PERとは株価の割高割安を測る上でもっとも基本的かつ重要な指標です。株価がEPS(一株当たり利益)の何倍で取引されているかを示したもの。その逆数を益回りと呼びます。

たとえば、EPSが10円で株価が200円ならPER20倍(200 / 10)となります。益回りは5%(10 / 200)です。200円で買って利益10円だから利回りは5%ですね。益回りの方が感覚的で分かりやすいと思いませんか?

さて、最近は低金利もあって株価は過去平均より高い時期が長く続いており、S&P500指数のPERは20倍程度はあります。グロース株のPERは20倍より高いことが大半で(てか高PER株≒グロース株という認識が一般的か)、バリュー株のPERは10倍台のことが多いです。

PERが10倍か20倍か、この差は大きいです。PER10倍ということは益回り10%、20倍なら5%です。5%も利回りが違うわけですから無視はできません。もちろん、いくら低PERでもクソ株を掴んでしまっては元も子もないですが、利回り5%が追加でオンされるのは魅力的です。これだからバリュー株ばかりに目が行ってしまうのですよ、私は。。

一方でPER20倍と30倍の差はどうでしょうか。同じ10倍の差ですが、その利回り格差はさほど大きくはありません。PER20倍は益回りで言うと5%でしたね。ではPER30倍の益回りはと言うと1÷30=3.3%です。その差は1.7%しかありません。

「しか」と言ってよいかわかりませんが、PER10倍と20倍よりは利回り格差は小さいです。

同じPER10倍分の差ですが、その意味は同じではありません。PERの倍数が小さいほど、1倍の差がもたらす影響は大きいです。逆にPERの倍数が大きくなると1倍の影響は相対的に小さくなります。

PER30倍、50倍という数字を見ると、前者はちょっと割高、後者はめちゃ割高に見えるかもしれません。しかし、益回りで言うと前者は3.3%で後者は2.0%です。その差は1.3%。これを大きいと見るか小さいと見るかは投資家それぞれの判断ですが、PERで見るほどバリュエーションに差はないと思いませんか。

PERで見るとアマゾンなどのハイグロース株って凄く割高に見えることがあります。しかし、益回りで考えるとそうでもないと冷静になれます。

PERは大切な指標なのですが、なるべく益回りに置き換えて考えた方が見た目の数字に惑わされず、客観的に株価の高低を判断することができると思います。

PERより益回り。勝手な持論ですが。

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