保有銘柄で減配が起きました。石油開発支援大手のシュルンベルジェ(SLB)が配当を75%カットしました。一時配当利回りは14%を超えていましたが、現在3.5%と普通の高配当程度に落ち着きました。

さすがにここまで利回りが上がっていると減配も覚悟していましたが、いざ減配のニュースがSeeking Alphaから届いたときは「ああ、ついに来たか、、」という思いでした。辛抱強くSLBに配当再投資を続ければ高リターンで報われる、という一縷の望みは消えました(これ以上追加投資する気はなかったけど)。

『株式投資の未来』では低PER高配当で高いリターンを上げた銘柄としてたばこ会社のフィリップモリスが紹介されていますが、あれは訴訟等で業績が懸念され高い利回りが継続したにもかかわらず、実態は利益が出て増配を続けたから達成できたことです。これほどまでに原油価格が暴落してフリーキャッシュフローが消失し減配となれば、長期で見てもSLBの株主リターンが上振れる可能性は低いでしょう。

シュルンベルジェへの投資は失敗だったということです。エクソンモービルも不安です。こちらはまだ配当は維持してくれていますが。

この記事を書いている4月20日現在、原油価格先物は1バレル13ドル台です。こんなことが起こるなんて想像もできませんでした。でも、これが現実だから仕方ありません。世の中に必要とされていない商品、サービスの提供に資源を投じた事業家、投資家は経済的損失を被ることで責任を取らなくてはなりません。それが資本主義経済のルールです。原油価格が下がるということは、それだけ供給に対して需要が少ない、つまり世の中に必要とされていないということです。

そうやって、不要なビジネスが退場ないし供給を減らすことで、世の中に必要とされる商品、サービスだけが残ります。「神の手」によって有限資源が効率的に社会に配分されます。

お金儲けって綺麗ごとだけじゃない場合もあるじゃないですか。たとえば、言い方は悪いけど情弱から金をむしり取る稼ぎ方です。適当に作った薄っぺらい情報商材や効果のない健康食品を、巧みなコピーライティングで不安を煽って高額で買わせる。こんなことして金を稼いでいる人も世の中には一定数います。

でも、人を不幸にさせて金をだまし取る方法は長続きしません。リピート顧客が付かないからです。すべての情弱から絞り取ったら、後はトンズラするしかありません。あるいはねずみ講的にやるか。

ビジネスは信頼をお金に換えるプロセスですが、信頼を経由せずにお金を合法的に奪い取ることもできます。税金を納めていれば、それも経済的付加価値としてGDPの計算に含まれます。

ただ、私は甘っちょろい性格なので、そんなあくどい手段を使ってまでお金を稼ぎたいとは思わないです。別に生活に困ってるわけでもないし。もし自分でビジネスをやるなら「この商品を買って本当に良かった、役に立った」と感謝されてお金をもらいたいです。そういう人がリピーターになってくれれば、今後のビジネス的にもメリットがありますし。信頼を獲得せずにお金だけ欲しいとは思いません。

だから、私は長期投資が好きです。投資というか長期的な視点を持てるビジネスが好きです。長期的に稼ぐためには真に顧客から必要とされる価値あるビジネスをしなくてはならないからです。

『投資は「きれいごと」で成功する』というタイトルの本がありました、確か。読んでませんけど。あれは真理をついていますよ。長期投資は「きれいごと」で成功します。難しいことを考える必要はないんです。これから20年、30年とリピート顧客を惹きつけることができて、社会に必要とされるビジネスを持っている企業に投資すればいいんです。どれくらい必要とされているか、それを定量的に表したのが利益、キャッシュフローと言えます。

そう、長期投資なんて超簡単なんですよ! 顧客から愛され、結果として利益をガンガン稼ぐ優良企業の株を買えばいいんです。世のため人のためという綺麗で清らかな心を持っている人ほど成功すると思います。素晴らしい世界だと思いませんか。社内政治や出世競争、つまらん社内の飲み会に精を出す必要なんかないんです。世の中をもっとよくしようという他者利益の発想さえあれば、きっと長期投資は上手くいきます。

私は減配銘柄を掴んでしまいましたが、それはマーケットからの制裁です。「あなたは社会に必要とされないビジネスをやっています。不要です。退場しなさい。」という市場からのメッセージです。退場は言い過ぎだけど。別に石油掘削支援が全く不要なビジネスというわけではないですけどね。もちろん、詐欺ビジネスでもありません。が少なくとも、アップルやマイクロソフトほど必要とはされていないのは間違いないです。

じゃあ、なんで私は増配を続けるマイクロソフトではなく、減配しちゃうシュルンベルジェを選んでしまったのか。それは前者が割高に、後者が割安に見えたからです。

投資は買値も大事ですが、特に長期投資ではそこは二の次にした方がいいです。価格よりも銘柄選定の方が100倍大事。それが身に染みてわかるようになりました。これも経験、勉強と考えて今後の投資戦略に生かしていきたいです。

はー、テンション下がるわ~、減配とか。