ジョンソン&ジョンソン(JNJ)は米国では数少ないトリプルA格付を得ている企業の一つです。JNJの2017年9月末の自己資本比率は47%です。これは米国企業平均より少し高い程度です。自己資本比率だけを見れば、JNJがトリプルAを維持できるとは思えません。

JNJがトリプルAな理由、それは本業で莫大なキャッシュを生んでいるからです。負債をそれなりに持ってレバレッジを掛けてビジネスを展開しているJNJですが、その負債利息なんて痛くも痒くもないほど本業で儲けています。

負債利息と本業の収入との割合を示した指標に、インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)というものがあります。ICR=(営業CF+金融収益) / 支払利息です。ICRは一般的には10倍を超えれば超優秀だと言われますが、JNJのICRはなんと26倍です・・。同じトリプルA格付を保持しているマイクロソフトでさえ、ICRは18倍です。JNJがいかに高収益を上げているかが分かります。

 

 

財務格付は債権者にとっての価値を示しているものです。格付高いからと言って、株式投資家にとっても有望な投資対象とは限りません。しかし、米国企業で言えば財務格付が高い企業=投資対象しても有望だと言えるのかもしれません。なぜなら、米系の格付機関はキャッシュフロー創出力を重視して格付判断を行うからです。長期投資家にとってもっとも大切なことは、企業が長期的にキャッシュを生み出し続けることができるか否かです。割安かどうかは二の次です。「素晴らしい企業の株をほどほどの値段で買う」ことが大事です。

米国株投資では財務格付も意外に参考になるかもしれませんね。私が知る限りでは、2018年1月現在トリプルA格付を維持している米国企業はジョンソン&ジョンソンとマイクロソフトです。この2社とも、文句なしの長期投資候補です。

米国銘柄分析コーナーでは、各企業のS&P格付情報も載せていますのでご参考ください。