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【電力・ガス】公益セクターはポートフォリオの調整役、名脇役。

      2018/09/20

公益株は儲からない。なぜなら、リスクが低いから。

いきなりちょっと悲観的なことを言いますが、電力・ガス等の公益セクター銘柄への投資は、そんなに儲からないと僕は思っています。短期だけでなく長期でも、それほど高いリターンは望めないと見ています。公益企業がS&P500を超えるのはかなり難しいだろうな~と思っています。

ジェレミー・シーゲル氏の『株式投資の未来』によれば、1957年~2003年のセクター別のパフォーマンスは以下の通りでした(一番下にS&P500平均を載せました)。

セクター トータルリターン(年率)
ヘルスケア 14.2%
生活必需品 13.3%
情報技術 11.4%
エネルギー 11.3%
一般消費財 11.1%
金融 10.6%
電気通信 9.6%
公益事業 9.5%
素材 8.2%
S&P500平均 10.9%


ご覧の通り、公益事業のパフォーマンスは下から2番目でS&P500平均より悪かったです。

この公益事業のリターンの低さは20世紀後半だけに生じた偶然ではなく、時代普遍的なことだと思います。21世紀も公益事業への投資リターンはS&P500を超えないと思います。

なぜか?

それは、電力会社やガス会社の収益は規制で保証されているからです。

電気・ガスは生活のインフラであり、1日でも途絶えると生活が破たんします。急に電力会社が「儲けがないから事業撤退しますわ~」と言って、去って行ったら住民は大混乱です。コーラがないなら今日はペプシ買おう、と言うわけにはいきません。

1990年から米国では電力の自由化が推進されてきていますが、そんなにうまく進んでいないのが実情です。2000年の夏には「カリフォルニア電力危機」と後に呼ばれることになる事件が発生しました。設備投資コストを嫌ったカリフォルニア州の発電所が、州全土に電力を供給できなくなり、意図的に一時停電せざるを得ない状況となりました。計画停電ですね、いわゆる。

競争が自由化されて電力料金が安くなることは、確かに消費者にとってメリットです。ですが、価格の下落は供給量を減らすインセンティブを事業者に与えてしまいます。それは「神の見えざる手」として受け入れるべきことかもしれませんが、電力やガスは生活の基礎基盤のため、ほんの一瞬でも供給量が需要量を下回ることがあってはなりません。「猛暑のためガリガリ君は売り切れです、ごめんね~。」って言うのとは、わけが違います。

なので、電力などの公益事業を完全自由化にすることは今後も難しいと思います。消費者への販売価格は、「原価積み上げ方式」、つまり原価に一定のマージンを乗せた価格で決定されることになります。原価100円なら売値は130円。燃料価格上昇で原価が150円に上がったら、売値は195円に増やせる。逆に、技術進歩で原価が50円に下がったら、それに応じて売値も65円まで下げることになります。

このように、公益事業は良くも悪くも安定ビジネスとなります。

州によって多少は価格設定の柔軟性が許されるかもしれませんが、基本は「原価積み上げ方式」が続くと推測します。

自由化後の環境で、公益事業会社のパフォーマンスがどう変わるか見極めるには、もう少し時間がかかる。

『株式投資の未来』より

『株式投資の未来』が発刊されて10年以上経過しますが、自由化後の環境は残念ながらあまり変わってません。

このように、良くも悪くも収益が安定するということは、投資家の公益株に対するリスク認識を引き下げます。

ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンという言葉がありますよね。期待リターンはリスクの大小によって変わります。

公益事業はリスクが小さいので(赤字になるリスクがほぼない)、投資家は安心して株を持てます。その安心感は買い注文を集め、結果として株価は割高となります。割高と言うとちょっと語弊があるのですが、低いリスクに見合った高い株価に落ち着くということです。

ざっくり言えば、公益セクター銘柄は株式の中では「ローリスク・ローリターン」というわけです。

 

公益株はポートフォリオのリスクを調整したい時に凄く便利。
債券を考える前に、公益株を考えてみて欲しい。

公益銘柄をディスるためにこの記事を書いてるわけではありません。

むしろ、公益株ってとても便利な存在だと思っているくらいです。何て言うか、、ポートフォリオの調整役って感じです。サッカーで言えばボランチ、野球で言えばキャッチャーみたいな存在かな。俳優で言うと香川照之さんみたいな??

