手銀行ウェルズファーゴ(WFC)株の売却を検討しています。減配したからというのもあるし、長期的なトータルリターンへの不安もあります。
今のところ売却する方向に傾きつつありますが、今ここでWFCを売却することが正しいかどうかはわからないです。私がWFCを買ったことは誤りだったのか、それとも正解だったのか、それは現時点ではわかりません。
じゃあいつになったらわかるのか?
それもわからない。10年間低迷してもその後の20年で復活して、30年トータルでは優秀な成績を残すかもしれません。
優良株でも割高な時に買ってしまえば10年くらいじゃ損益トントンになることもあります。20世紀末のコカ・コーラ(KO)やウォルマート(WMT)がその例です。
景気循環の山でシクリカル銘柄を買ったり、逆に景気循環の底でディフェンシブ株を買ったりしちゃうと、やっぱり10年くらいは低迷する可能性があります。
何を以って「自分の投資判断が誤りだった」と言えるのか。明確な判断ができません。恋愛だったら意中の女性に振られたら失敗だと言えます。勉強なら問題集が解けなかったら失敗と言えます。転職活動なら面接に落ちたら失敗とわかります。
じゃあ、長期投資の銘柄選びは何を以って失敗と言えるのでしょうか?
減配を起こしたら失敗でしょうか。買ってすぐに暴落したら失敗でしょうか。3年間のリターンがS&P500指数を下回ったら失敗でしょうか。
わからん。なぜわからないのかと言うと、(一般的な)投資の目標は長期的なトータルリターンを最大化することだからです。もっと言うとリスクに見合っているかという観点も大事ですが、とりあえずたくさんお金を稼ぐことが目標と言って良いでしょう。
長期っていうのはどれくらいでしょうか。人それぞれですが、最低でも10年、私は30年先は見ています。50年先はあまり見てないです。それくらいの時間軸です。
株式投資は短期的なエラーチェックができないです。失敗から学んで軌道修正を取りづらい。できないことはないけど(私は一生懸命軌道修正してるつもりです)、なかなか難しいです。自分が失敗しているかどうかがわからないですから。進むべき方向を本当に変えるべきか悩むんですね。今のままでもいいかもという思いがどこかにある。
②個人株主は企業の経営を一切コントロールできない
自分で経営しているパン屋の業績が芳しくなければ、考えて対策を打てます。新商品を出す、広告を出す、SNSを始める、店舗の外装をお洒落にするなど。
株式投資はそういうこと一切できないです。100%外的な投資であって、内的な経営要素がゼロです。所有と経営が分離しているのが現代の株式会社です。
原油価格が低迷する中、再生可能エネルギーにもっとリソースを割くべきとあなたが考えていたとしても、その意向は何らボードメンバーの意思決定に反映されません。株主はただ経営者を信じて株を持ち事業リスクを負うのみです。
インカムを求めつつのグロース株投資、インデックス投資
右見て、左見て、もう一度右見て、さらにもう一度左を見てから横断歩道を渡るくらいがちょうどいいのかもしれません。
慎重にポートフォリオを組むって具体的にどうすればいいのか?
私は他人に投資のアドバイスをできる立場だとは全く思ってませんが、これまでの経験を踏まえて少し書きます。5年前の米国株投資を始める直前の自分に今伝えたい言葉として。
先ず一つはグロース株をメインにした方がいいということです。グロース株投資と言うか、良い決算を出している企業を粛々と買っていくと言った方がいいかな。そういう銘柄は高値を更新して一見割高に見えがちだけど、それでも遠い将来の増益は往々にして株価に織り込まれていません。優良株は長期的には常に割安なことが多いです。もちろん、買い値は大切ですが。
もう一つはインデックス投資ですね。インデックス投資=保守的な投資とは別に思わないけど、自分の主観を排して機械的に複数銘柄に投資しているインデックスを買うのは安心感があります。
私はこの2つを大切にしていこうと最近改めて思っています。良い決算の企業を買う。別にアナリスト予想を上回ることだけが「良い決算」ってわけじゃないと思うけどね。これまでの実績と直近の業績、それから将来のストーリーですかねー。あとETFにも引き続きお世話になります。
それでいて、ある程度のインカムも求めます。なんと贅沢な投資方針。やっぱ配当は欲しいんで。相変わらずそこは変わらないです。
Hiroさんの書いていた「一見割高に見えがち」で
「株式投資で普通でない利益を得る」を思い出しました。
古典ですが、長期投資においては現在でも十分通用する内容です。
はい、しっかり本棚にありますよー。
こういう古典は読み終わっても売らずに定期的に目を通したいです。
時間を置いて読むと違った発見がよくあるので。