メディアでは、豊かな老後を送るためには60歳で5,000万円必要、いや1億円必要だと様々な記事で世間を煽りますが、そんなの人それぞれ生活パターンや価値観が違うので、一概には言えないはずです。ネットメディアはクリックしてもらってなんぼなので、何かと人々を煽るネタになる記事を書いてしまうのは仕方ないかもしれませんが。

私は資産運用にあたって、このような目標到達額というものを設定していません。今ある金融資産を自分のリスク許容度範囲内で最大リターンを得られるように、なるべく経済合理的に運用するのみです。その結果いくらになるかはわかりません。積み上がったお金の範囲内で楽しく有効に使えばいいや、くらいにしか考えていません。将来が老後が不安だから資産運用を行っているというわけでなく、働いて貯まったお金をそのままにしておくのはもったいないし経済合理的でないから、必然的に株式投資をしているといった感覚です。また資本主義社会である以上、資本家として社会に参加したほうが経済的に得であろうという思いもあります。

しかし、それはあくまで私の個人の考えであって、資産運用をしている人の中には目標到達額を設定している人も多くいらっしゃると思います。また、今まで読んできた資産運用の良書にも「投資の目的」をしっかり持ちましょうと書かれてあることが多いので、私の考えはどちらかというとマイノリティなのだと思います。

大多数の資産運用目標額をお持ちの方に便利なサイトがあるのでご紹介します。

モーニングスターの金融電卓というサイトです。

こちらをクリックしてください。

以下の4つを入力すると必要運用利回りが算出されます。

・現時点で投資できる資金

・毎月の積立額

・運用年数

・目標資産金額

例えば、現在100万円の投資資金があり、これから毎月5万円積立投資をして60歳で3,000万円を目指す30歳のAさんがいるとしましょう。金融電卓で計算するとこの必要利回りは2.8%と計算されます。

金融電卓

 

ということは、Aさんは2.8%の利回りでいいので、全額をリスクの高い株式で運用せずとも半分くらいは債券投資を織り交ぜて、目標額に到達できることがわかります。

株式の期待リターンの名目値はインフレ率を加味する必要があるので何とも言い難いですが、とりあえず保守的に5%から6%を見込んで計算結果を見るといいと思います。あくまでも自分の運用予定が現実的なのかをざっくり計算するために使用するのがいいかと思います。あくまでも「期待」リターンなので。将来のことはわかりません。

目標到達のための必要運用利回りが7%以上と算出された場合、それは全額株式で長期運用したとしても購買力ベースでは到達できない可能性があると思いましょう。7%ならまだましですが10%以上と計算された場合かなり厳しいでしょう。

例えば、現在100万円の投資資金があり、これから毎月5万円積立投資をして60歳で1億円を目指す30歳のBさんがいるとしましょう。金融電卓で計算するとこの必要利回りは8.8%と計算されます。

金融電卓2

これは、無理ではないかもしれませんがかなり厳しい目標です。

今の自分の資産運用目標が現実的なのか確かめる便利なツールだと思います。