先日テレビ番組で、美人過ぎる騎手として藤田菜七子さんという方が出演されていました。その藤田さんが言っていたのですが、どんな有名騎手でもレース勝利で貰える収入は賞金の5%だけだそうです。80%は馬主さん、10%が調教師、残りが騎手5%、厩務員5%とのこと。

これは超一流ジョッキー武豊氏でも一緒です。どんな有名ジョッキーでも騎手の手元に入ってくるお金は賞金総額の5%だけです。

僕は大学生の頃に友達の影響でダビスタに熱中したことがあって、少しだけですが競馬の知識があります。当時はディープインパクトという圧倒的最強馬がいて世間を驚愕させていました。すぐに引退して種牡馬になっちゃいましたけど。種牡馬としても大活躍しています。

日本の競馬で最高の優勝賞金が出るGIレースは11月に開催されるジャパンカップで3億円です。ちなみに、2006年のジャパンカップで優勝したのはディープインパクトでした。第3コーナーから一気に駆け抜けて他の馬をごぼう抜きしていく姿には感動しました。

そのディープインパクトに騎乗していたのは武豊騎手だったのですが、武豊氏がジャパンカップで獲得した賞金は15百万円(3億円×5%)だったという計算になります。3億円のうち、2億4千万円(3億円×80%)は馬主さん(金子真人さん)のお財布に入ったと思われます。

この現実を見て馬主はボロ儲けだな~と思う方もいるかもしれませんが、すべての馬主さんがディープインパクトのような名馬を持てるわけではありません。

馬主は資本主義社会で言えば株主にあたります。馬主も株主も事業主体にリスク資本を提供している点で共通しています。どんな分野でも共通することですが、事業がうまくいった時に一番儲かるのはオーナーです。一見高みから眺めているだけで楽しているように見られがちのオーナーですが、損失が発生した時に経済的責任を取るという重大な責務・リスクを負っています。そのリスクの見合いとして、事業が生んだ利益の大半を懐に入れることができます。

馬主も株主もどちらも決して楽な仕事じゃありません。馬主は育てた馬(あるいは買った馬)が、レースで勝てる強い馬に成長してくれないと投資を回収できず損失だけが垂流れます。途中で怪我をしてしまうリスクもあります。

そういったリスクは株主も一緒ではあります。自分が投資した会社の業績が悪くなって減配ないし無配になってしまえば、株主は投資原価を回収できない可能性があります。

ただ株主は馬主より圧倒的に有利な点があります。それは保有に掛かるコストがゼロという点です。

サラブレッドのエサ代、育成費はかなり高いです。諸々で年間で600万円程度かかると言われます。個人が馬主になるには9000万円以上の資産があることを証明せねばならず、ある程度の富裕層でないと馬主にはなれません。サラブレッドの維持にお金が掛かるからです。馬は生き物ですから当然エサ代が必要なわけです。

一方で、株式はその保有にコストが掛かりません。個別株なら正真正銘ゼロです。ETFや投資信託でも最近は経費率が下がって年率0.1%前後しか掛かりません。株式は株価下落による含み損という会計上のコストは発生しますが、実際のキャッシュアウトを伴う費用はほぼ発生しません。なので「このまま株を持ち続けたいけど、資金繰り的に厳しい」という事態は起こり得ません。

最近、旅行代理店「てるみくらぶ」の経営破たん問題、振袖業「はれのひ」破産問題がお茶の間を賑わしていますが、これらビジネスの破たんは詰まるところ固定費の負担に耐えられなくなったということです。これはあらゆるビジネスに共通することです。経営が苦しくなるのは固定費負担が重くなってきた時です。

株式投資って「短期的に含み損になったとしても、長期では株価は右肩上がりだから保有し続けましょう」などとよく言われます。なんでこんな暢気なことを言えるのかと言えば、株式投資には一切の固定費が発生しないからです。固定費が発生しないから、本人に我慢する精神力さえあれば、利益が出るまで株をずっとホールドし続けることが可能です。レバレッジを掛けていない限り経済的に破綻するということがあり得ません。

これは何気に凄いことです。
固定費が1円も発生しないビジネスなんて他にあるでしょうか??

馬主は常に固定費との闘いです。上述しましたが、サラブレッド1頭平均で年間600万円も掛かります。デビューするのは2歳ですから、最初の2年間はコストだけが発生します。2歳でデビューしても3歳秋までに1勝もできなければ、そのまま引退することもよくあります。レースに勝利できないということはリターンはゼロということです。それでも、年間600万円という養育費は掛かり続けます。

もちろん、サラブレッドへの投資はこれだけリスクが高いから、当たった時のリターンはメチャクチャ大きいです。ジャパンカップの賞金が3億円と言いましたが、有馬記念も3億円です。日本ダービーが2億円で天皇賞と宝塚記念が1.5億円です。これらGIレースに優勝できるようなサラブレッドを育てることができれば、馬主は余裕で投資をペイできます。が、無論簡単なことではありません。

株式投資はサラリーマンでも安心して行える投資です。その理由の一つにエサ代が掛からないことが挙げられます。固定費が掛からないって素晴らしいです。ロバートキヨサキ氏は「あなたのポケットからお金を奪っていくもの」を「負債」と定義しましたが、株式には「負債」の要素がゼロです。

株式投資って、特に優良株のバイ&ホールドなんて短期的な利益はそう大きくありません。特に投資額の小さなうちはそうです。ただ、長期的に保有して配当も再投資していれば将来的には億単位の利益を得ることも夢ではありません。

ジャパンカップに優勝したら馬主の取り分は2.4億円ですが、普通のサラリーマンが株式投資で2.4億円稼ぐのは決して夢物語ではなく十分可能な範囲ですよ。ただ複利の力を借りる必要があって、どうしてもそこそこの時間が必要になりますが。

固定費(エサ代)がゼロでここまで大きなリターンを狙える株式投資って凄いと思いませんか!?
僕は今までも何度も言ってきましたが、長期的に株で資産運用する人としない人との経済格差はこれからグングン拡大していくと思います。同期より出世が早いとか遅いとか、んなことよりも株式で資産運用しているか否かの方が圧倒的に影響大です。特大です。超特大です。

固定費ゼロで出来るビジネス、それが株式投資です。株式投資というビジネスはあまりに美味し過ぎると思います。株式投資がんばって続けましょう!