ビル・ゲイツのお金の稼ぎ方

ビル・ゲイツ氏は1955年生まれの実業家で言わずと知れたマイクロソフトの共同創業者、元会長です。アマゾンのジェフ・ベゾスCEOに次いで世界2位の富豪です。保有資産額は約1000億ドル、日本円で10兆円以上。うーん、金額を言われても想像が付かないですね。1個人が消費で使い果たせる金額でないことは確かです。

マイクロソフトのオーナーとしての成功がビル・ゲイツ氏に莫大な富をもたらしました。2020年4月現在、マイクロソフトの時価総額は1.2兆超ドルとNY市場でトップです。1.1兆ドルのアップルと争っています。1代でそんなビッグカンパニーを築き上げたわけですから、当然に創業者利益も莫大になるわけですね。

では、そのマイクロソフトの収益源は何か?

今でこそクラウドのAzureが成長の柱ですが、それ以前はOSのWindowsや業務用ソフトウェアOfficeの販売で成長を遂げてきた会社です。Officeはサブスクリプションモデル(Office365)へ移行することで安定収入源になっています。

マイクロソフトの事業セグメントは以下の3つに分かれます。
・Productivity and Business Process
・Intelligent Cloud
・More Personal Computing

“Productivity and Business Process”にOffceソフトウェアの収入、”More Personal Computing”にWindowsの収入が含まれます。この2事業合わせて全体の約7割を占めます。

Productivityとは生産性という意味です。セグメント名称をOffice Softwareとかにしないところが良いですよね。まさに”Productivity and Business Process”という事業名称の通り、エクセルやパワポ等のOfficeソフトは世界中の仕事の生産性を高めました。

私は経理として毎日エクセルに助けられているので、その効果を身をもって体感しています。エクセルなしで仕事をするなんて考えられません。他の表計算ソフトじゃダメなんです。ショートカットキーとか使い慣れているし、何よりもオラクルやSAPの会計システムとエクセルが同期しているからです。どのシステムもエクセルありきで構築されています。

WindowsはPCのシステム全体を統制するシステムですね。Windowsなくしては円滑なエクセル操作も実現しません。

マイクロソフトの誕生によってどれだけの人が職を失ったんだろうか?ってたまに思います。一人当たりの生産性が改善すれば、同じ仕事に必要な人員数は少なくて済みます。

世界中の企業、個人が毎年マイクロソフトのWindowsとOfficeソフトに莫大なお金を支払っています。2019年の1年間だけで2セグメントの売上高合計は800億ドルを超えています。遅ればせながら最近マイクロソフト株主になった身としてついニヤニヤしちゃいます。

Windows、Officeを買わないと会社の特に管理系業務の効率が著しく低下します。効率低下というか、もはや仕事になりません。Windows、Officeを使うことで少ない人員で質の高い管理業務が実現できます。企業としては競争力も高まるし人件費削減にもなります。

マイクロソフトが管理系の業務に携わる従業員数を減らしたのは間違ないでしょう。そうやって、企業の業務効率化の手助けをすることでビル・ゲイツ氏は世界有数の富豪にのし上がりました。

ビル・ゲイツのお金の使い方

その大富豪ビル・ゲイツ氏は世界の公衆衛生のために自分の財産を投じています。ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じて、新型コロナウイルスのワクチン開発のために数十億ドルを拠出すると表明しています。半端ない金額ですね。

WSJはゲイツ氏を称賛し、「だから富裕税なんてやめろ!」という主張をしています。確かに、ビル・ゲイツ氏のようなお金の使い方を見ると富裕層からいたずらにお金を吸い上げるのは社会に悪なのかもしれませんね。政府中央にいる役人さんは真面目で優秀な人ばかりだと思いますが、如何せん利害対立が多すぎて理想通りに資源配分するのはほぼ無理です。日本のマスク配布の件を知って、それを改めて感じました。

お金を使うとは他人の労働力を買うことです。1000億ドルもの資金があれば、一体どれだけの優秀な人材の労働力を買うことができるでしょうか。一人年収10万ドルとして100万人雇えます。アマゾンの従業員数がそんなもんでしょうか。さすがに100万人もいないかな。

ワクチンを製造するための工場を建設するには、建設作業員の労働力を買わなくてはなりません。ワクチン開発のためには研究者の頭脳に対価を払わなくてはなりません。ウイルスのためとはいえ、無償で働いてくれるわけではありません。むしろ、プロフェッショナルとしての高額なフィーを提示しなくてはならないでしょう。

ビル・ゲイツ氏はたくさんの労働力を買うだけの財産を持っています。人を動かすパワーを持っています。そのパワーの源はマイクロソフトのWindowsやOfficeの収入で得た資金です。

Windows、Officeソフトで社会の労働力を削減し、そしてその削減した労働力の一部をWindows、Officeソフトで得た収入で買っている。労働力の転換。そんな風に見えます。

先進国は低金利、低インフレが続いていますが、その一因がマイクロソフトのようなハイテク企業が、社会の生産性を押し上げて労働力を削減したからだと私は考えています(個人的な見解で根拠はない)。

そのハイテク企業の雄であるマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、社会の利益に貢献するための労働力の活用に自分の財産を投じる責務があると強く感じているのではないでしょうか。まさに世界のリーダー。尊敬します。

コロナウイルスを乗り越えて、社会は前進を続ける

お金があれば何でも買えるわけではありません。なぜなら、繰り返しですがお金で買えるのは労働力だからです。人が作れないものはどれだけ大枚はたいても買えません。10億ドル払っても空飛ぶ筋斗雲は買えません。誰も作れないからです。コロナウイルスのためにビル・ゲイツ氏は数十億ドルを、世界の研究機関、製薬会社も莫大なリソースを投じています。それが意味するところは、コロナウイルスの感染症は労働力の投入で解決できる問題ということです。

アメリカ政府は2兆ドル以上の紙幣を刷るわけですが、それが可能なのは低金利だからです。不幸中の幸いと言えます。お金をばらまく余裕があります。そういう環境を作り出したのがビル・ゲイツ(マイクロソフト)やジェフ・ベゾス(アマゾン)なんだろうなあってふと考えることがあります。彼らは富を独占しているように見えて、その一部は気付かぬ内に社会に還元されています。コロナウイルスを乗り越えて、これからも社会は着実に豊かになっていくと確信しています。