「ベストセラーはすべて過去の作品の焼き増しである」とホリエモンは書籍で言ってますが、あながち間違いではないと思います。小説はともかく、自己啓発系やお金系のベストセラーは過去にも似たような本が多くある気がします。

ただそれは悪いことではなく、むしろ普通だと思います。一日にどれだけの記事がネット上に生まれているのでしょうか。これだけ情報が溢れる時代ですから、過去に誰も思い付いてないアイデアなんてそうそう生まれるものではありません。悪気はなく無意識的に、あらゆる文字コンテンツは過去の焼き増しになるもんです。私のブログ記事も含め。

結局、文字コンテンツというのは抽象と具体のコントロールに尽きると思います。伝えたいメッセージをどれくらい抽象化(具体化)するのか、抽象化するとしたらどんな言葉を選ぶのか、具体化するならどんなストーリーにするのか。これは発信者によって千差万別です。なのでメッセージ自体が過去の焼き増しだったとしても、この世に二つと同じコンテンツは生まれません(丸パクリしなければ)。

自分が書く文章の抽象度と具体度をどういう按配にするか。正解はありません。80:20でも100:0でも目的に応じて使い分ければいいだけです。抽象度100%とは学校のテキストみたいなイメージです。具体度100%とは小説のようなストーリーです。

文字コンテンツが動画コンテンツに勝るところは抽象化の部分だと思います。動画、映像はストーリーを面白く提供するのには向いていますが、物事を抽象化するにはちょっと不向きです。これからは動画の時代だと言われることもありますが、文字と動画の共存は可能だと思います。

ただし、うまく抽象化してわかりやすくかつ楽しく読み手に伝えるのは簡単なことではないです。発信者自信が腑に落ちるまでしっかり理解している必要もあります。

抽象化が上手で読んでて楽しいなあと思う作家は、たとえば橘玲さんです。橘さんは社会を愛情空間、友情空間、貨幣空間の3つに区分するという視点を書籍で紹介していました。

他には「資本」を金融資本、人的資本、社会資本の3つに分けるという考え方も書籍で紹介されていて、これも非常に示唆に富む切り口だと感じました。 何も難しいことは言ってません。何気なく過ごしている社会をシンプルにわかりやすく表現できる橘さんはすごいなあと尊敬します。

抽象化が上手な文章って読んでて楽しくないですか。私は「抽象度:具体度=70:30」くらいの文章が好きです。ほどよく具体例を織り交ぜつつ、最後は要するにどういうことなのかシンプルな言葉で解説してくれるような文章。

自分もそんな文章を書けるようになれればいいなあと思いますが、まだまだ修行が足りません。でも文章を書くのは楽しいですね。思っていることを言語化するのってかなり大変です。脳みそに汗かく感じがします。それが楽しい。スポーツみたいな爽快感を感じる時もあります。