先日、自分のポートフォリオが今年2019年にいくら稼いでくれるのか計算してみました。それは配当でも予想値上がり益でもなく、投資先企業の利益です。具体的には「EPS×保有株数」です。その企業利益が最終的に私の投資リターンとなります。短期的にはそんな本源的投資利益とは関係なしに、株価は大きく動きますが。
で、私のポートフォリオの年間利益は約140万円でした。運用額は約2000万円なので、益回りは7%くらい。PERで言えば14倍強。まあそんなもんでしょう。S&P500平均とそんなに変わりません。
140万円もの不労収入(利益)がある。140万円が大きいか小さいかの感覚は人それぞれですが、私には大きな金額です。一切体を動かしていないのに、140万円も稼げるなんて(しかも利益は毎年増えていくと期待できる)、ちょっと信じられない。
株式投資をしていると不思議な感覚に襲われることがあります。「僕はこれだけのお金を頂けるくらい、社会に何か貢献できているのだろうか? 働くって一体どういうことなんだろうか?」という疑問を抱くことがあります。
働くという言葉の語源が好きです。働くとは「傍(はた)を楽にする」が語源です。周りを助けること。自分以外の第3者の生活を楽にすることが働くことです。
僕はセブンイレブンのおかげでだいぶ楽に生活できてます。苦手な料理をすることなく毎日生活できてます。セブンの飯は美味い(健康的かは知らん・・)よ。子どもの頃食べてた母ちゃんの飯より美味い、、ことはさすがにないけど普通に美味しい。
企業の大規模化が進んで、一人一人の従業員が直接顧客に向き合うことは少なくなりました。経理部なんてその最たる例です。自分の仕事がどう世の中で役立っているのか実感を得にくいのが、組織人の辛いところかもしれません。でもこの世の中に不要な仕事はありません。あなたに給料が支払われているのは、あなたの仕事を必要とする人がいるからです。
組織での仕事以上に価値を実感しづらいのが株式投資。
以前、読者さんに「株で儲けるのは後ろめたいことだと思っていました。でもHiroさんのブログを読んで・・・」というメッセージを頂いたことがあります。
その気持ちすっごくわかります。共感します。株式投資でお金を稼ぐのってなんだかちょっと後ろめたい感じがします。短期トレードは「ゼロサムゲームのバトルだ!」って思ってチャレンジするもんだから、逆に後ろめたいとか思わないです(トレードの経験はないけれど)。そういうゲームだって割り切れそう。競馬で馬券を買うような感じ。
でも長期投資で儲けるのは何だかちょっと後ろめたい。ただ株を保有している、それだけでお金を稼げる。体を動かすことはないし、ETF買って放置するだけならそんなに頭も使わない。なのに、なぜこんなんでお金を稼げるんだろうか?って思います。
株式投資を通じて、僕は何か「働く(傍を楽にする)」ができたのか?
株式投資はリスクを取ったリターンだとは思っています。
将来の企業収益は不確実。株価も毎日変動する。そんな企業の持分証券を保有するのは誰しも嫌がるもんです。利息が確定している債券の方が安心。価値が変わらない預金が一番安心。出資証券は弁済順位も最下位です。万が一倒産したら株主には1円も戻ってこないと思った方がいいです。そんな株式を見返り無しに持つのはみんな嫌がります。だから、相応のリターンが得られる水準まで株価は下がります。買えばそれなりに儲かるような株価になっているもんです。
そうやってリスクをとったご褒美が株式報酬です。
誰かが必ず株主にならなきゃいけません。年金でもファンドでも企業でも個人でも、どんな主体でもいいからとにかく株主は必要。株主は空気みたいなもんです。いて当然。いない状態が想像できない。この世から株主が消える状況(みんな株主になるのを嫌がる状況)ってのは、リーマンショックみたいな時ですかね。まあ最後は中央銀行が株主として名乗りを上げることで、解決させたようなもんです。
株式報酬=リスクに対する報酬、というのは頭では理解しています。社会に価値を生んでないのに、ズルで悪いことして利益を得ているとは思ってません。株式利益は正当な収入です。
でもやっぱり実感がない。
「働く(傍を楽にする)」をやってる実感がない。
働いてお金を稼ぐことの大変さを一番学んだのは学生時代のアルバイトでした。塾の講師をしてました。正社員並みにがんばって働きました。子どもたちが頑張って勉強するのを応援・サポートするのはやりがいがありました。
ただそんなお金にはならなかったな。夏休みの夏期講習をフルで入って、月のバイト代は10万円に届かなかった。「これだけ馬車馬のように働いて10万円も貰えないんか~。ふーしんどいわ(汗)」と残念に思ったことを今でも覚えています。いくら仕事が楽しくやりがいがあっても、ある程度お金で報われないと寂しいもんです。
まあでもしゃーない。それが社会が下した僕の仕事の価値だったわけですから。一生懸命汗水たらして頑張ることと、社会に価値をもたらすことは別の次元の話。夜遅くまで残業したからって、アウトプットがなければ意味はない。努力は大切だけど、自分の努力と社会への価値を結びつけるのはちょっと違う。
