いつも楽しみにしているコラムがあります。
山崎元さんの「ホンネの投資教室」というコラムです。

更新は不定期なので、たまにサイトを覗いて更新されていないか確認しています。

山崎さんは「超簡単 お金の運用術」や「ほったらかし投資術」などの多数の書籍あり、歯に衣着せぬ物言いで非常に勉強させて頂いた方です。
楽天証券に所属しておいて、そんなこと言って大丈夫なの?とこちらが心配になることもあります(笑)。

 為替はゼロサム

その山崎さんの最近の第263回目の投稿「読書ガイド「企業年金資産運用の基礎(第四版)」(企業年金連合会)」という記事にこのような記載があります。

 

外貨建資産のリターンとリスクについて「外貨建資産の場合には、為替変動リスクが加わってきます。そうすると、リスクが大きくなるのだから、リターンとリスクのトレードオフの関係から言って、外貨建資産は円建て資産に比べて概ね長期的には高いリターンが期待出来るかというと必ずしもそうではありません」(p23)とあるのは、大変適切な認識であり、注意喚起だ。この点をはっきり書いていることについては、大いに評価したい。

要するに為替リスクをとっても、その分リターンが増えるわけではないということです。

これは為替取引がゼロサムの世界だからです。
ゼロサムとは誰かが得をしたらその分損をしている人が必ずいるということです。

ゴールドマンサックスの為替トレーダーが1億円儲けたら、その裏には1億円損をした多数の素人個人投資家がいるということです。

一方で、株式投資はプラスサムです。
株式会社に出資して、その会社が利益を上げて配当を行う、また株価が上昇するという利益はすべての株主にその出資割合に応じて配分されるもので、皆が得をします。

資本主義社会が継続し、世界の株式会社が総体として資本コストを上回るリターンを上げ続ける限り、世界の株主は皆長期的には利益を得て豊かになります。

 山崎さん推奨ポートフォリオ

日本の株式時価総額は世界でみると8%ほどです。
なので、純粋に世界の株式市場の時価総額コピーで国際分散投資をしようとすると、100万円のうち日本株の割合は多くて10万円ほどが妥当ということになります。

ところが、山崎さんが書籍で紹介されているご自身の推奨ポートフォリオは
日本株式:海外先進国株式=4:6 ないし 5:5
なのです。

日本:海外2

これは、将来日本円で消費することが見込まれる日本人なのであれば、過剰に為替リスクを取りに行くのは適切ではなく、日本株式を半分ほど組み込んでも妥当という考えです。

日本ではこれから人口減少・少子高齢化が止まる気配はなく、移民受入問題もそんなに簡単に結論が出る政治問題とは思えません。
今後日本の経済が大きく成長する期待は薄いですが、それと日本株式のパフォーマンスは別の話であると主張されています。

それはその通りだと私も思います。
株式投資のパフォーマンスは企業利益の成長自体ではなく、投資家の成長期待と実際の成長実績とのギャップに左右されるものだからです。

 それでも資産の半分を日本株は無理

為替取引はゼロサムのギャンブルの世界だから、為替リスクをとっても追加のリターンは得られないということは理解しています。

それはつまり、日本よりも高成長な海外の株式市場に投資しても、必ずしも日本株式よりも期待リターンが高いわけではないということです。

それでも、私は自分のポートフォリオの中の日本株式の割合を全体の50%まで増やすことはできないです。
多くて20%というところです。
ちなみに現在の私のポートフォリオの日本株式割合は約10%です。
つまり、資産の9割近くが外国株式であり為替リスクがある状態です。

割合4

この様なポートフォリオにしている明確な理由は説明できません、何となく直感です(笑)。

山崎さんが仰っているように、為替リスクは無用なリスクです。
なるべくなら避けたいリスクです。追加リターンを生まないのですから。

でも日本株式は世界のごく一部でしかないという事実の方を私は重要視しています。

また、自分の給料は円建てで貰い続けるのだから、今現在自分が保有している金融資産の大半は為替リスクに晒しても問題ないだろうという考えも持っています。

為替リスクを抑えるために日本株式の割合を増やすのか、世界の株式時価総額基準に従って日本株式の割合を10%ほどにするか、どちらがより高いリターンを生むか誰にもわかりません。

恐らく純粋数理的にリスク対リターンを計測すると、山崎さん推奨の日本株50%戦略の方が優勢なのだと思います。

実際の結果は将来蓋を開けてみないとわかりませんね。

当面は今の資産運用方針を継続して、ガンガン為替リスクを取っていくつもりです。