「所有」は維持管理が大変

貧乏学生でしたが実は車を持ってました。トヨタのコロナプレミオという古いセダンです。父親の友人がタダで譲ってくれました。車で通勤するのちょっと憧れてたし運転そのものが好きというのもあって、無料なら是非!ってことでもらいました。

が、思いのほかお金がかかって学生の身分にはちと大変でした。ただでさえ奨学金でギリギリ学費を払っていたくらいでしたから。特に車検と税金が予想外の出費でしんどかったですね。ガソリン代は想定内とは言え、お金が出ていくのに変わりはありません。レギュラー満タンとかではなく1000円単位でチビチビ入れてたな。。結局、大学4年の時に手放しました。以降、車は一度も持ってません。

物を持つと維持管理コストが掛かります。車は保有しているだけで税金まで掛かりますね。公道整備に充当するという徴税目的は理解できますが、道路を利用するのは車を持っている人だけじゃないという気もします。

車など高額な物は頻繁に購入しないものですが、そういうものこそ思わぬ維持コストが発生して家計を圧迫しがちです。車について言えば、税金や車検代なんて普通に想定できることで、学生時代の自分が世間知らずだったとか言いようがないですけどね。ただ、一般論として売り手は維持コストが掛かるという現実は隠したがるものなので、自己防衛する必要はあります。

親戚のおじちゃんがサウナ大好きで、自宅にサウナを設置したそうです。僕もサウナ好きなので気持ちはわかります。スーパー銭湯に行かなくてもサウナに入れるなんて最高です。でも結局、自宅サウナは思ったほど使わかったそうです。というのもメンテが大変だったからです。あれだけ汗が垂れ流れますから、掃除だけでも一苦労なのは容易に想像できます。

車を買う人はたくさんいるからちょっとググる努力をすれば、初めて買う人でも維持コストがどれくらいかかるかわかります。でも、自宅にサウナを作る人は滅多にいないからググってもあまり情報は出てこない気がします。

レンタルはパッと見では購入よりも割高に見えることが多いですが、保有することに伴う時間的経済的コストを考慮すると、意外にそうでもないかもしれません。ケースバイケースではありますけどね。たまにしか使わないものは所有よりも利用の方がお得なことが多いんじゃないかと思います。

テクノロジーの進歩で資産稼働率が上がり、「利用」のコストは安くなっていく

とは言え、レンタルするコストも馬鹿にはできません。

株式は誰かが保有しなくては株式会社制は維持できませんが、それは物も同じで誰かが所有しなくてはなりません。所有リスクを消すことはできません。所有リスクが事業者側に転嫁されている以上、レンタルコストはそれを織り込んで高く設定されていると思うべきです。

ただ所有リスクをゼロにすることはできなくても、分散して低減することはできます。そうやって社会全体のコストを下げることが時代の流れだと感じます。

分散というか、うまく資産の稼働率を上げる仕組みを作ると言った方が分かりやすいですかね。個人所有の自動車の平均稼働率は約3%らしいです。しかし、レンタカー会社の稼働率はもっと高いでしょう。どれくらいでしょうか。推測ですが20%くらいはあるんじゃないでしょうか。だからレンタカーを借りるのは安くはないけど、稼働率が高い分は割安になっています。

消費者として考えると、資産の所有リスクを分散して稼働率が高まると予想できる分野では所有より利用を考えた方がいいです。その筆頭が自動車です。今はまだ所有する合理性もかなりありますが(特に地方)、あと20年も経てばもはやカーシェアリングのみで、車を持つという発想すら消えている可能性もあると思います。

一方で住宅は今後も賃貸と購入がそれぞれ生き残ると思います。なぜなら、個人で所有してもかなり稼働率が高いからです。仕事から帰った後と夜寝る時に自宅にいる時点で少なくとも稼働率は50%を超えます。住宅は車と違って、所有リスクを分散する余地が相対的に少ないです。エアビーアンドビーよりウーバーの方が将来有望に感じます。ウーバーはまだ黒字化していないので、あくまで長期目線ですが。少なくとも狙っている市場としてはウーバーの方が魅力的です。

所有から利用へ、とよく言われますよね。それは価値観の変遷というより、経済的な理由からです。AIの発達によって社会の資産稼働率はますます上がっていくでしょう。それはコスト減を意味します。つまり、モノを一時的に借りる費用が下がっていくということです。それが社会の流れです。それに逆行して所有に価値を見出すのは個人の自由ですが、経済的には不利になる可能性が高いです。