信頼を積み重ねるのは20年間かかるが、失うのは5分だ。それを弁えていれば行動は変わるものだ。

ウォーレン・バフェット

バフェットの言葉を聞くまでもなくわかること。友人やお客さんからの信頼を得るのには時間が掛かるけど、失うのは一瞬。誠実さを欠いた行動をすれば、10年かけて築いた信頼もあっという間に失われます。人の信頼を失うのはお金を失うよりも怖いこと。信頼とは狭い人間関係における疑似マネーみたいなものです。

勇気を出して会社を辞めて一念発起、会計士試験の勉強にチャレンジ。2回落ちたけど何とか3度目の正直で合格。大手監査法人の採用は受からず、最初は小さな会計事務所からキャリアスタート。大手で高い給料を貰っている同期を横目に必死で仕事、勉強を頑張った。その努力と実績が買われ、5年後についに4大監査法人の一つに入所。監査法人で8年、監査やアドバイザリーの仕事をコツコツ頑張り、ついに独立し自分の会計事務所を設立。あこがれの一国一城の主。

そうやって20年近くかけて築いた努力も、たった一つの不誠実な行動ですべてがおじゃんになる。会計士が絶対にやってはならないこと、それは市場をだますこと、株主をだますこと。もっと具体的に言えば、粉飾決算に加担すること、あるいは嘘の法人税申告書、消費税申告書の作成に加担すること。

クライアントからの要求に負けて会計士として不誠実な仕事をしても、そんな仕事で稼いだ金で酒飲んでも美味くないだろう。リスクとリターンが見合わないだろう。わずかな報酬に目が眩んで、これまで築き上げた信頼をすべて失ってどうするんだ。

会計士が不誠実な仕事をすると、金融庁から業務停止や業務禁止などの処分を受けることがあります。仮に業務停止期間(半年や1年など事案によって様々)が終わっても、そこからまたクライアントの信頼を得るのは難しいです。数多くの会計士、税理士がいるのに、敢えて過去に処分を受けた前歴のある人を雇う事業主は少ないでしょう。

友人や家族の信頼も失う。
家庭も崩壊する。

仕事ができるできない、頭が良いかどうか、エクセル操作が早いかどうか、そんなことよりも誠実さの方がはるかに大事。嘘をつかない、人を騙さない、素直に謝る、挨拶をする、感謝する、そういう基本的なこと。

ちょっとした出来心だったとしても、不誠実な行動が明るみに出れば社会は厳しいです。最初はバレなくても、いずれしっぺ返しをくらう。これも平均への回帰。お天道様が見ている。

If you are honest, people may cheat you.
Be honest anyway.

Mother Teresa