読者さんから「バークシャーが円建て社債で4,300億円を調達した」という情報を教えて頂きました。ありがとうございます。円建てじゃないですが、最近アップルやコカ・コーラ、モンデリーズ・インターナショナル、JPモルガンチェースも数十億ドル単位の起債を行いました。投資適格企業の社債発行が相次いでいます。M&Aや配当資金不足など特段の資金需要がない企業が積極的に借入を実施しています。
ブルームバーグによると高格付け債の平均利回りは2.77%で3年ぶりの低水準とのこと。低コストで社債を発行できるのは国債利回りが低下しているからです。米国債10年の利回りは1.5%台です。
低金利環境を利用して先んじて資金調達をしている企業が増えていると思われます。長期間現金のまま保有しておくわけにはいかないので、自社株買いに使われることが多いです。
真実はわかりませんが、著名なファンドマネージャー等によると現在の低金利は長寿化に伴う貯蓄増が影響しているらしいです。みんなが将来に備えて消費を控えて貯金をすることで、安全資産である債券価格が上昇して利回りが低下しているという論理です。まああり得そうなストーリーです。
日本の預金金利は実質ゼロです。世界にはマイナス利回りの債券が15兆ドル以上あります。老後資金を確保したい多くの国民の不安心理が低金利を生み出しているのかもしれません。そして、その不安心理を利用して、、いるつもりはないでしょうが、結果としては利用して企業が(株主が)低コストで資本を調達している。
調達した資金で相対的に割安(高利回り)な自社株を買い戻す。株価が上昇して資本家の資産が増える。低利で預金をしている非資本家は安心と引き替えに雀の涙の利息収入しか得られない。
預金者から資本家(株主)への富の移転が起こっているように思えてなりません。合法的収奪とでも言いたいほどです。資本家と非資本家の格差はますます広がるでしょう。でもしょうがない。マイナス利回りを甘受してでも安全資産を持つと各個人が判断しているわけですから。大人ならどうお金を使うかは本人の自由です。無理矢理株を買わせるわけにはいきません。
私は短期的なボラティリティが高まろうとも、優良企業の株を買い続けます。それが自分にとって得だと確信しているからです。リスク許容度は人それぞれ。一定の無リスク資産を持つことも大切ですが、今はある程度リスク資産に目を向けないとしんどい時期だと思います。
最低限の金融リテラシーを身に着けることが求められます。「株は怖い、株はギャンブルだ」と食わず嫌いするには、あまりにリスク資産と無リスク資産の利回り格差が大きいです。株を買うことが絶対に正しいと言うつもりはありませんが、ちょっとした知識の有無が生涯で億円レベルの格差を生み出すことがあるのも事実です。
知識への投資は常に最高の利息を生み出す
ベンジャミン・フランクリン
hiroさん、おはようございます。
わかりやすい記事をありがとうございます。
預金者から資本家への富の移転、本当にそうですよね。
この真実に気付いている人がごく少数な気がします。
郵便局や銀行で待っていると、定期預金の運用の相談の声がよく聞こえてきます。ご高齢の方が局員とこっちの定期は0.01%、こっちは0.02%とか、ほとんど誤差みたいな話をしてます。
一方で、知り合いの60台くらいの女性はN證券にぼったくり投信を乗り換えさせられ、損をさせられてます。最初、Jリートの分配型投信を持ってたが、無理やり解約させられ(証券会社が金融庁に、タコ足配当投信の営業姿勢を怒られ、あわててお客の解約に走ったみたいです。そのまま持ってれば、今Jリート快調なのでよかったのに)、アクティブ株ファンドに乗り換えさせられ、また今度、米国のハイイールド債券投信に乗りかえを薦められてます。偶然そういう話題になり、相談されたので、手数料がバカ高くリスクも高いぼったくり投信なのでやめたほうがいい、その営業と縁を切ったほうがよいと言ったら「神」と言われました。
一方、若者は、私らの時代みたいに(60です)給料が伸びないので、節約志向は強そうですが、アメリカ株の積立なんかに気付く人はあまりいないようです。格差が広がる中、ブルジョワジーに成り上がる最も合理的な方法なのに。
20代の息子や娘のS&Pインデックス投信の積立、私が勝手にやってます。親子なので子供たちは信用してくれてますが、やってる人は周りにいないようです。
金融リテラシーの教育、本当に大切だと思います。でも、株はバクチ(確かに、FXや個別株のデイトレードはバクチですが)と信じている人が大半の中で普及は難しいでしょうし、もし、普及浸透されると困る人がいっぱいでてきそうです(N証券の営業とか)。
これからも、記事楽しみにしています。
おっきーさん
こんばんは。
対面の証券会社への相談では優良商品を紹介してもらるのは難しいですね。
金融は商品が目に見えず難しい説明をされると素人は妙に納得してしまうところがあるのではと思います。
あとは教育ですね。
まともな利回りはどの程度なのか、世の中楽してお金を稼げることはない、という最低限の知識があれば自己防衛できます。
S&P500の積み立てを知らない人が多いのも無理ありません。
資本市場に近い会計士(監査方人)という立場にいましたが、そこでさえ株式投資をやっている人はごく僅かでしたから。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。