たくさんシフト入ってバイト頑張ったとしても、月8万円の給料しか貰えないなら、それは8万円分のアウトプットしか出せていないということ。そう謙虚に思うしかない。まあ実際そんなもんだと思います。塾経営に何の責任も負っていないただのバイトですから。
でも株式投資より塾講師のバイトの方が「働いている」という実感は大きかったです。実際にどれくらい社会に貢献できているかは置いておくとして、自分の実感としてより働いている感があったのはバイトの方。
株式収入が140万円/年ってことは、11万6千円/月です。僕の株式ポートフォリオは1カ月10万円以上ものお金を生んでいます。それはちょっと信じ難い・・。11万円と言えば、朝から晩まで働きまくった夏期講習のバイト代よりも多い金額。それだけのお金を、体を動かさずにただ株を保有するだけで貰うなんて、、やっぱりちょっと後ろめたい感じもある。
・2000万円相当の株式をただ持っているだけ。
・朝から晩まで生徒に勉強を教え、教材を作り、採点をし、宿題をチェックする。
この2つを比べて、前者が後者より社会的に価値が大きいとはとても思えない。少なくとも、実感は持てない。でも社会は前者の方(2000万円相当の株式をただ持つだけ)が価値があると評価しています。100万円以上の対価を支払ってくれます。
よく「汗水たらすことだけが仕事じゃない。資産に稼いでもらわないと資本主義では豊かになれない」と言われることがあります。株の本とか読み始めると、嫌ほど出くわすフレーズ。もう聞き飽きた。
そう、それはわかります。自分の身一つじゃ限界がある。要はどこかでレバレッジを効かせた社会へのアプローチをしないと、効率よくお金を稼げないということ。そのもっとも手軽なツールが株式投資と言えるでしょうか。
資産に稼いでもうらうことが資本主義社会で豊かになる方法、ということに異論はないです。豊かでありたい。金融的に貧しいのは嫌だ。だから、これからも株式投資を続けます。
でも、株式投資は「働く」の実感が持てないこともまた事実なんです。株式投資は「働く」ことです。「働く(傍を楽にする)」要素なしに長期的にお金を稼げることはあり得ないですから。ただ自分の感覚として働いている気がしない。
僕は株式投資だけでアーリーリタイヤする願望がないのですが、その理由はここにある気がします。社会との関りを断ちたくない。株式投資を続けることでも社会と根っこで繋がることはできるけど、その実感がどうしても持てない。これは理屈じゃなくて感情の問題です。
そういえば、私も大学時代にセブンで夜勤をやっているバイト代より今の方が配当収入で上回っていました。
不思議とは思いますが、口座が連日赤く染まっているので罪悪感は全く沸きませんw
儲けるという字は信じる者と書きます。今は耐えるのみです。。
最近、また逆張りに手を出してしまいました。
PG, KO, AT&T売却 ⇒ BTI, JNJ, XOM,VYM 購入
どこも優良ですが、ちょっと攻めすぎたかなという気もします。
株はただ持っているだけですが、無理をし過ぎると後が怖いですね。
株は昼も夜も関係なく一日中働いてくれます。
株で儲けるには健全な懐疑心も必要ですが、人や未来を信じるポジティブな気持ちも必要だと思います。
そう考えると、「儲ける」(人を信じる)という言葉は株式投資と相性がいいですね!
BTI買われましたか。魅力的な利回りだと思います。
優良銘柄ばかりに囲まれているから相対的にリスキーに感じるだけで、BTI,JNJ,XOMなんて超優良企業だからこれでも保守的なくらいなんだと思います。
大きなレバレッジさえかけてなければ、後はゆっくり待つのみですね。
やはり日本の教育制度の賜物です。
日本でいう優秀な人とは、あくまでも『労働者』として優秀な人です。学校や親から働くことは素晴らしいこと、楽して稼ぐことは悪いことと刷り込まれ、マスコミからは結婚したら幸せになる、家を買ったら一人前といった価値観を何回、何十回と刷り込まれます。小さい頃から刷り込まれた価値観は簡単には変えることが残念ながらできません。万物に対して、疑問や怒りを持ってないと強者から喰い物にされてしまいます。
少し前にピケティのr>gが流行りましたが、今では全く見かけません。おそらく弱者(労働者)に知れ渡ると強者(資本家)にとって都合が悪い情報なので、権力を使って揉み消したのではないかと私は考えます。
この辺りの内容はミアン・サミ氏の著書「毎月5000円で自動的にお金が増える方法」に端的に描かれていますので、是非とも一読をオススメします。
テレビによるマスコミュニケーションの影響が大きかったと思います。
何が正しいか情報がないから、他人と異なる自分独自の価値観を持つことが異常だと勘違いしてしまい、結果として同調せざるを得なくなる。
インターネットの普及で、個人が低コストで情報発信できるようになりました。
「あ、やっぱり色んな価値観、人生観があるんだな。色んな生き方があって良いんだ。」ってわかって、みんな安心したのかなって思います。
あとは単純に経済が豊かになって、ただ飯を食うためだけに働く必要性が薄くなったこともあると思います。
「もっと美味しいご飯を食べるため、良い生活環境を得るためにがむしゃらに働く」というのは、ある意味で目的がはっきりしているし、幸せの掴み方として分かりやすいです。
書籍のご紹介ありがとうございます。
面白そうですね!
