最近NewsPicksでトヨタ自動車の特集が組まれていて面白かったです。

その中で、トヨタの工場の「カイゼン」が紹介されていました。テープの貼り方を工夫して1台あたり0.3円のコスト削減とか、そんな超細かいところまで突き詰めてやっているそうです。

トヨタの年間販売台数って1000万台くらいだから、0.3円/台のコスト改善は年間で約300万円の原価低減になります。正直言って、売上高30兆円の巨大企業にとって300万円なんてクズみたいなもんでしょう。

でも、こういう取り組みを地道に継続することがトヨタの文化であり強みなのでしょう。現場力ってやつですかね。2020年3月期は主要自動車メーカーの中でトヨタは唯一の黒字決算でした。

こういうのを読んで「へー、すげえ」ってなるわけですが、実際にどれくらい原価を改善できているのか気になりませんか? 私はこういうのめちゃ気になる質です。公開資料で数字で確認できるものはなるべく確認する。現代はネットで簡単に検索できますし。

ってことで、トヨタ自動車の2009年3月期(リーマンショックの年)から直近2020年3月期までの粗利率を見てみました。粗利=売上高-原価です。原価削減は粗利率に表れます。

(Morningstar トヨタ自動車ADR財務データより)

どうでしょうか。確かに粗利率は改善してきていますね。2009年は10%以下だったのが、今は20%弱もあります。粗利率が2倍にもなれば利益は大幅に増えますね。損益分岐点も下がって、今回のコロナ禍のような一時的なショックにも強くなります。

しかし、FY14以降はさほど変わっていないとも見れます。大きな原価低減効果のある施策は2010年代前半で完了済みなのかもしれません。継続的な細かいカイゼンも大切とは言え、少なくともPLからはその効果は見て取れません。

「なんだここ5年はカイゼンの効果ないやん!」なんて批判するつもりは一切なく(そんなこと言う資格ないし)、ただファクトを確認したかっただけです。

経理屋だからかもしれませんが、数字で確認しないと気が済まないところがあります。

私たち株式投資家にとって、パートナーが浪費家かどうか見極めるのって凄く大切だと思いませんか。いくら美人と付き合えてウキウキでも、散財する人だったら結局うまくいかないと思うし、株で蓄財する人生戦略も破壊されかねません。

お金の価値観はどうなのか質問するよりも、相手の貯金額を確認した方が手っ取り早いです。たとえば社会人10年やってて貯金が100万円もなかったら、ほぼ間違いなく浪費家でしょう。まあ、ちょっとデリケートな質問なので、付き合い立ては聞きづらいかもですが。

なるべく数字でファクトを確認することを心掛けています。特にビジネスの場合は、数字に繋がらないなら極論やる意味ないとすら言えますから。

努力、プロセスが大事という見方もあるでしょうが、少なくとも株主、経営者からしたら利益に繋がらない行為は無駄です。定量的な効果をモニタリングするのは経理の役割かなと思っています。