最近は若い人の間で株式投資、特に積立投資が身近になっていると聞きます。確かに、私のチームの新人の女の子もつみたてNISAで投資をやってると言ってました。

給与所得の伸びが期待できなさそうという現実認識に加えて、NISAやiDeCo等の減税策、YouTubeなどで良心的で分かりやすい情報発信が増えていることが若い人を投資に向かわせているのかなと思います。

いいことですね。無理ない範囲でリスク資産を持つことは、将来の豊かな家計財政に貢献してくれます。投資に頼り過ぎると人生面白みに欠ける面はありますが。

インターネットでしっかり勉強した賢明な投資家さんは、だいたい低コストなインデックス投資にたどり着きます。その中でも、S&P500指数はもっとも巨大な米国株式市場の主要インデックスとして投資対象に選ばれることも多いことかと思います。

S&P500指数を過信すべきでない?

一方で、米株S&P500指数をあまりに礼賛し、盲信し過ぎるのは危険ではないか、という意見もちらほら見かけます。

こういう意見はありがたいですね。立ち止まって自分の投資スタイルを客観的にチェックするきっかけを与えてもらえます。

確かに有名ユーチューバーが言ってたからって、何も調べずに自分の虎の子の資金を投じていたとしたら、それは褒められた姿勢ではないです。

がしかし、結果としてはS&P500指数を買っておけば勝ち組でいられるだろうと思います。

著名人が言ってるから、過去の右肩上がりの実績があるから、ではなく、S&P500指数の主な中身(きちんと数字まで)を確認することで、そう判断することができます。

2022年8月現在のS&P500指数の主要構成企業は以下の通りです。カッコ内は構成比。

アップル(7.4%)
マイクロソフト(6.0%)
アルファベット(3.8%)
アマゾン(3.4%)
テスラ(2.1%)
バークシャーハサウェイ(1.5%)
ユナイテッドヘルスグループ(1.4%)
エヌビディア(1.3%)
ジョンソンエンドジョンソン(1.2%)
メタプラットフォームズ(1.1%)
エクソンモービル(1.1%)
プロクター&ギャンブル(1.0%)

世界的に有名な超一流企業ばかりです。

と、印象だけで語るのは良くないですね。世間的に名の知れた企業でも財務諸表を見ると「あれっ」ってなることもよくあります。特に日本企業。

しかしご安心を。上記の米国企業たちの財務諸表はピカピカです。たとえばアップルの直近決算の営業利益率は30%に達しています。マイクロソフトは40%を超えます。

米国株銘柄分析で主要企業の財務データを紹介しているので、参考にしてください。眩しいくらいにピカピカです。

しかも将来見通しも有望です。クレディスイスは先日、アップルを「中立」から「買い」に格上げしましたが、その理由として4点あげています。

①18億台以上のアップル製品が流通しているネットワーク効果
②サービス事業のさらなる成長、利益率改善の期待
③ビジネスの垂直統合化による利益率改善の期待
④大量の現金にものを言わせた研究開発力

何を今さら?って感じもしますが、言ってることはその通りでしょう。ちなみに目標株価は201ドルらしいです。バフェットがアップル株を買い増しているのも心強いですね。

世界的に有名な誰もが知るブランドを有しており、
財務データも優秀で、
将来見通しも有望

S&P500指数にはこんな企業がわんさかいます。なので、とりあえずS&P500を買って放置しておく戦略は報われる可能性が高いと思います。

敢えてS&P500指数のリスクを上げるとすると

S&P500指数はもっとも優秀な長期投資対象だと私は考えていますが、リスクもないわけではないです。

目前一番のリスクはインフレ継続、金利上昇です。

S&P500指数は時価総額加重平均なのでハイテクセクターの割合が高いですが、一般的にこれらのグロース株は金利上昇でアンダーパフォームしがちです。将来利益の現在価値評価額が大きく下がってしまうからです。

米10年債利回りは3%前後をウロウロしています。これが4%5%まで行ってしまう可能性は低いというのが個人的見立てですが予断はできません。

また、これも時価総額加重平均の影響ですが、相場が逆回転し出した時、今のハイテクセクターへの高い投資割合が仇になってしまうことです。

要は今は安泰に見えるアップル、マイクロソフト、アルファベットあたりが全部沈んてしまったら、S&P500指数と言えどもさすがにリターンはしんどいだろう、ってことです。

これはセクターの懸念でもあり、個別企業としての懸念でもあります。なかなか考えづらいシナリオではありますが。

S&P500だけでなく、バリュー株中心のたとえばバンガードのVYMなども持っておくとポートフォリオの安定感が増すかなと思います。

すべての商品を把握しているわけではありませんが、S&P500指数(VOOやIVVなど)以外ではVIG、VYM、HDV、SCHD、DGRW、DGROあたりが個人的に好みのETFです。