今日ブログ書くか、本読むかで迷います~(笑)。
あーー、これはよくわかります。
最初は、投資に対して悪いイメージがありますよね、
楽してお金も受けるとか、だましているとか、、、
日本人特有の考え方でしょうかw
でも、誰も投資しなかったら、社会の成長はないでしょうし、、、
リスクも背負ってますので、お互い胸を張って投資していきましょう!
大学の先輩が「株式投資はこの世で最大のギャンブルだからな」って言ってたのがずっと記憶に残っていて、社会人になって自分でマネーの勉強するまで株式投資=悪って印象を持っていました。
でも、よくよく考えると、世の中を豊かにしているのは株式会社のビジネスです。
そう冷静に考えると株式投資=悪なはずはないのですが、先入観を捨て去るのはなかなか難しいものです。
リスク資本なくして経済成長はないですよね。
そう考えると、日本人として日本企業を応援したい思いもあります。
が、投資で利益を得ることが最優先ですから、やはり米国に投資したくなりますね。
いつも楽しみに、かつ興味深く拝見しています。
株式を持っているだけ といえばそうかもしれませんが、
株式を持つことによってビジネスを継続していくための元手を提供していると考えれば、
その元手を使って働いている人を、傍から楽にしているという考えもあるような気がしました。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
おっしゃる通り、株式投資を通して企業に資本を提供していますね。
我々が株を買うのは流通市場ではありますが、間接的に企業の経営資源を提供しているのは事実です。
発行市場で株を買う機会があれば、自分のお金がビジネスで使われているという実感をもっと持てるかもしれません。
(あくまで感覚の話で、本質的には流通市場も発行市場も変わらないと思っていますが)
こんばんは。
確定拠出年金の件、つまらない質問に返信いただきありがとうございました。
本記事も読ませていただきましたが、考えさせられる内容でした。
日本人が投資に積極的になれない傾向があるのは、こういう感覚が心の根っこにある人が結構いるからからなのかな、と思いました。実際、私もそうだったので。それプラス、知識が全然なかった、というのが本当のところですがw
投資で財を成した人は結構寄付とかしてるイメージ(バフェットさんとか、リンチさんとか超メジャーどころしか知りませんけど…)ですが、こういうマインドがあったり…するんですかね??
東京では、初雪が降ったそうですね。体調にはお気をつけてお過ごしください。
それでは。
こんにちは。
日本人は清貧を良しとする風潮があるような気がします。
他人より多くお金を稼ぐことを嫌うところがある気もします。
サラリーマン労働であれ、アドセンス広告であれ、アフィリであれ、投資であれ、基本的に「お金を稼げた=社会に価値を提供できた」ということのはずですが。
だから米国ではお金持ちは尊敬されます。
まあ、どれくらいお金を稼ぎたいかは人それぞれですし、たくさんお金を稼ぐ=偉いなんて全く思いませんが。
あと、あまりにマーケティング臭がし過ぎるのは嫌だなという感覚は私にもあります。
デパートの洋服売り場で店員にしつこく声を掛けられると嫌ですが、そういう感覚です。
兆円単位で稼ぐ人は、寄付などを通じて富を社会に還元しないと、自分と家族だけではお金を使いきれないという事情もありそうです。
はい、初雪降りました!
ちょうど外出している時でした。
poruporukunさんもご自愛ください。
こんにちは
投資の原資が労働対価の給与である事を考えば、一般的なサラリーマンなら投資で得る利益イコール自分の労働によって生まれる報酬と同じかなぁと思います
株式投資がギャンブルに見える風潮……不思議です
会社の若手でも、退職金運用で確定拠出年金を定期貯金だけで運用しているのが大半。
たぶん自分の資産形成に興味が無いのか、それとも不確実なものは全てギャンブルと認識する恐怖心なのか不思議ですね。
給与所得の劇的な増加など期待しても実現できないけど、コツコツと給与所得の余りを投資運用して富を蓄えたいですね
こんばんは。
投資の原資は労働対価の給与、、その通りですね。
私はサラリーマン株式投資とは「労働の資産化」だと思っています。
有能な起業家は労働を介すことなく、自ら株式資産を作り上げます。たとえば、マークザッカーバーグ。
でも、それは特殊解であって普通に真似できることではありません。運も必要だし。
「労働の資産化」は(特に最初は)効率が悪い面もありますが、時間を味方に付ければ複利の効果で段々と効率も上がっていきます。
不確実なもの=ギャンブルと思われていそうです。
何事も将来は不確実だから、程度の問題でしかないとも言えますけどね。
金融は怪しいと思われがちですから、真っ当な資産運用は庶民にはできないものという先入観があるのかもしれません。
少なくとも、私は学生時代そう思っていました。