公益セクターへの投資で高いリターンは無理だろうと言いました。でも、それでいいじゃないですか。だって、その分リスクは小さいんですから。

どこまでリスクテイクできるかは投資家によって異なります。正解はありません。貯金の額、既婚or独身、子どもの有無、親の財産、職業、性格などによって様々です。

「株式100%がもっとも期待リターンが高いから、株式100%にすべきだ!」という主張は、ある意味で当然過ぎて、何も言えね~って思います。

確かに株式100%は期待リターンが高いですが、その分リスクも高いですから。ハイボラティリティを受け入れる覚悟がない人に、株式100%を推奨すべきではないでしょう。

リスクをうまく調整することが、長くマーケットに居続ける上で大切です。

リスクを調整する時に便利なのが債券です。債券価格の変動は株価に比べれば遥かにマイルドですから、安心してホールドできます。それでいて預金以上のリターンを得られます。現在の米国債(10年物)であれば、約3%の利回りがあります。

なので、リスクを取りたくない資金を米国債ないし優良社債に投資するのは合理的です。ちなみに、債券に投資する時はETFがオススメです。債券は株式以上に分散投資が必須です。

リスクを抑える上で債券はオススメなんですが、こういう潜在需要もあると思うんですよ。

「全額株式はちょっと怖いから嫌なんだけど、だからって債券はリターンが低すぎて嫌だなー。」

こういうワガママな要望もあると思うんですよw。

こういう時に公益株ってめっちゃ使えるじゃん!って思います。

(一般的な)株式の損益ボラティリティは回避したい、でも債券の確定利息は嫌だ。デットよりエクイティであることに拘りたい。
→そんな時は公益株がオススメです。

公益株をポートフォリオに組み込むことで、まあまあリスクを抑えつつ、期待リターンもそれほど下げなくて済みます。

「株式の他に債券を加えて、分散投資しようと思いますがどう思いますか?」というご質問を、コメントでもメールでもよく頂きます。全然OKだと思います。リスク許容度は人それぞれですから、自分が安心して運用を続けれる水準まで株式の比率を下げて、残りを債券にしておくのは合理的です。マーケットに居続けることが大切です。

以前なら金利が低過ぎたので、リスクを取らない資金は現預金でも十分でしたが、最近は米国では徐々に金利が上がってきました。10年債利回りは3%を超えましたね。現金のまま放置するコストが高まっています。余剰資金のうち、リスクを取りたくない資金を米国債にしておくのは問題ないと思います。

ただ、もう一つ選択肢があることを知っておくだけで、ポートフォリオ組み立ての柔軟性が上がります。

それが公益株です。公益セクター銘柄へ投資することで、債券以上のリターンが期待できます。リスクが低い公益株とは言えど、あくまでエクイティ(株式)であって、契約で利息が決まっている債券とは本質的に異なります。公益株はインフレにも負けません。債券はインフレに負けます。

債券はインフレに負けるので、投資期間が長期になればなるほど、債券は避けた方が本当は望ましいです。なので、長期投資のポートフォリオでリスクをちょこっと抑えたい時は、債券よりも公益株の方がオススメです。公益株は配当利回りが高いので、インカムは十分確保できます。

ただ、公益株はあくまでも株式ですから、債券よりもボラティリティは遥かに高いです。なので、結局はどこまでリスクをテイクするか、あなたの判断次第です。「公益株にするくらいじゃリスクは軽減できないな~」と判断すれば、その時は債券を買えばOKです。

言いたいことは、「リスクを抑える手段として債券以外にも公益株という選択肢があるよ!」ってことです。公益株という便利な存在を無視するのはもったいないです。

公益株に投資するETFとしては、ステートストリートのXLUやバンガードのVPUがあります。個別株としては、ネクステラエナジー(NEE)やデュークエナジー(DUK)、サザン(SO)、ナショナルグリッド(NGG)などがあります。

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